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選んだお題で千文字ワンライ!  作者: アマチュア小説家同好会
三周目(お題:『竜』『天国』『本』)/日付:2018/11/17)
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生命の書庫(お題:本/著者:髭虎)

 夜空めいた藍色の空間に、無数の書物がふわふわと浮かんでいる。


「まったく……」


 ここは書庫。

 国を越えて、文化を越えて、世界を越えて。

 人々の、獣の、あるいは草花の、生けとし生ける全ての者の軌跡が納められた“生命の書庫”


 無限に広がり続ける書庫の中で管理者たる男はひとり、自嘲に満ちた独白をこぼした。


「私は随分と――ツマラナイ生き方をしているものだ」


 どこか誰かの物語をまた一つ、その手に掴みながら。


「誰か、私をここから連れ出してはくれないものか……なんて」


 男の仕事は書庫の管理。

 増え続ける書物を把握し、分類し、整理すること。


 傍観者として“生命”を羨み続ける、最低最悪の生き方だと男は認識していた。


「どこかのお姫様じみた考えだな」


 本を開く。知るために。分類するために。

 今回はさしずめ『塔の上のラプンツェル』と言ったところか。


「まぁ、今どきのお姫様は自分で行動するらしいが」


 とある人間の一生。魔法の姫の物語。

 男の手元から、書物が消える。


「素晴らしいことだよ、本当に」


 一つの呟きの間に、数十の書物が夜色の書庫を拡張した。

 一つの仕事を終える間に、数百の物語が綴られた。


 それでも男は全ての物語へ、心よりの称賛を送り続ける。


「さて、分類を続けるとしよう」


 ――男はふたたび、物語を手に取った。

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