414-おぞましき都市
探検・調査隊は輸送機から降りて、柱の内部へのアクセスポイントへ出る。
無論、全員が専用の宇宙服を着用している。
『サボランさん、扉のキーが分かりません』
『大丈夫だ、解錠ツールはこちらで用意している』
サボランは宇宙服のデバイスから端子を引き出し、扉に当てる。
未だに機能しているらしい扉は、キーを認識して施錠を解除する。
エアロックのような機構が無く、扉は容易に開いた。
『やはり仮説は正しいか』
『そのようですね......』
「呼吸もしくは酸素を必要としない生物である」としたサボランは、自分の仮説がまたも正しかったことに驚きを覚えつつ、内部へと入る。
メンテナンス用の扉でしかないそれは、中へと入った人間を驚かせるようなことはしなかった。
少し長い通路を抜け、その先にあったのは。
『これが......真の”都市”か』
『納得ですよ、これは』
『何だこれは!? 何なんだ、これは!?』
大地であった。
扉を抜け、地面に手を付ければそこが地面となる。
だが、扉に手を触れれば扉に落ちるのではなく、扉を通る事が出来る。
文字通りの、超テクノロジー。
だが、そんな減少などは大したことがないとあざ笑うかのように、探検隊の眼前に広がる光景は常軌を逸していた。
『これが....生物の業だとでも言うのか』
針山。
そう連想させるような光景があった。
聳え立った大量の細長いビルの間に間隔は殆どなく、そして何よりも奇妙なのは、圧倒的な広いスペースの少なさであった。
人間というものは、息の詰まる場所では高ストレスを抱える故に、多少の無理をしてでも広い空間を確保しようとするものである。
だが、ここにはそれがない。
確かに整理されている、しかし――――詰まっている。
『....探査を開始する、調査団は我々の後ろに』
『はい、この近辺を調査したいので、少し残しても?』
『何がいるか分からん、死んでも構わんのなら残せ』
『了解です』
かくして探検隊は探査を開始する。
何もかもが不気味な世界。
音を伝えるものがないため無音で、住む人間がいないため無人で、都市は狭く無機質で、まるで首を絞められているような錯覚を覚えるほどであった。
そして何より不気味なのは。
『.....当然ですが、死体は残っているんですね』
『ああ、触れんようにな。あとで回収する』
死体を分解する微生物も、死体の残骸を吹き飛ばす風もここにはない。
それだけに、命の鼓動を失った体は、その死後何千年と経過しようともここにあり続ける。
概ね人型の死体であり、服以外の差分がほとんど存在しない。
鼻が無く、耳が無く、目は全て黒く、瞼がある。
肌は不気味なほどに白く、胸は人間の女性に見られるようなものではない、中央部の盛り上がりが特徴となっていた。
あらゆる既知の人類に照らし合わせたとて、到底想定しえないような夢物語の中の存在、それが死体となってあちらこちらに転がっているのである。
『まずはあの建物から調査する、何人か残り、哨戒に当たれ』
『了解!』
そしてサボランは、侵入が容易そうな建物に目を付け、そこを調査するため隊員の再編成を開始するのであった。
◇◆◇
都市探索の結果は、直ちに帰還した探検隊と調査隊によってオリオンにもたらされていた。
俺はそれを受け取り、疑問符をまず浮かべた。
そりゃそうだ、都市ではあるが――――居住区ではない?
何の冗談だとは思ったが、柱は一本ではなかった。
都市丸ごと工業区でもおかしくはない。
「暫くは柱の調査かな」
「ええ、そうなりますね」
他の柱も調べ、この生物の文明についてより詳しく知る。
それが目的だったのだが、俺は後に知る事となる。
――――全ての柱が工業・オフィス区画であり、この種族が特定の居住空間を持たないという事を。
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