412-日常の1ページ
都市の役割はともかく、このコルゴ・オミシアには無数の居住施設が存在している。
管理区画で得られた情報によれば、内部は酸素がない可能性が高く、この文明は酸素で呼吸をしない種族だったのではないかと考察されていた。
俺は報告書に目を通し、茶を飲む。
「探査計画は準備に二日、出発から三日…..72時間のタイムリミットをもって行われる、か」
場所は食堂。
俺は自分で焼いた作り置きのしょっぱいクッキーを摘まみながら、今後の予定について思案する。
コルゴ・オミシアには全部で8261本の柱があり、それらを全て探検するのは無謀と言っていい。
だからこそ、熱源を探し比較的重要度が高そうな柱を探索する、との事だった。
船団はコルゴ・オミシア外周部の、侵入位置を南と判断して北東に位置する場所へ移動。
「何しろ巨大ですからね――――お夜食です、リリー様」
「あ、ありがとう」
俺はペルソナが持ってきたラーメンを受け取る。
まあ、ラーメンというか再現ザパニーズスープスパゲッティといった風なものだが。
拉麺に位置する麺類がこの世界にはなかった。
でもまあ、即席ヌードルはあるから、真面目に探せばどこかにはありそうだ。
「お味はいかがですか? 我々はよく知られていない料理の味付けは苦手なんです」
「美味しいよ」
「よかったです」
長く一緒にいると忘れそうになるが、ペルソナは物を食べたり飲んだりできない。
だから、料理を作る時は全て論理と心理を参照している。
とはいえ味は機械的ではない。
料理は製品的にはならず、人の手の味がする。
「ペルソナは、どうしてこんな事をしたか分かる?」
「都市の構造の話ですか?」
「そう。……惑星があるのに、こんな風に岩塊を持ってきて、柱を杭のように建てる理由」
「…分かりません、推測するにしても、情報があまりにも…」
「だよね」
俺はため息を吐く。
スケールがデカすぎる話で、正直理解には遠い。
ただ、解明しなければいけない。
少なくともそれが俺の役回りではないにしても、だ。
「そういえば、都市内部のデータは回収したんだよね、あの重力源はどこで制御してるの?」
「それが、惑星内部のようです」
「そう…ドローンでの探査を試みよう、準備しておいて」
コルゴ・オミシアはただの都市というわけではないようだ。
資料を読む限りは、その名前はふたつの意味に分割される。
…「コルゴ」「オミシア」。
聖域。
そう文書で名付ける程には、ここには何かがあると見ていいんだろうな。
俺はラーメンを食べ終わる。
「ありがとう、ペルソナ」
「いえ、美味しかったならよかったです」
「あ、そうだ…いや、なんでもない」
「? 片付けますね」
クッキーをアルの所にも持って行って。
そう言おうとして、アルはもういないと気付く。
…疲れてるな、そろそろ眠るか。
「ご就寝されるなら、お風呂に入ってからですよー」
「…分かってるって、身体洗ってくれる?」
「はい、喜んで!」
俺は席を立ち、ペルソナと共に風呂へと向かった。
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