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輸送艦オリオン~SF異世界に転生したら、女体化したうえ大型輸送艦の艦長になりました!最強輸送艦で商人プレイ!~  作者: 黴男
ε-エストジール帝国編(後編)

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243-歓迎式典

帝城の地下には、巨大なホールがあった。

帝国の儀礼に従い、俺は一番最初に入場する。

万雷とも評されるような拍手が耳朶を打つ。

この場に仲間はいない。

アルとペルソナは客賓席に居る筈だ。


「(さて)」


俺は事前に教わった通り、用意された階段状の客席の間を通って会場の真ん中へ立つ。

拍手が止み、背後で入場が始まる。

そして、今まで目立っていなかった楽団によるバックグラウンドミュージックが展開される。

やはり帝国のルールでは、偉い者から順に入場するようだ。

なんとかという伯爵や、なんとかという子爵が次々と背後に座っていく。

俺はふと、前を見る。


「......」


栄えある帝国の皇帝は、俺の遥か前で玉座に座り、笑顔を見せている。

彼は何を思っているんだろうな。

ナスカはこの場にはいないし、目のやり場がない。


「デドリア辺境伯、そちらの席へ!」


その時、声が響く。

俺は振り返らなかったが、唯一知っている名前が出てきた。

後も永遠と思えるような時間を過ごす俺。

足が棒のように感じられる用になって来た時、


「出席者の全員参加を確認した! これより式典を開始する!」


先ほどから声を張り上げている男が、式典の開始を表明する。

よく見れば、ジャミアンと同じように紋章入りのアーマーを付けている。

近衛騎士団長の一人なのだろう。


「陛下、開始の合図をお願いします」

「ああ」


上の段に立っていた彼は、玉座へと降りてきて皇帝に話しかけている。

皇帝は頷くと、席を立つ。

背後で、席を立つ音が聞こえる。

最初から立っていた俺とは違い、椅子に座っていた貴族たちが、皇帝の起立に応じて席を立ったのだ。


「これより、遥かなる国より来た英雄を讃える式典を行う。――――国歌を斉唱せよ!」


また国歌か。

そう思った俺だが、この場合は役割が違うのだろう。

先ほどは歌っていたのは庶民たちだけだったが、この場においては貴族たちが声を張り上げ、歌わなくてはならない。

それが、何か大きな意味を持つんだろうな。

国歌の斉唱が終わると、皇帝が右手を軽く上げた。

それだけで、ざわめきは消え去る。


「よろしい、ロデア。君からも挨拶するといい」

「はっ」


皇帝は右に向かって話しかける。

ロデアと呼ばれた男が、俺の前に進み出て、礼をする。


「ロデア・アジール・スカメッシュ...皇帝の側近です、英雄の救世主様、ようこそおいでくださいました」

「ありがとうございます」

「君も挨拶したまえ」


ロデアが下がった直後、皇帝が左に話しかけた。

そこには誰もいないはず――――そう俺が思った時。


「はい」


冷たい声が、場を震わせる。

今まで、そこに誰もいないと思っていた。

唐突に現れたような男がそこに立っていた。

身長190cmはあると思うのだが、何故目立たなかったんだ?


「グラハム・エギン・サルーク・オロイカです。宰相を務めています」

「....どうも、ありがとうございます」


どう考えても宰相というより騎士なのだが、誰も突っ込まないところを見るに、本当にそうなのだろう。


「ふっ、では私も挨拶と行こう――――」

「....!」


喉を、唾液が通り抜ける。

王座から立ち上がった状態の皇帝が、一歩ずつこちらへ向かってくる。

彼は俺から数歩の位置で立ち止まり、真っすぐに俺を見据えてきた。

俺も負けじと、視線を合わせる。


「よくぞ参った、救世主殿。――――私はリアシュ・サマドール・サエル・カナバスタ・エストジールだ」

「.....」


ええと、こういう時どうすればいいんだ?

俺が戸惑っていると、皇帝が右手を差し出してきた。

慌てて、左手で握手に応じる。


「あ....ごめんなさい、間違えました」


すぐに非礼に気付く。

手を放して、右手で再び握手をする。


「構わない、ありがとう」


そう言うと、退く皇帝。

低く見られたかもしれないな、慌て過ぎていた。

とんでもない無礼だった筈だ。


「さて、ハフニマル殿に代わり、私は帝国を代表して貴方に感謝の意を示したい」

「........」


来た、感謝という建前の贈り物が。

ペルソナから、危険性を指摘されていたことだ。

何を貰っても、帝国に利用されることになる。

剣、爵位、土地、勲章。

これらは絶対断らないといけない。


「と言っても、王国の人間であるそなたに、大したものは差し上げられない。そこで私は、これを贈ろうと思う」


皇帝が指を鳴らすと、騎士数人が何かを携えてやってくる。

大きい箱だ、何が入っているんだ?

しかし、いざ箱が開くと中には小さな箱だけがあった。

皇帝はそれを丁寧に開き、俺に見せてきた。


「感謝の印として受け取って頂きたい、もし気に入ったならば、身につけて欲しい」

「...!」


ネックレスと、イヤリング?

まあ、これくらいならいいか。

ネックレスは菱形で、真ん中に同じく菱形の加工がされた琥珀色の宝石が嵌っている。

イヤリングは、たまに見るタイプの板状のものだ。

見る感じ、金箔が塗布してあるな、純金にしないのは重量の関係だろうか。

俺は謹んで箱を受け取る。


「では、そなたは異国人故に、堅苦しい手続きは苦痛に感じると私は思う...式典はこれをもって終了する、楽団は演奏を続けよ!」


え、もう終わりなのか。

そう思う俺の横で、楽団が演奏を再開した。

背後で席を立つ音が響く。


「ああそうだ」

「っ、はい」


俺も帰ろうかなと思っていた時、皇帝が俺に呼びかけた。


「式典の後に、宴が開かれる。是非参加して行ってほしい」

「わかりました」


強制だろうな。

俺は内心憂鬱な気分だったが、諦めてホールを後にするのだった。


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