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輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~  作者: 黴男
ε-エストジール帝国編(後編)

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259/404

256-夜、ベランダにて

シラルドが乱入してきた後。

とりあえず食事を終え、お茶を飲んだ後。

皇帝が俺を、別の場所へ呼んだ。

「ここは目が多い」と言っていたので、二人で何か話したいことがあるんだろう。


「寒くはないか?」

「いえ、大丈夫です」


皇帝の私室らしき場所を通過して、そのバルコニーへと出た。

外の空気に触れるが、そこまで寒くは感じない。

食後で身体が火照っているのもあるだろう。


「...先程は、すまなかった」

「いえ、大丈夫です」


シラルドのような人間を、俺はどこかで見たことがあった。

ハルキだ。

今の今まで忘れていたし、当時の俺は気付いてもいなかったが。

無理をしているように、思えてならなかった。

不良ぶって見せて、それで俺が反対したから、あいつは死んだのかもしれない。

誰かに認めて欲しかっただけなんじゃないかと。

多くの人間には分からないことだ。

承認欲求、本当の承認欲求というのは、自己の存在を肯定的に認識されたいという事にあると思う。

寂しさ、虚しさではない。


「シラルド様は、何故あのような振る舞いを?」

「分からない。私とシラルドは仲がいいと思っていたのだが、実はそうではなかったというのだろうか」


シラルドがそうなる前があったということか。

俺は気になって、質問を重ねようとする。


「...シラルドの話はまた後にしよう、それよりも。私は君に伝えたいことがある」

「何でしょうか?」

「............」


それきり黙る皇帝。

俺はどうしていいか分からずに、立ち尽くす。


「...いや、やはりよそう。このような話を君にするべきではない」

「そうですか」

「ただ、これだけは聞かせて欲しい」

「はい」

「...帝国は、よい国であったかな」

「...」


いい国か。

そう言われると、最近のあれこれが脳裏に浮かぶ。

シラルドの扱いも。


「いい国か...という問いになら、違うと思います」

「...! 何故だ?」

「昔からの問題は放置され、そのせいでシラルド様も苦しんでいます。悪い人たちばかりだとは思いません、けれど...あのように罵詈雑言を浴びせられても、シラルド様が耐えるしかないというのは、変です」

「...ウォルタール人問題か」


当然知っているだろうな。

ただ、根深い問題だ。

俺がここで進言したところで、皇帝だけでは現状を変えられないのだろう。


「来てよかったとは思います。招待頂き、ありがとうございます」

「それは良かった」


前置きのせいで、皇帝は俺が素直に嬉しいと思っているか疑っているだろう。

ただ、来て良かったのは本当だ。


「...この場においては、無礼講で構わない。正直に話して欲しい、シラルドをどう思っている?」


その時、皇帝がそんなことを言ってきた。

ナスカをどう思っているか...か。


「シラルド...ナスカの事なら、嫌いです」

「...何故?」

「皇族であることを隠して、ついて来たからです。人を騙すことは、権力者だからこそ一番してはいけないことだと私は思います」


自分が皇族だと明かせば、王国政府も動いたはずだ。

それでなくとも、一文なしのフリまでして。

俺たちに同行して、結局心の中では何を考えているかも分からない。

体に施された卑下の象徴も自分で施したというし、尚更だ。


「...シラルドは、確かに自分から悪行に走っていた。消えた時、安堵した者もいたはずだ。だが俺は、シラルドがそんな悪だとは認められない」


家族の情や色眼鏡、そう言い切るのは簡単だ。

ただ、本当に何か理由があるのではないかと、俺は内心感じていた。


「...話が長くなってしまったな、一杯付き合って頂けるか?」

「あ、それはお断りします」

「そうか、酒は苦手だったか」


明日も何かあるに違いない。

酒は控えておこう。

俺は皇帝に別れを告げ、下階の部屋まで戻るのだった。


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