272-アルケーシアの足跡
訂正しよう。
ここは迷宮の奥ではない、迷宮だ。
明確に「読めない文字」と対面したのは初めてだが、その幾つかは読めるので迷わずに済んでいる。
「何の施設なんだ.....?」
先ほどから人の気配を全く感じない。
空調らしいもの以外を除けば音すらない。
独り言で寂しさを紛らわせているが....
『ここは、第六中継基地 です』
「....!?」
その時。
壁に文字が浮かぶ。
中継基地....?
何の中継基地なんだ。
『ホワイト・ノアの第六中継基地 です』
「ホワイト・ノア?」
随分と、地球のものっぽい名称が出てきたな。
それが何なのかは分からないが、とにかく奥に向かわないとな。
そう思うと、案内するように光のラインが足元に伸びていく。
「思考を読む技術.....」
明らかに、帝国でも王国でも見なかったものだ。
脳波を読んでいるなら、王国でも同じことはできるだろうが......仮にここが軍事施設だとして、そんな機能を置く必要性を感じない。
「なんだ、ここ.....」
長い通路を抜けた俺は、広大な空間へと出る。
そこには、恐らく二基の何か機械の様なものが収められていた。
......何だこれ?
『第四百五十三型アロクス型独立偵察機 です』
「どこの国のものだ?」
『アルケーシア』
アルケーシア?
その名前は、どこかで聞いたことがある。
どこだったか.....
「進むか」
ここは単なる中継基地だというし、奥に進まなければ大したものはないんだろう。
幸いにしてこの基地のシステムは俺を歓迎している。
選択肢は奥に進むことしかない。
先ほど偵察機があったから、外に出る事は出来るんだろうが.......
「本当に基地なのか.....」
真っすぐ奥に行けないところが、基地そのものだ。
ただ、疑問は残る。
何でこんなものが、帝都の、それも帝城の地下にあるんだ?
「さてと」
ラインに従って基地の内部を歩いていた俺は、再び壁にぶつかった。
ラインは壁に向かって伸びている。
つまりは、同じ仕組みの扉という事だ。
「(これ、効率悪くないか......?)」
再び手のひらを押し付け、扉に吸い込まれる。
目を閉じて開ければ、薄暗い通路が見えた。
今までとは打って変わって薄暗い雰囲気に、俺は空気が変わったと錯覚を抱く。
通路を抜けると、冷たく新鮮な空気を感じた。
先ほど入れ替えたように、綺麗な空気だ。
「これは.....」
ただ、空気などはどうでもいい。
その最奥に何があったかと言えば、広大な空間である。
ただその空間の壁面には、精緻な壁画が彫り込まれ、中央には何かの像が置かれていた。
「ここは....ここは何だ? 何故、基地の最奥にこんなものが!」
俺の想像していたブリッジも、そこで俺を待っている人間も、そういうものが一切ない異質な空間。
その疑問に応えるように、壁画の一つが光った。
俺がそちらを見た途端に、声が響いた。
『第六シュペントス中継基地の役割は、”巫女”に何が起きたかを伝達するために、存在しています。正しき歴史を、アルケーシアの滅びゆく姿を、最も残しやすい形で残し、その補佐として私が語ります』
アルケーシアは滅んだのか?
俺は困惑する。
滅んだのなら、俺はその名前をどこで聞いた?
分からない事だらけだ。
今はとにかく、耳を傾けてみよう。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




