274-目覚める遺跡群
その日。
帝星サルバンプライムは、目覚めた。
地響きと共に大地が揺れ、各地で遺跡が起動した。
帝城の地下にあったものを起点として、惑星中に張り巡らされたアルケーシア避難民が置いた基地が、次々と覚醒した。
だが、中でも最も大きい遺跡がある。
その名はホワイト・ノア。
帝国の伝説に伝わる、白い箱舟。
「な、何だ!?」
帝都から見て南部に位置する森。
そこにあった集落に住む農民たちは、凄まじい衝撃を受けて急いで家から逃げ出した。
そして、見た。
森がなくなっている光景を。
長い時間を経て堆積した土、その上にあった樹木が、底にあるものの覚醒によって崩れ落ちたのである。
混乱する民衆の中で、その下にあるものを見た者は叫んだ。
「下に何かある! 遺跡だ!!」
その大きさはすさまじいものである。
半径13kmの逆椀型の上部が完全に露出し、名の通りその純白の姿を顕わにしていた。
寸断された川から流れ落ちた水が、ホワイト・ノアのあった空間へ水を注いでいた。
「まさか、実在したとは.....連絡だ」
そして、その場にいた領主の男爵は、その純白の巨体を見て、かつて自分がここを任された目的を思い出し、慌てて館へと駆けだした。
「本当に申し訳ございませんでした」
「いや......構わない。中庭を充分に捜索しなかったのは私の落ち度だ......」
そして。
中庭に瞬間移動したリリーは、急いで皇帝のもとへ向かい、騒ぎは収まった。
周囲の反応としては、
「皇帝ですら見つけられなかったとは、流石救世主様だ」
「いや、地面を掘って戻って来たに違いない」
などと、全体的に好意的に受け止められて終わったものの、リリーの主観ではそうではない。
多くの人物に迷惑をかけたと、リアシュに頭を下げた。
「それでも、迷惑をかけたのは私です」
「....ああ」
「責任を取り、明日帰国しようと思います」
「分かった、見送りは無くて良いという事か?」
「はい」
リアシュはリリーの謝罪を受け入れるしかなくなり、帰国の簡略を認めた。
それを、シラルドは冷たい目で見ていた。
「兄上、どうしてそうヘタレなんだ」
「....口が過ぎるぞ、シラルド」
リリーが去ると、シラルドはリアシュに詰め寄る。
だが、取り付く島もないといった様子であった。
リアシュには後悔もあったが、とある事由から、リリーに拒絶されるのを酷く嫌った。
そして、シラルドが怒った理由も見抜いていた。
「お前が俺にそうする理由を、俺は既に知っている。だから、思ってもいない事で怒るのはやめろ」
「.......」
シラルドはそう言われると、同時にその顔から表情を消した。
怒気も、一瞬で消えた。
まるで、怒りなど本当は抱いていなかったように。
「お前が誰に吹き込まれて、どの仮面を被るかは、俺がよく知っている。だから俺は」
「....兄上、それこそ言葉が過ぎる」
シラルドは探られたくない場所を探られて、不快さを口調に出していた。
二人にはそれぞれ闇があり、それは国の問題と皇室の歪さと深く紐づいている。
「俺の配偶者も、俺の未来も、帝国の行く先すら、俺の決める事だ。お前は役割に徹しても、役割からは外れるな」
「.....ああ、兄上」
リアシュもそう言うほかなかった。
何故ならシラルドという人間は。
既に壊れているに等しいからだ。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




