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マッチング!  作者: sanagi
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6話

 ルールーとシグルド、アリソンは、シグルドたちが泊まっている宿にやってきた。

その前に、パーティー会場預けていたルールーの荷物も取りに行っていて、旅行に一緒に付いていた従者にも話をつけていた。

宿は、泊まる予定の宿と同じくらいのランクだった。

「領主のところに泊まっているのかと思ったわ」

「あんまり大袈裟にするつもりはなかったからね。隣国とはいえ、まだ立太子でない王子なんて、あんまり知られてないと思ってたから」

確かに、前の人生では王子が来ていることに気づいていなかった。

シグルドの名前を知ったのも、宣戦布告して、戦争が始まり、他人事でなくなったからだった。

「部屋は俺とアリソンの1部屋でベッドは2つ。もう1部屋取るか、3つベッドが入る広めの部屋に変えるか」

「他に護衛はいないんですか?」

「俺、騎士団に入ったこともあるから、割と腕は立つ方だよ。アリソンも、騎士団で団長やっていたから、俺たちだけで十分」

「しかし、シグルド殿下は今令嬢の中にいて、シグルド殿下の中身も令嬢です。結婚していない令嬢には申し訳ないのですが、2人とも目の届くところにいていただきたいのですが」

前の人生なら、まだ男慣れしていない初心な乙女だ。

婚約関係でもない殿方と同じ部屋で過ごすなど恥ずかしくてできなかっただろう。

でも、非常に癪ではあるが、ネルトと結婚して、大人の営みも済ませた精神である。

また、追い出されて、実家に向かう途中は、野宿もしたこともある。

宿で大部屋しかなく、男女別にできず、雑魚寝したこともある。

手を出してこない紳士的な冒険者たちで助かった。

なので、男と同じ部屋で寝ることに関しては、問題はなかった。

また、この入れ替わりが起きている状況で、変なことはしないだろうと考えていたこともある。

何故か、護衛だというアリソンも、入れ替わりを把握しているようだった。

「この状況なら仕方ありません。同じ部屋で構いませんよ」

「ありがとうございます」

「それと普段シグルド殿下に話している口調で話してください。私よりも年上ですよね」

「分かった。君も普段通りの口調でいい。巻き込まれたとはいえ、建前はシグルドの婚約者だから、従者と同じ対応にしてくれ。それに、シグルドに丁寧な口調で話されると違和感を感じる」

「普段の口調だとこういった感じになるのだけど、構わないのかしら」

「まあ、ちょっと笑えるが、ましだ」

そして、彼らは部屋を借りる手配をする。

「ついでに大浴場も空いていたから、1時間貸切にした。体を温めてこい」

ルールーは、従者の手を借りずにお風呂に入れる令嬢だった。

他に人がいる大浴場にも入ったこともある。

「どうする?」

「一緒に入りましょう。変なことしないか見張りたいです」

「じゃあ、目隠しとか…」

「面倒くさいし、いいですよ。戻る方法も分からないのに、毎回つけてられないです」

裸を見られる気恥ずかしさはあるが、それはお互い様だ。

それより冷えた体を温めて、この状況をしっかりと話し合いたかった。

アリソンに荷物番をしてもらい、2人は大浴場に向かう。

走り回って、ボロボロになったドレスは直しようがないので、捨てるしかなかった。

シグルドは紳士的で必要以上にルールーの身体を触ろうとはしなかった。

ただ、逃げて泥だらけになった身体を隅々まで洗うのに、手を貸したとき、変に色っぽい声を出すのはやめてほしかった。

シグルドの身体を洗うのに手を貸してほしいと言ったときも、手際が悪く、くすぐったくて、声が出てしまった。

男女が入れ替わって入るお風呂は思ったよりスムーズに終わり、浴槽にゆっくり浸かっていた。

「戻ったわよ」

「おう、お帰り」

部屋に戻ると、アリソンは着替えていた。

桶とタオルがあったから、部屋で体を拭いたのだろう。

「ちょっと時間かかっちゃったみたいで、シグルド殿下のぼせちゃったみたい」

シグルドが中にいるルールーの顔は真っ赤になっていた。

「アリソンー」

ふるふる震えた声で、うるうる涙目であった。

「何でルーちゃんは平気で進められるの。俺、もうお嫁にいけない!」

「お前が主導権握れないなんて、珍しいな。安心しろ、シグルドがお嫁にもらう方だし、行くとしても婿だ」

「そうですよ。このままだと困ります」

夜遅い時間ではあるが、パーティーでまともに食事を取れなかったので、ひとまず腹ごしらえすることになった。

「近くに深夜も開いてる食堂もあるが」

「内緒の話もあるし、部屋で食べましょ」

部屋に持ち込んで、3人で食べることになった。

念のための毒味もアリソンが2人分してくれる。

「この料理うまっ」

シグルドが舌鼓を打つ。

「そうなんですよ。近くに海があるから、新鮮な海産物が獲れるんですよね」

「ルーちゃんはこの町来たことあるんだ」

「…ええ、まあ」

リコとネルトのことを除けば、前の人生でこの町で過ごしたことは大切な思い出の1つだ。

楽しい会話で上書きできている。

入れ替わりが起きてなくて、この場に自分を殺した相手がいなければだが。

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