406-静かなる都市
嵐を抜け、俺たちは遺跡の外縁部に停泊していた。
あの後三隻が嵐を抜けて来た。
他は分からない。
雲と重力の嵐が、外部との電波を完全に遮断してしまっていた。
『我々はこれから探索と調査を開始する。得た情報や遺物は輸送艦オリオンに預け、嵐を再び越える際の保険とする』
サボランはそう宣言し、探検隊が先に降下する準備を始めた。
俺たちに特に仕事は指示されていないので、警戒シフトで艦を運用する。
「それにしても...」
「何だよ?」
「こんな少数で探索できる規模かな、これ」
俺は呟く。
眼下に広がる、都市...か? これ。
白い柱が、めちゃくちゃな方向に聳え立っている。
天井を見れば、同じような光景が。
二つの大地に挟まれた隙間に俺たちは居る。
惑星を囲むように配置された巨大な小惑星サイズの天体、そこに建つ柱が、普通のサイズであるはずが無い。
一本一本が火星のオリンポス並みに高く、大都市並みの太さを持っている。
言っては悪いが、こんなに巨大な遺跡を調査など出来るのだろうか?
「こういう構造物には、必ず中央があるもんさ。そこを目指すんだろ」
シアラが後ろから割って入ってくる。
俺も同じ事を思った。
「だけど、中央って言ったって...」
「ああ、参ったな」
この遺跡の中央が何処かなんて、調べなくともわかる。
あの惑星だ。
ここからは小さく見えるが、それは惑星自体が巨大だからであり、惑星の周囲に一つだけ浮かぶ円環もそれなりに巨大なはず。
「一ヶ月で帰れるかな、これ?」
「難しいでしょうね」
ブリッジに上がって来たペルソナが、そう答える。
だよなあ...
「遺跡の調査は後回しにして、こちらはこちらで嵐を晴らす方法を探そう」
「ええ、賛成です」
俺たちは何もやる事がない。
ただ、サボランに質問して、邪魔にならない範囲での自力調査なら出来るだろう。
「嵐の中心は分かってるんだよね?」
「ええ、ですが...」
ペルソナはそこの映像を上部モニターに映した。
俺はそれを見上げる。
黒い重力特異点が見え、それを中心に天井となる嵐の壁が形成されているのが見える。
その点の下に装置か何かがあると思っていた俺だったが、そこには何も無い。
「やっぱり、発生装置はあの惑星の中かな...?」
「はい、そうなるかと」
ここの遺跡はあくまでただの遺構でしか無い。
全てのメカニズムの中心にはあの星があるのだろう。
「まずはあの星に行きたいのはやまやまなんだけど...」
「何が起こるか分からないから、躊躇ってるわけか」
ナスカが俺の言葉を継ぐ。
その通りで、一番目立つ構造物には何かがある。
モノによっては自爆などされて、貴重な史料を吹っ飛ばしてしまう可能性だってあるのだ。
「私はこれまで通り過ごすけど、みんなはどうする?」
「アタシはブリッジにいるよ。非常事態に備えてね」
「俺もだ、リリーのバックアップが俺たちの役目でもあるしな」
シアラとナスカに聞いたつもりだったが、二人ともいつになく真面目だった。
俺は息を吐き出し、笑う。
「じゃ、任せるから...よろしくお願いします」
「はい」
「分かったぜ」
少しの尊敬を込めて、俺は二人に艦橋勤務を命じた。
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