269-帰国準備
帰国まで、三日を切った。
俺は帰り支度を済ませるために、貰い物と貸与物の仕分けを行う。
貴族からの贈答品は貰いものだが、その範囲を超えたものは貸与物――――貰ってはいけない収賄の扱いで処理する。
多少の失礼は、王国の治外法権で処理するしかない。
一旦帝室に返却し、その後適切な処分を行ってもらう。
「物資の積み込みは終わった?」
『はい、惑星上ですので、スムーズに終わりました。それから、王国への持ち帰るサンプル二十六品目の指定量購入と、カーゴスペースへの収納が終了しました』
「了解」
それから、弾薬類の調達。
設計図はライセンスともども購入済みなので、素材を調達して艦内工場で直接製造することにした。
帝国基準のミサイルは技術レベルが低すぎて使えない。
ランチャーの規格にも合っていない。
まあ、流石に帝国を抜けるまでに戦闘になる事は無いだろうから、不足分の補充だけではあるが。
『本当にシールドミサイルは要らないんですか?』
「戦闘にならないんだから、要らないでしょ」
『了解』
燃料を満載しておけば、王国までの道のりで足りなくなるという事はない。
ギリギリ足りるというくらいの感覚だから、一度補給を挟めばいい。
「あ、これは」
俺は箱から服を取り出す。
帝星に来た時に、贈られてきて困ったドレスだ。
これは.....まあ、処分でいいな。
「思えば、悪趣味フルセットだな」
後から贈られて来た帝室騙りの品も、結構な品物ばかりだ。
身につけると呪いを振りまくとされるブレスレットやら、貴方が嫌いですという意思表示になるイヤリング。
シラルドに相談しなければ、その正体も分からなかった。
嫌な国だな、まったく。
良い人と悪い人が両立する例を、俺はここで初めて知った。
何故なら、常識が違うのだ。
どんなにいい人だったとしても、生まれた頃から当たり前に行われて来た差別を行う事に抵抗はないのだ。
反対運動というものすら存在しない環境には、驚かされるばかりだが。
「よし」
俺は仕分けを終え、次に人間関係の整理を行う事にする。
まずは、サフィア嬢を含めた知り合った令嬢数人に、それぞれ別々の内容の手紙を書く。
サフィア嬢は善人の気配を感じるから、俺個人としてのハッピーエンドとしては皇帝と結ばれて欲しいものだが。
「届けばいいけど」
俺は便箋をメイドに渡す。
そして、次にメールを書く。
宛先はケレンにだ。
俺の自己満足に巻き込んで申し訳ないと、俺は先に帰るけれど、ぜひ勝って返答を貰いたいと。
まあ、メールで構わないだろう、面識も少ないしな。
礼儀だけは欠かさないようにしておく。
「........何だかんだ、長く居たな」
ここで目覚め、飯を食べ。
それが日常の一部になりかけていたことに、俺は驚いていた。
ただ、ここでの生活は、休暇の一つに過ぎない。
再びオリオンの生活に戻る事に抵抗はない、ここでの生活は楽だが、人との付き合いはオリオンに乗っている時より気を付けることが多いからだ。
さて、準備を続けよう。
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