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出来損ないのノア  作者: きなこ
2/4

全員集合は夜会の後に

沈黙の中、いきなりドアが開く音がしたと思ったら、視界が揺れた。

敵か?

体を固め、戦闘体制をとる

しかしすぐにそれをやめた。

持ち上げた犯人は我らが軍部の一員、亦凡さんだったからだ。

亦凡さんは軽々と片手ずつで俺たちのことを持ち上げ、傍に抱えている。

「ちょっと、ゆでダコさん。

もう歳なんだから腰ボキッと言っちゃうよ?」

「儂はまだまだ現役だ!

それに、ニア!またゆでダコって言ったな!?」

「だって怒るとすぐ顔真っ赤になるんだもん。

ハゲだし。名前書くの難しいし。」

「名前書くのが難しいのはその理由にならないだろ!カタカナでイーファンって書け、これだから最近の若者は。」

「亦凡さん、主語がいつも通り大きいです。」

にしても、確実に怒ってるよなぁ、亦凡さん。まぁ、怒ってる理由はわかるんだけど。

「じゃない、儂は怒ってるんだ。」

ほらやっぱり。

「お前らまた人殺ししやがって、儂がちょっと目を離している隙に、モーガンめ。」

俺は転がってる死体に目をやる。

ニアが殺したのに関しては、もう原型を留めていない。

まぁ、あいつの能力爆発系だしな。

「お言葉ですが、亦凡さん、俺たちは宿主として軍部に所属しているんです。戦わないことはできませんよ。」

「ここは未成年がいていい場所じゃないんだよ、ノア。」

亦凡さんが俺のことをギロリと睨む。

200センチメートルの威圧感はやっぱり半端ないな。

「いいか、子供は大人に守られて勉強してればいいん だ。子供が安心して過ごせる世界。それが儂のなか で一番重要なんだよ。」

俺が言い返そうと口を開いたとき、また扉の開く音がした。

「まったく、君たちはいつも元気だねぇ。」

この穏やかな声はモニカさんだ。

こちらに向かってくるたびに、モニカさんの金色の三つ編みが大きく揺れる。

「今日も反抗期かい?ノアくん、ニアちゃん。」

「だってゆでダコさんが今日もゆでダコさんしてるんだもん。」

「ゆでダコさんねぇ、プププ。

ところで君たち、このスパイのどちらかは能力者らしいよ。すぐに処理しないと。」

「え!?あんなに弱かったのに!?」

ニアが大袈裟に驚く。

隣で亦凡さんが何か言いたそうにしているのは無視しておこう。そりゃプププなんて笑われたらな。

「あはは、そりゃあ、君たちに勝てる人はそうそういないよ。『厄災のダブルデーモン』たちにはさ。」

「やっぱ思うんだけどさ、その名前めちゃくちゃダサくない?」

「久しぶりに俺もお前の意見に同感だよ。

 で、本当に早く処理しないとですよ。」

そうだね、とモニカさんが頷いたとき、部屋の空気が変わった。

右目にかかる眼帯、顔の大きな火傷跡、軍服から覗く傷跡。

それらが彼、総司令官、モーガンが進んできた道のりを表している。

こつんこつんと、総司令官の足音だけが響く。

彼はゆっくりと口を開いた。

「むかしむかしー。」

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