259-剣闘士大会
「大きな行事ってこれか」
俺は呟く。
突然届いた招待状に、近々開催される剣闘士大会の観覧へのご招待とあったためだ。
メイドに頼んで持ってきてもらった朝食のパンケーキを食いつつ、内容を見る。
内容としては、まあスポーツのようなものらしい。
刃を引いた剣で、どちらかが再起不能になるまで戦うと。
野蛮に思えるが、ボクシングでも似たようなものだ、どちらかが戦闘不能になるまで戦う。
「たまにはいいか」
スポーツにあまり興味のない俺だったが、別に嫌いではない。
自分が背伸びしたって出来ないことを出来る人らが、頂点をかけて競い合う。
凄い事だ。
それに、剣闘士なんて地球ではもう見れない。
ぜひ行くべきだ。
「同行者可能なら、アルも誘おうかな」
アルとは最近対面で会えていない。
帝城の門扉は固く閉ざされ、アルは俺に会えないからだ。
こういう機会は利用しないとな。
「美味しかったと、作った人に伝えてください」
「はい!」
俺は食べ終わったプレートを片付けてもらい、代わりに貰った茶のポットから茶を注ぐ。
――――悠々自適な生活。
そう思うかもしれないが、実際は鳥籠の中の鳥のような気分だ。
皇帝はほぼ毎日俺を呼びつけるし、出歩けば他人にいらぬ腹を探られる。
茶会にはあれ以来招待されていないが、あまり歓迎はされていない。
唯一タメで話せるナスカは顔を出さないしな。
「(早く帰りたいな...)」
やりたい事は沢山ある。
だというのに、もう二週間も釘付けだ。
リコール完成までに、商会を設立しておきたいんだが....
結局帰りたいと言い出せなかった。
日本人の気質というか、俺がへたれたのが悪いか。
誰かが重要な話をしているところに私情を挟むのは気が引ける。
「あー、もしもしシラルド?」
『ナスカでいい。それより、何の用だよ?』
見かけないナスカも、電話すれば出る。
今日は市井に出ているみたいだな、周囲が騒がしい。
「またお酒?」
『るせぇ、飲まずにやってられるか』
「ふうん」
自分の部屋で飲めばいいのにとは思うが、ナスカなりの考えがあるんだろう。
それは俺が干渉する事ではない。
「今度の剣闘士大会、ナスカも誘おうと思って」
『俺は行かねえよ』
「どうして?」
『出来レースだからさ』
そんな事はないとは思うが、それっきり電話は切れた。
俺は少しの不穏なものを感じる。
皇帝がわざわざ推してくるだけはあるスポーツだ、そんな不正が行われているとは思えない。
「散歩でも行くかぁ」
不安はあるが、まあそれが終わったら帰れるはずだ。
俺は席を立ち、クローゼットを漁る。
「....やっぱこれでいいか」
ここに来た時の服装をして、俺は部屋を出た。
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