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輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~  作者: 黴男
η-探検隊加入編

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408/459

405-嵐の壁の先にあるもの

雲の中を、オリオンは飛んでいた。

周囲はプラズマと高電圧の稲妻が走り、ここを生身で突破することは文字通り不可能だと目で見て分かる。


『進度97%...中央まであと少しです!』

「わかった!」


周囲の視界はゼロ。

かと言ってセンサー類が使えるかといえば、それも無い。

目を潰されている以上は、ペルソナの計測に頼って進むしか無い。

人間もよくやる、ある一点に対する推測での移動だ。


「空の向こうに雲があるなんてな、普通に生きてたら想像なんかできなかったぜ」

「...だね」


ナスカが言った言葉を、俺は重く受け止める。

宇宙にも雲がある。

ただそれは、惑星上のように穏当なものでは無い。

こんな恐ろしい光景を、宇宙でも見る事になるとは。


『進度98%! もうすぐ雲を抜けるはずです!』

「うん!」


光が強くなって来ている。

まるで灯台のように、雲の中からでもはっきりと見える紫の光。

俺は舵を握る手を緩めない。

あの先に何があるのか、今になって俺自身が気になって来ていた。


「それにしても...こんな天体、自然に生まれるものなのかな...」

『あり得ません。二つの重力嵐が生まれるということは、特異点クラスの重力の中心が二つ、近距離で均衡を保つように存在しているということです』

「あ、ありがとう」


すぐにフォローが入る。

それなら、確かに不自然だ。

天体が均衡を保つだなんて事は、まさに奇跡レベルの出来事なのだから。

そして。

雲を突き抜け、オリオンがその先へと出る。


「わぁ...」

「おお〜!」


そして、その先にあったものは。

俺が感嘆し、ナスカが珍しく驚いた声を出すほどの光景だった。

綺麗に雲と嵐が晴れ、真の凪のような空間が、広々と広がっていた。

そして、紫の光は俺たちが近付いた事で弱まり、そこに何があるのかがはっきりと分かるようになっていた。


「...遺跡かな」

「それは分かってるけどよ...デカいな」

「こんな巨大なものを作れる文明だったって事...?」


中央には一つの惑星があった。

いや、星かどうかは分からない。

その周囲の光景が異様すぎるからだ。

白い星を囲むように一つの円環があり、それをさらに囲むように大陸...いや、このサイズでは小惑星と言っても良いものが天と地で二つ。

その大地の上に、無数の白い構造物が上と下から乱杭のように聳え立っていた。

大地には赤黒いラインが無数に走り、脈動するように光っている。


「これが...こんなものが遺跡だっていうのかい」


いつの間にか席を立っていたシアラが、驚くように言った。

俺たちの想像を遥かに超えるもの。

潮汐、軌道力学。

そんなものは存在しないとばかりに建てられた、学者にとって悪夢の具体例のような遺跡。


『通信回復。雲を突破できたのは十二隻程度のようです』


元の規模が二十六隻だった事を考えると、半分も残らなかったのか。

俺は雲を抜けられなかった人達が生きている事を願い、サボランの艦に呼び掛ける。


『...った! やったぞ! やはり存在した! 雲の向こうに遺跡があった!』


呼び掛けたのだが、向こうは大騒ぎのようだ。

その騒ぎの中でも、サボランの声はよく聞こえた。


『長かった...メイラム、クンダ...お前たちの死は無駄ではなかった』


それが誰の名前かは分からなかったが、俺はサボランという男を少し勘違いしていたと気付いた。

彼は自分の妄想や推測を真実にするためでも、権威を得るためでもなく。

ただ死んだ仲間のために、この場所を目指していたのだと。


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