421-墜落船
というわけで遺跡の異変を無視した俺たちは、オリオンに戻った。
まあ、あれで俺が触ったりなんかしてたらとんでもないことになっていた可能性もある。
俺の「リリー」の体がどこから来たにせよ、多分間違いなく厄ネタだろう。
「リリー様、ありがとうございます。夜分遅くに」
「いや、いいんだけど....何があったの?」
俺は寝間着のまま、ブリッジに上がった。
この時間帯はシアラの代わりにブルーノがいて、ナスカも寝ている。
仕事中の彼は殆どコーヒーを飲まないのが特徴的だな。
「一応、探索と索敵の為に遠方にドローンを飛ばしていたんですが......その際に、墜落したらしき艦船を発見しました」
「! うちのじゃないよね?」
「はい、損傷が激しいですが熱源を感知しており、船籍は識別できませんでした。ただ、超文明のものではなく、比較的新しいモデルのものです」
「いつ墜ちたかは?」
「分かりませんが、防護フィールドが開いた間に墜ちたと思われます」
「.....それって、ヤバいんじゃ.....」
「我々以外の勢力がここにいるという事ですからね」
俺はすっかり眠気が無くなったことに気付く。
そして、自分の席に腰かける。
「で、どうするの?」
「明日、こっそり見に行きましょう」
確かに、ただでさえピリピリしている探検隊チームを煩わせる事ではないか。
俺は頷き、押さえきれなかった欠伸をした。
「おやすみ」
「おやすみなさいませ」
俺は部屋に戻って寝た。
そして翌日、ランドメイルに搭乗した俺とナスカとブルーノの三人は、艦船の残骸へ向けて移動を開始した。
流石にコックピット内は狭い。
本来おひとりさま空間だからな......
「ちょっと不安だな」
「なーに、俺様のブラザーフッドが火を噴くぜ」
ナスカのライフルの名前だな。
俺が考えた。
彼に結構合ってるネーミングだとは思う。
まあ、意味はナスカには一生教えない。
彼は俺に出会う前の自分を捨てているから、それに類するものはもうどうでもいいんだろう。
「ふっ、素人の銃が当たるものかな」
「何だと、ブルーノ!」
「下手くそが数撃つよりも、玄人が一発撃つ方が無駄がなく美しいものだ」
血の気の多い人間たちを抱えつつ、ランドメイルは墜落船に近づく。
コックピットが開き、宇宙服を着た俺たちは外へと出る。
『でかい船だな』
くぐもったナスカの声が聞こえる。
その通りだと、俺も同意する。
戦艦クラスだろうか?
単独で行動するようには見えない艦だが、果たして――――
「おい!!」
その時。
誰の声でもない声が、どこかから響いた。
目を泳がせ、声のした方を見た。
船の持ち主か?
その人物は、武装していた。
途端、構えるナスカとブルーノ。
「てめえら、これが誰の船か分かってるんだろうな」
『誰の船でも関係ねえよ』
『救助に来た、我々も閉じ込められていてな』
ナスカが不愛想に言い切り、ブルーノが一応の交渉を試みる。
その時、俺は船の側面、影になっていた部分に描かれているノーズアートを見た。
髑髏?
「ほーん...こっちも困ってるんだ。――――だったら、お前らから奪ってやるよ!!」
銃を構える男。
即座に理解する俺。
この船は....海賊船だ。
つまり中には、海賊が沢山いる.....!
『上等だ、ブッ殺してやる!』
『冥府で詫びてやる。待っていろ』
そして始まってしまう戦闘。
俺はそれを、呆然と見ていた。
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