265-デートのご招待
翌日。
リアシュは再び招待状を認め、筆をペン刺しに挿す。
それを、傍らにいたロデアに渡した。
「これを届けてくれ」
「......中を見ても?」
「構わない」
ロデアは手紙を読む。
そして、溜息をつく。
その所作に、リアシュは眉をひそめた。
「.....なんだ、何か文句があるのか?」
「あります。....陛下、本当にあの御方に好意を抱いているのですか?」
「そ、そのつもりだが」
ロデアは手紙を机に置くと、両手を机に叩きつけた。
鈍く重い音が響き、リアシュの両目の瞳孔が開く。
「よいですか、あと一週間しかないのでしょう」
「あ、ああ」
「恋愛は奥手であるうちは決して成り立たないのです、今度の決戦で、必ず決着をつける――――それ程の覚悟で臨まねば、結果は得られません」
「....わかっている」
リアシュは奥歯を噛み締める。
自分が奥手かつ、そのせいで多くの者に迷惑をかけている事も。
だが。
「俺は、中途半端に仕掛けて玉砕するのは、嫌だ.....!」
「正直でいいではありませんか、玉砕もまた人生です。結果を知らずに終わるより、結果を知って終わった方が、陛下にとってもよいのではありませんか?」
「........」
やらない成功よりも、やる失敗。
結果を知り、成長する事もまた重要である。
それを、ロデアは伝えたかったのだ。
無論、無礼である。
無礼討ちになる事も、覚悟の上での忠告だった。
「お前の言うとおりだ、変わらないな.....お前は」
「私は、陛下の恋路を応援する者の一人です。どうか、至宝を手にお入れください」
生涯で一度しか手に出来ず、そして多くのものが手に入れられなかったもの。
自分もまた、後者である。
だからこそ、ロデアは瞼の裏に初恋の相手を思い浮かべ、手に入れる事の出来なかった花を手にする権利を持つ皇帝を応援しているのだ。
もう一度書かれた手紙を確認したロデアは、封印を施すと、それを外へと持ち出すのであった。
「ふ~ん、なるほどね」
俺は手紙の入れ物をゴミ箱に捨てた。
長々と色々書いてあったが、要点は一つだ。
帝都を案内するが、警備の関係上貸切状態になってしまう事。
それから、食事代や買い物代は帝室が支払うとの事だ。
もちろん、そんな高い買い物をする気はない。
便箋をレターボックスにしまうと、俺は席を立つ。
昼食ついでに読んでいたものだ。
ベルを鳴らしてメイドを呼び、昼飯のワゴンを下げてもらう。
「.....中々、楽しかったな」
この生活に慣れてはいけない。
戻ったら俺は職を辞して、惑星で暮らすのだから。
帝国では超大金持ちの俺でも、王国では富裕層にすら届かない。
どうやって食べていくかも考えないとな。
「アルとも別れることになる、か」
まあ、ペルソナがいれば生活に不安はない。
アルがいないと寂しくはなるが、それだけだ。
「ちょっと寒いな」
俺は巧妙に目立たなくされたパネルで室温を操作する。
そして、再び席に座る。
携帯端末でエグニカ・ドールクライスを起動、遊び始めた。
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