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最強クラフトで異次元無双  作者: 御自賛
20/22

その19

その朝、虫の生息地近くで以前確認済の砂丘の影に、俺はレイスフォームで立っていた。そこからてっぺんまで一気に移動する。


「防衛拠点建築。」


ガラスの様に透明の壁で出来た巨大な立方体が出現した。以前設計検討した通りのサイズと形を成した。


続いて、内部に階層が出来て、階段が形成される。階段は半透明になっていて、見易くなっている。


次に部屋の中央に黒塗りの箱形の部屋を出現させた。調理場や休憩室用だ。仮眠もとれる。外の状況が見えないので、休まるだろうと言う配慮だ。


まあ、音は聞こえるから、あまり意味がないかもだが。一応打合せ通りにした。各階層に無数の素材タンクが並び、3段に積まれている。合計600トンが収納出来る。


これとは別に次元倉庫にも収納出来る。工房内にも、よく使う素材用のタンクが積まれている。



出入り口を作る前に、3階で工房のハッチを出現させて開ける。待機している人員が工房より屋内に移動を始めた。


アズ様を先頭に、1個中隊がなだれ込んでくる。皆無言で人員配置や準備を素早く行っている。


透明の壁を見て一瞬ギョッとしたらしいが、すぐに視界確保と言う優位性を悟った様で部下に指示を出している。


マルタを始めとした女性陣は、ブラックボックスの中に入って調理の準備をしている。


作り置きした食料を温めたり、スープを作ったり、長テーブルの脇に長椅子を用意し、キッチンから遠い位置でキャンプの準備をした。ライエも手伝っている。


四方の壁に各小隊が配置についた。同時にアズ様が号令をかけた。


「出入り口解放。戦闘開始!」


四方の壁に穴が開き、短い防護壁付きテラスと共に人が2人通り抜けられる位の出口が出現した。銃を構えた戦闘員が出入口の内側に並び、北側のテラスには遊撃隊が出陣準備している。


一応俺が隊長になっている。引き際だけ見極めて命令を聞かない娘達を引き摺ってくる役目だが。(笑)


「遊撃隊、作戦開始!」


まだ虫の姿は見えないが、予定通り外へ飛び出す。ナルが詠唱を始める。


「生命の欲求の源よ!渇望の一滴はここに召喚された!!」


次の瞬間、生息地の方面から黒い雲のような塊がもの凄い勢いでこちらに向かって来た。僅か1分弱で間近まで迫って来る。巨大な羽虫の大群が、唸りをあげて飛翔してきた。


しかし、拠点に来る虫は数匹だけで、大半は数百メートル先の砂漠の一点を目指していた。探しているものが見つからずに、うろうろしている。パッと見で10万位は居るのでは?


数万の塊が出来た所で、ナルが次の呪文を唱え始めた。マニは群れに近付こうと飛翔する。俺は全員に霊波バリアーを展開した。


「大地の憤激よ!大火山の噴火は今ここに召喚された!!」


ゴゴゴゴゴゴゴ...ドドーン!!ドン!ドン!ドカーン!!


いきなり砂漠のど真ん中が巨大な噴火でひしゃげた!大量の砂塊と衝撃波が周囲の生物を襲う。心配して拠点を見たが、びくともしていない。実は拠点にも霊波バリアーをあらかじめ展開している。


ライエが恐ろしい風景に半泣きしながらも、健気にマルタの手伝いをしているのが見えた。空中に浮遊している俺と目が合い、無理矢理笑いながら手を振っている。俺も親指を立てて答えた。


今の噴火で、上空の虫を含む10万単位の虫の死骸が転がった。砂に飲み込まれた分もある。素材確保には非効率かな。


そして時間差で、地虫の大群が押し寄せて来ていた。やはりフェロモンのポイントでうろうろしている。凄いクラウドコントロールだ。


「ナル、素材確保が非効率だから、空中爆発させることは出来ないかな?」


ナルは首を横に降った。都合の良い物は無いらしい。


「ナル、一時的にプルと一緒に銃で拠点周辺の哨戒に当たってくれ。」


ナルは頷くと、結構なスピードで拠点に走っていった。その先を見ると、プルが銃盾と小範囲のヘイト集めで拠点に近付く少数を翻弄していた。そうは言っても100体位は居るんだけどな。


「ふううううおおおおおおっ!シャアアアアアアアッ!ニャニャニャニャ!」


面白いくらいに虫が追いかけている。それを2丁拳銃で仕留めている。プルのリロード時は、拠点内に避難する。そしてナルを含めた戦闘員が応戦していた。セネル氏も前戦に立って指揮をしている。と言っても屋内だが。


「...全てを貫く稲妻は今ここに召喚された!!」


後方で呪文が完成した。マニの雷槍の呪文が超広域に拡散して、うず高い死骸の山を積み重ねて行く。青光が連鎖して天地を埋め尽くす虫の流れに沿って広がっていく。


あそこまで接近しても、マニに気付く虫は少数だ。フェロモンって恐い。


超デバフ、超クラウドと言うこの効果、ナルの魔法の実力は、ある意味俺に匹敵するな。有能であることは間違いない。なるほど、あれで性格がまともならな...(笑)


戦闘開始後1時間が経過した。地面にはおびただしい数の死骸が黒焦げの山となっている。そろそろ片付けようかな。


「標的、効果範囲内の虫の死骸。分子分解。」


突然緑色の光を発して、山が消える。同時に、素材タンクに座標を指定して素材の粉末を種類別に収納処理を始めた。やはり次元倉庫では足りなそうだ。


村の倉庫に座標指定すると距離の関係で消費エネルギーが膨大になる。面倒でも、仮置きで対処の方が効率が良いな。


最初の段階で素材の量と収納の具合をぶっつけ本番で推し量る予定だった。そして大体見当はついた。


今のところ、数十万単位で収納した方が良いな。負担もさほど感じない。さっきからマニが3回目の詠唱に入っている。轟音と共に、消えていた死骸の山がまた出現した。


あの威力だと、あと2回が限度かな?適当に下がらせるか。


「マニ、よくやってくれた。そろそろ休憩にしよう。」


「わかったわ。今戻る。」


マニが飛んできた。空中で俺の横に並ぶ。


屋内を見ると、透明な壁にべったり顔を付けてライエが何か叫んでいる。手を振り回しているから、マニを応援しているのだろう。


俺は素材処理しなくてはなので、マニにライエの方向を指差して気付かせる。マニは休憩も兼ねて屋内に行ってしまった。


相変わらず虫達はフェロモン投下地点付近をうろついている。あまり数が減ってない様な気がするが、何割くらい終わったか判るといいのに。プルが休憩に入ったらどんぶり勘定で良いから聞いてみるかな...。


取り敢えずさっき分解した分は、収納しきれた。死骸の山は一匹残らず消えている。拠点の周辺はプルとナルが次々と死骸を増やしていくので、きりがないな。暫く放置。


さて遠くに見える、あの巨大なスズメバチの巣みたいな奴を消したら、どれくらいの素材量になるんだろうな?一度やってみたいな。


「あの虫の巣と今目視している虫たちを死骸も含めて分子分解。」


巨大なオブジェが、強く光を放って消滅した。そして今更判ったのだが、巣のあった位置の更に向こうに、同じ形状の巣が連なっているのが見える。ここからだと5km先位かな?


目の前の群れは完全に消滅しており、遥か遠くから羽虫や地虫がこちらに向かってくるのが見える。案外素材量は少なかったのかな?


「マサ、さっきの巣の分解な、金属の系統がやたら多い。だから、工房のタンクに入れたいんだがね...今分解した量だと、工房が満タンになってしまうんだ。」


「おおー、そんなに貯まっていたの?」


「何故か巣の構成分子には希少金属や重金属、貴金属が多いね。」


「例えば?」


「んー、ニッケルや金や銀、チタン、鉛、オーステナイト、鉄とかかな。どれも数十トン位ある。」


「ほう、結構価値があるね。」


「君にとってはクラフトの原材料ばかりだね。」


「瞬間移動で仮置き倉庫の素材と、次元倉庫の保存素材を村に置いてくるかね...」


「そうした方がいいね。いっそのこと、2往復して村用の素材は置いてきてしまえば?」


「うーん、そうしようかね。アズ様、素材を村に置いてくるので、10分位持ち場を空けますよ。」


メッセージを送った。アズ様はこちらを向くと、心配そうに答えた。


「多分大丈夫。出来るだけ早く戻って下さい。」


「了解です。アズ様も気をつけて。」


俺は次元倉庫と工房の素材を村用のものに入れ換えると、そのまま瞬間移動した。


村に到着すると、自宅の庭から早速地下倉庫に設置しておいた素材タンクに、物資を全て詰め込んだ。


作業は3分くらいで終わり、戻ろうとした時に正門の方から銃声がした。瞬間移動で駆けつけると、グレイターエッジの対岸で戦闘が行われていた。


村への入り口になっている洞窟の先に、地虫の大群が迫っていた。それも数万体位の群だ。既にマデュレや村長は洞窟内部で戦っていた。


「親父様!大丈夫ですか?」


「おおマサか、何のこれしき。」


「義兄さん、こちらはまだ大丈夫ですよ!」


パパーンとセミオートを連射させながら、マデュレが返事をした。とりあえずひと安心かな?


「よろしく頼みます!予備の弾丸と携帯食はここに。」


と言い残し、唖然とする村防衛組を尻目に、レイスフォームで虫の群の中に頭から突っ込む。指先から分子剣を出し、体をスクリューの様に回転させながら出口まで突っ切る。


細切れになった死骸が光と共に消える。そのまま虫を切り飛ばす音が遠退いて行った。防衛組はホッと一息つけた。


「マサのお陰で休憩時間が貰えたな。」


「ええ、親父様。義兄さんは戦士です。」


お互い目を合わせ頷くと、再びやって来る足音に身構える。ハンコックが親指を立てて銃を構えた。



瞬間移動が終わると、元の虫の巣があった場所に巨大な虫のサナギのように見える物体が見えた。大きさは虫の巣の2倍に見える。


茶褐色で、時折ビクッ!と脈打つ。距離が遠いせいか、蜃気楼のようにユラユラして見える。


拠点は無事だが、中の休憩組は巨大なサナギを指差して何か叫んでいる。マニが飛んできた。


「お帰りなさい。マサが来る3分前位に、突如現れたのよ。」


「うーん、アズ様は何と?」


「様子を見ると言っていたわ。」


「アズ様には、村が数万の虫に襲われているが、地虫なので今のところ大丈夫と伝えて欲しい。もう1往復素材を運んだら、そのままサナギの偵察にいくから。」


「マサ、待って。」


振り向くと、マニが俺の顔を両手で挟んで口づけをした。しっかり抱き締めると、


「愛してるわ、あなた。」


「マニ、大丈夫だよ。お互い気を付けよう。」


下を見ると、皆が冷やかしの声を。ヒューヒュー、いいぞお二人さん、焼けるなくそお、とか言ってる。(笑) 


ナルがムッとした顔をしてる。見なかったことにしよう。


もう一度、素材を積み込んで村へ瞬間移動。クラフトモードの操作は、俺の意思をサットが読み取って実行してくれる。10万体分の素材が、工房と次元倉庫に分子変換され積み込まれる。


村に到着すると、地虫の勢いはさっきより増していた。この連中は、どこから来るんだろうか?この周辺の虫は、フェロモンで寄せられているはずなのに。羽虫は居ないけど。


俺は倉庫近くで素材をタンクに放出しながら、村長にメッセージを送った。


「親父様、フェロモンは羽虫に効いているようですが、地虫は効果がないみたいです。何か理由に心当たりは?」


しばらくして、返信が。


「うーむ、確かギリギリフェロモンの範囲に引っ掛からない位置に、大きい地虫の巣穴があったような?」


「地下であの虫の巣と繋がっているのでしょうかね?」


「確かめたことはないな。グレイターエッジがある限り、地虫は村まで攻めて来られんだろう。」


「忙しいところ、申し訳ないです。ありがとう。」


俺はある種の不安を感じた。ナルに相談してみよう。何か判るかも知れない。


素材収納は完了した。拠点の倉庫には工房で使う素材のみが残っている。まだキャパシティは1割程度だ。次元倉庫も空だし、これでごっそり虫を消せるな。



瞬間移動で拠点に戻る。すると、緊急事態が生じていた。虫が拠点に大量に取り付き、黒だかりの山になっていた。フェロモンが切れたのか?それより皆は無事か?


「拠点周辺の虫を全て分子分解。」


強烈に青光りして、光の粒子が散じる。虫に侵入はされてないようだ。透明の壁の中で、皆が安堵の表情をしているのが見えた。マニとライエが手を振っている。


「マサさん、一旦中まで来られますか?」


アズ様からメッセージがあった。


「了解です。でもその前に...」


巨大なサナギを指差した。巨大な塊が一瞬光り、消滅する。すると、後続の虫達が再びナルのフェロモン投下地点に引き寄せられた。


拠点から歓声が上がる。どうやらあれが司令塔の様だ。でもサナギにフェロモンは効かないのだろうか?


拠点に入ると、皆が歓声で出迎えてくれた。ありがとう!助かったぜ!凄いなお前!と、同時に言われると、むず痒くなる。


アズ様が近付いてきて、頭を下げられてしまった。


「マサさん、あなたはここの皆の命の恩人よ。さっきはもうダメかと思っていたわ。」


ナルも近付いてきて、一言「ゴメン」と言った。俺はナルの頭をナデナデしながら、


「いいや、あれは誰も予測がつかなかったから仕方ない。ナルはよくやっているよ。」


マニとプルがやって来た。話を聞くと、食事をとっていてふと外を見たら、既に囲まれていたとか。皆で出口を守る以外手がなかったとか。


うん、範囲魔法は屋内だと使えないしね。早く戻ってきてよかった。


「皆、頑張ったね!ところでナル、村が数万の地虫に襲われているんだが、フェロモンの効果はどうなっているのだろう?」


「異常。普通地虫でも効く。」


「そうなんだな。さっきのでかいサナギが原因だろうとは思うけどな。しかも、こちらでは羽虫にも効いてなかったけどね。」


アズ様も頷いて、


「ええ、あのサナギが出現して10分弱で虫が押し寄せたわ。関係無いとは思えない。」


と言った。俺は首をかしげながら、


「虫のことは分からないけど、あんな習性確認されていないよね?」


「うん。初めて。」


ナルも困った顔をしていた。セネル氏が近付いてきて、


「巨大な虫の出現は、約100年前からです。それまでは大きい種類でも30cm程度でした。」


...ああ、セネル氏も長寿化されているのか。アズ様の教育係だものな。


「突然変異とかですかね?」


「実は、虫自体の事がよく分かっていないのです。あの通りで、研究しようにもサンプル入手自体が困難でしてね。」


「多分あの巨大な巣を消滅させた事自体が初めてではないかしら?我々は近付く事も出来なかった。」


アズ様も困った顔をしている。とにかく、サナギは見つけたら即消すのが良いだろう。


「ちょっといいかな?」


サットが介入してきた。


「何だい?」


「さっきの分解したサナギだけど、見た目の割に構成素材が無さすぎるね。分解物が粘液の成分と思われる物しか回収されていない。」


「ほお、それではあれはゼリー状ハリボテの見かけ倒しと?」


「そうとも言えないね。あれが出現してから虫の動向が変化している。某かの効果があるのだろうが、物質的な影響ではないと言うことかもね。」


「それじゃあ、霊的なとか?昆虫とかは自然霊系じゃあなかったっけ?」


「案外この世界の神が関係しているのかもね。」


「...それ、戦っちゃダメなやつでは?」


「しかし、この状況だとそう言う訳にもいかないしね。人間側に某かの原因があって、それに対する気付きがあれば全て解決するかも。」


「...よし、虎穴に入らずんば、だな。」


周囲がどよめいた。皆が外に注目している。視線を追うと、またサナギが復活している。


「マサ、何を考えているの?」


マニとライエがやって来た。マニは手を繋いでフィジカルコンタクトをしてきた。


「何であそこに行こうと思っているの?」


「何かがおかしいんだよな。100年前に出現した大型の虫達、自然の劇的な変化、人間の生存危機、フェロモンが効かない虫、色々つながっている気がするんだな。」


「...それも、未来予測?」


「霊的真理だね。因果応報。蒔いた種は刈り取らなければならない。原因があるから結果があるのさ。」


大量の虫が押し寄せている。俺はアズ様に提案をした。


「アズ様、俺はこれからあのサナギの中に突っ込もうと思います。」


「えっ!マサさん、何を考えてるの?この状況に戦場を離れるなんて...」


「ええと、さっきサナギを分解したら、粘膜以外の物質は回収できませんでした。つまり、あの中は空洞の可能性が高い。」


アズ様は驚きながら頷いた。拠点の外壁は再び虫が取りついている。出入り口で戦闘が始まった。俺は構わず説明を続ける。


「サナギが虫に命令を出しているとして、粘膜組織だけで命令を出しているとは考えにくい。私の分解は、フェロモンでも気体であっても指定箇所から分解されて収納されますから、何らかの形で命令を出していた物質が残ると思うのですが、それが見当たらない。」


「なるほど。」


「つまり、虫達に影響を及ぼしているのは物質以外の何か、と言うことになりますよね?」


「...なるほどね。そう言う事かも知れないわね。」


「原因をはっきりさせるには、直接あの中で何が起こっているかを確かめないと。そうでないと、今押し寄せている虫が周辺地域の村にも押し寄せる結果になるかと。現に、19番は地虫の大群に襲われていました。」


「さっきマニさんから聞いたわ。数万体ですってね?」


「はい。マナや霊は、実際現象の中に飛び込んで感じてみないと分かりませんからね。」


「...仕方がありませんね。地域が全滅しては元も子もないですからね。」


「今からこの建物の出入り口は閉鎖します。皆さんは有事に備えて工房の方へ移動してください。マニに先導させます。扉を閉めると外からは絶対干渉されませんので、ご安心を。」


俺は外に出ようとして出入り口に近づいた。不意に、後ろから太ももにライエがしがみついてきた。


「...ライエ、どうしたんだい?」


俺は彼女と同じ目の高さにしゃがんだ。ライエは涙を流しながら、ひしと抱きついてきた。


「あの中へ行っちゃうの?」


「そうだよ、そうしないと近くの村が全部危ないんだ。この虫との戦いを早く終わりにしないと。」


「...皆ライエを置いて死んじゃった。お兄ちゃんもマニ姉様も大好き。もうひとりぼっちは嫌!」


「大丈夫だよ。俺は死なない。お前を置いて行くものか。絶対戻ってくる。約束だ。」


「本当に?」


「ああ、勿論だよ。せっかくお前の家族になれたんだ。指切りしよう。」


ライエと小指同士で指切りをした。頭をグリグリなでると、立ち上がって出入り口に向かう。


マニがライエを後ろから優しくしっかり抱き締めている。突如、ライエが叫んだ。


「パパ、パパ、死んじゃヤダ!ヤダよう!」


彼女は絶叫した。喉が潰れるほどに。俺は初めてパパと呼ばれた事が想像以上に胸に響いた。戻ってライエを強く抱き締めると、額にキスをした。


「大丈夫。可愛いお前を誰が置いて行くものか。」


彼女の頬を両手で優しく挟み、そのまま振り向いて出口まで走った。ライエはてを伸ばして追いかけようとして、マニに抱き止められた。


「ライエ、ママをひとりぼっちにしないで...パパは嘘はつかないわ。必ず帰ってくる。」


二人は本当の親子のように抱き締め合った。ライエは俺達に心を開いてくれた。絶対死ぬわけにはいかない。走りながらマニにメッセージを送る。


「マニ、俺が出ていったら出入り口を全て封鎖する。皆を工房へ誘導して。君にしか頼めないんだ。」


「解ってるわよ、旦那様。行ってらっしゃい。」


「ああ、任せた。愛してる、マニ。」


分子剣を出し、頭から北出口へ突っ込みながら体をスクリュー回転させる。虫達が切り飛ばされて、一瞬の間が空く。


「全出入り口封鎖。近隣10km範囲の虫を分子分解。」


拠点に群がっていた虫が、光と共に消える。透明の壁の向こうで、皆が手を降っていた

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