415-霧中の騒めき
そして三日後。
俺たちは、船団と共に霧の惑星へと入る事となった。
事前の複数の調査で、全てのドローンや探査機が同じ濃霧に遭遇して帰還したため、バックアップの船団と護衛艦を外へ残しての突入となる。
ちなみに外周部の円環についてだが、これは更に分隊が調査するとの事だった。
「驚いたな.....ほんとにこうなるんだ」
「ああ、カメラの誤作動じゃねえな」
船団が惑星に近づくにつれて、惑星の表面が霧に覆われていく。
レンチキュラー印刷の絵を角度を変えて見たかのように、惑星が霧の惑星へと変わっていく。
離れればまた見えるようになるんだろうか?
「奇妙だねえ......宇宙は広いって、宇宙で暮らしてようやく分かるなんて皮肉なもんだけどね」
シアラが感慨深そうに言う。
俺もそう思う。
これは自然現象ではないにせよ、やはり宇宙の神秘には他ならない。
特に妨害は無く、船団は惑星への降下軌道へと降りて行く。
謎の霧の中へと入ると、センサー類が全てダウンしてレーダーが機能しなくなった。
何もなければいいんだが...という懸念は、すぐに現実のものとなった。
『こちらボルック号、攻撃を受けて...こ、攻撃!』
唯一機能していた通信に、そんな叫び声と爆発音が入って来た。
即座に赤色灯が点灯し、武装のコンシールドが解除されるオリオン。
だが、周囲は濃霧で何も見えない。
センサー類が機能しないので、敵に対処出来ない。
「うわっ!?」
「左舷下部に被弾、損傷軽微!」
「位相装甲は?」
「アクティブですが、貫通されました」
「...!」
位相装甲を突き破ってくる攻撃。
それは、一度だけ覚えがある。
ホワイト・ノアに攻撃を受けた時だ。
......どうやら、それに類する出力らしい。
「シールド展開。...こちらオリオン、交戦は避けて霧の中を降下することを提案します」
『分かった、どの道この状況では手出しできん』
オリオンは高度を下げる速度を上げ始める。
把握できないが、他の艦船も同じはずだ。
砲撃も突進も、対象が高速で動いていればそれなりに被弾率は下がる。
霧が地上にまで立ち込めていたらどうしようもないが.....
「ペルソナ、スカイメイルで甲板に待機。ガトリングに換装」
「はいっ」
霧が晴れたら一気に殲滅を開始する。
この状況だと誤射しかねない。
シールドを張っているので、オリオンの甲板に立っても風や砲撃などの影響は受けない。
『こちらオロム! 損傷率88%! 後は任せた!』
『沈みそうだ.......サボラン、地獄で待ってるぞ!』
通信だけが生きているのが苦しい。
だが、ここまで来た以上は抜けるか、また長い距離を上がらないといけない。
下がるより上がる方が速度は遅くなる、それが意味するところは子供でも分かるものだ。
『こちら護衛艦メローネ! 霧の切れ間を観測した! おそらく約52km!』
「ペルソナ!」
『お任せください!』
オリオンの降下速度を俺は下げる。
初期突入位置から見た艦隊の位置を勘で推測し、射線が取れる位置まで誘導する。
「ナスカ! 砲撃準備!」
「おう、散々練習したんだ、今度は当ててやるぜ!」
そして、オリオンは霧の下へ出る。
オリオンを追って、螺旋を描くようにして敵の群れが降りてきている。
全てのセンサー類が機能するようになり、甲板のスカイメイルが射撃を開始する。
それと同時に、オリオンも砲撃を開始した。
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