416-優美たる蒼穹
ペルソナが甲板から射撃する。
それを受けて、一斉に敵が襲い掛かって来る。
「ナスカ、外さないでよ」
「外さねえよ、カモ撃ちだ!」
オリオンの砲撃が、群れに殺到する。
ペルソナが作った補正ツールのお陰で、ナスカでも当てられる。
ミサイルの方も、セパレートミサイルを使っている。
とにかくあの防御手段を突破するために、連打出来るものを。
事実、主砲も応急処置で連射できるようになっている。
ペルソナのやっつけ仕事なので、あまり長引くと砲身の冷却が追いつかなくなるが.....
「船団が降りてきたよ!」
「分かってる、シアラさん、船団に指示を!」
「ああ!」
ペルソナがそれを見越して、甲板から飛び立つのが見えた。
俺は船を微調整しながら、船団の進路を塞ぐように移動した。
「くそーっ! 当たれ!!」
「ナスカ、落ち着いて」
「落ち着いてるよ、これ以上ない程キンキンにな!!」
オリオンの主砲は連射性能を持っていない。
だから、今やってる行為は寿命を犠牲にする行為だ。
ナスカにはそれを分かって欲しかったが、伝わってなかった。
横から見て斜線陣を構成するように戦闘艦と護衛艦が並び、船団の本体を狙う群れを迎撃する。
向こうには後ろを叩く知能は無いようで、攻撃してきたこっちに意識を向けて突撃してくる。
「ちっ、不気味な奴らだぜ」
「集中、集中」
「ああ!」
『ナスカ様、戦闘型ドローンβを射出して頂けませんか? ビットとして運用します』
「おう!」
βはガトリングガン装備だからか。
敵の数はざっと30程、今回は上を取られている関係上、さっさと殲滅したい。
今は戦闘可能艦を「壁」として利用する形で船団を守っているが、長持ちはしないというのは、戦闘班のリーダーも分かっているようだ。
通信は戦闘の指示でうるさい程で、俺もそれを聞きながら連携している。
「くそ、撃てない! ペルソナ、砲身冷却!」
『了解! オリオンの直掩に回ります!』
「こっちはいい、他の護衛艦を守って!」
『了解!』
位相装甲は今は機能している。
あの最初の一撃だけが当たり所が悪かった....とポジティブに見るべきだろうか、分からない。
「何だって、こんな時に....もうちょっと後にしてくれないかな」
俺は呟く。
どうしようもない事ではあるが、愚痴らざるを得なかったからだ。
「ここを調べたいだけなのに....」
それは愚痴のつもりだった。
これを吐いたら、直ぐに戦闘に復帰する。
そのつもりだった。
..........だが。
「え?」
俺の目に、有り得ない光景が広がっていた。
敵がいないのだ。
霧も無い。
「ぺ...ペルソナ?」
『分かりません、急に敵が消えました。霧も同様です』
「???」
俺は瞬きすらしていない。
何なんだ、一体?
....とにかく、今のうちに態勢を整えないと。
「サボランさん、敵が消えました! よく分かりませんが、指示を!」
『こちらも把握している! 戦闘艦も降下してくれい、わしらと合流し、地上に一度停泊する!』
「了解!」
突然の事で、俺は混乱していた。
混乱していることを知覚してもいた。
危機の中にあったはずで、その危機が突然消えた?
霧も、だ。
「――――え?」
「―――は?」
『――――?』
『――――な?』
だが。
それだけではなかった。
空を見上げた俺たちは、そこに青空がある事を知った。
ないはずの空。
恒星がない以上、空から降り注ぐ光がない以上、レイリー散乱は起きない。
何なんだ、この星は?
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