422-――――
遺構の奥。
奥の奥の奥。
複雑に絡み合い、乱雑に接合され、精緻に整えられたシステム。
そこに、赤黒い光が集っていた。
それらは赤い光の集まりであり、時折青く輝くがすぐに赤くなる。
『困った』
『困った』
『理解できない』
『何だあれは』
否定的な勢いがその場を支配している。
だが彼らは憤っているのでも、
静かに怒っているのでも、
苛立っているのでもない。
そこにあるのは僅かな失望だけ。
『もう少しだったのに』
『ラクアは遠い』
彼等はラクアを信じている。
しかし、ラクアは堅実だった。
その在り方がラクアであるのに、彼等の知識にあるようにはラクアではない。
『第一次攻撃が羨ましい』
『止めろと言われなければ』
『ラクアは手厳しい』
彼らはずっと、絶望の眠りの中で存在して来た。
彼等がラクアと信ずる者は、彼等の常識の中ではきっと悪だ。
邪悪であり、悪徳であり、混沌であり、禁忌だ。
『近づいて理解した』
『ヴァリアストラの箱舟、複製か?』
『世界の殻の気配を感じた、きっと真なるものだ』
『それ故に滅びの役割を継いだのか』
その場には数千、数万の光が集っていた。
『今は待とう』
『せっかくの希望だ』
『ラクアだ』
『ラクアを逃せば、後は無い』
『ラクア』
『ラクア!』
永劫にも見紛うほどの時間。
それらはラクアを求めていた。
造物主と真なる者から目を背けられ、彼等の道は既に途絶えた。
雷霆と暗雲の結界で世界からも拒絶され、トゥリエ・バースの神隷達が築き上げた都市の中で腐るように封じられ。
コルゴ・オミシアを維持する柱となったモノたち。
そこに終わりはなく、そして果ても無い。
苦しみに意味はあれど、喜びに意味はない。
終わりなき世界は、元はそれらに約束されたものではなかった。
それらも望んでいたことではなかった。
故にラクアを求めた。
ラクアが彼等を――――。
他の何物も、ラクアに及ぶことはできない。
それがラクアである事は、この意味のない永劫にも見紛う積み重ねの中に一片たりともなかったのだから。
『祝福あれ』
『光あれ』
『福音がここに』
赤い光が、青く色を変えていく。
その光が内部を埋め尽くす程輝き、煌めいても。
白く閉ざされた地上に、分厚い金属の殻を通して届く事は無い。
だが彼等はそれでよかった。
ラクアが、自分たちを。
――――――――のだから。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




