第12話 受け入れられたってことだよね……?
部屋の中は、試験の時よりも大勢の人達が居た。
その殆どが女性だ。
数少ない男性も、多分世話係の人なんだろうなって人ばかりだ。
しかし、そんな男性の中に、1人だけ位の高そうな人がいた。
誰なのかは分からない。
「では、これより雅道之助の侍司就任式を執り行う」
その位の高そうな人が言った後に、庭からこの時代の楽器の音が聞こえてきた。
この時代らしい音楽なのだが、思わず雰囲気に飲まれて、腰を抜かすところだった。
「舞子様より、以下の名前を授ける。これからはこの名前を使うように」
一瞬、部屋が静まり返る。
一拍を空けた後、司会者の男性が言い出す。
「授倉雅道、この名前を与える」
うん。
ありがたいな。
…………うーん?????
名字はいいとして、名前が一周回って戻ってきてね…………?
そんなことある?
「これからは、この名に恥じぬように奉仕すること」
そんな疑問が解消されることはなく進められる。
俺は、頭を下げた。
この時代の人にとって、フルネームを与えられることがどれだけスゴイことであり、どれほどの権力者の目に留まることによって叶えられるかは知っていたから。
「そして、舞子様より装備を授ける。大切に使うように」
目の前に、2つの正方形の箱と1つの細長い箱が置かれる。
そして、運んできた女の子が蓋を開ける。
1つ目の正方形の箱の中には、この時代の侍司が業務中に着ていたとされる服、もう一つの方には畳まれていても分かるほどの豪華な服、長方形の箱の中には刀が入っていた。
「右から、この内宮用、宮廷内で着用するものである。間違えないように」
なるほど、舞子の品格を落とさないようにするためか…………。
「そして、授倉雅道はこの御部屋の警備と舞子様の警護に当たること」
俺はもう一度、頭を下げる。
タイミングを教えられたわけじゃない。
完全に感覚だ。
「これからよろしくね」
就任式中、ずっと真剣な表情だった舞子が、笑顔になった。
それとほぼ同時に、周りがどんちゃん騒ぎをしだした。
受け入れられた…………ということでええのか?
◇ ◇ ◇ ◇
安良子さんの言っていた通り、お酒は出てこなかった。
それでも、男女関係なく楽しそうな雰囲気だった。
「そろそろお開きにしましょう。雅道と安良子だけ残ってちょうだい」
続々と人が出ていく。
外からも話し声が聞こえなくなって、鈴虫の音しか聞こえない。
「はい、これ」
「え…………、よろしいのですか?」
安良子さんの前に出されたのは、何かの箱だった。
中身は分からない。
「もう、誰も居ないんだから、そんなにかしこまらなくて良いのよ。それと——」
舞子は、安良子さんの方へ寄っていった。
流石にしんどいのか、歩みが遅い。
「安良子、あなたが雅道を支えるのよ」
「…………はい!!」
「ふふ、そういう素直なところも素敵よ」




