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選んだお題で千文字ワンライ!  作者: アマチュア小説家同好会
三周目(お題:『竜』『天国』『本』)/日付:2018/11/17)
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ヒノカミ様(お題:竜/著者:ゆりいか)

 竜という存在はこの世界に置いて最強の生物を意味する。

 不老長寿であり、強靭な巨躯を持ち、空を飛べば、業火を吐いて街を焼き尽くすのも容易い。

 故に、竜を神の使者として称える者もいれば、畏怖の対象として恐れる者もいるだろう。

 

「今日もよろしくおねがいします、ヒノカミ様」


 僕の街にいる竜、ヒノカミ様は街の中心の祠でずっと眠っている。ここ数十年微動だにしないらしい。

 いつから寝ているのかは分からないけれど、この街の守護神として昔から信奉されていた。

 

「お前ら、ちゃんと垢も拭えよ!」


 孤児の僕たちの仕事は、ヒノカミ様の巨体を洗うことだ。

 足場を組んで、モップを使いながら複数人で体を洗っていく。

 その際に垢と一緒に取れた鱗や爪、糞などの老廃物がこの街の特産になる。

 竜という生き物自体が非常に珍しく、その体から出るもの全てが高級素材になる。

 僕らの命なんか、それに比べたらあまりにも安い。

 だから、高所仕事の多い、こんな危険な仕事をさせられるのも仕方がないんだ。

 

「どうやったら、この仕事辞められるのかな」


 親の居ない僕らにとって、この仕事しか食べる方法がなく。職を変えようにも、後ろ盾はない。

 ただ、大人になったらこの仕事を辞めさせさえるので、それまでになにか考えておきたい。

 

「一応、これも名誉職だからな。ヒノカミ様へのご奉仕は、孤児しかしちゃいけないんだと」

「もしかして、ヒノカミ様は大人が嫌いなのかな?」

「かもしれないな」


 僕も大人は嫌いだ。子供をこき使って、威張り散らしまくるし。いいことがない。

 飯だって、僕らが粟しか食えないのを知ってるのに、ゲラゲラ笑いながら鶏肉食べてる時は殺意が湧いた。

 でも、それに文句を言いにいったところで殴られるのがオチだ。


「でもさ、僕たち孤児の中で一番信用できる大人がこの中にはいるんだよ」

「誰だよ?」


「ヒノカミ様だよ。ヒノカミ様がいなきゃ俺たち生きられない。だから、親の居ない僕たちにとって、ヒノカミ様はお母さんなんだ」


 ヒノカミ様は何も語らない。何も語らないけど、僕たちの生活を支えてくれている。

 僕たち孤児はヒノカミ様のことを密かに“お母さん”と呼んでいた。


 独り立ちするまで、この“お母さん”の背中を見ながら生きていこう。僕はそう考えながら、今を頑張ってる。

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