5-3 魔物たちの杜撰な現場(仕様変更の嵐)
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第5章の第3話をお届けします!
圧倒的な威圧感(?)でオークとゴブリンを降伏させたバルドたち。
そのまま案内された魔物たちの集落で彼らが目撃したのは、血生臭い魔窟……ではなく、泥沼化した「超・ブラック現場」でした。
元PMの社畜魂と胃痛が暴走する、バルドの現場改善劇をお楽しみください!
土下座したオークのリーダーに案内され、バルドたちは魔物国家の深部にある集落へと足を踏み入れた。
そこは不気味な魔窟というよりも、惨憺たる有様の大規模な建設現場だった。
「ウギャー! また屋根が崩れたぞー!」
「グガッ! 上からの指示で、壁の素材を石から木に変更しろって言われたんだよ!」
「木なんかどこにあるんだよ! 資材の納期は昨日だったんだぞ!」
あちこちで悲鳴と怒号が飛び交っている。
集落の中央では、ゴブリンたちがフラフラになりながら無計画に穴を掘り、オークたちが重い資材をあてもなく往復して運んでいた。
作ったばかりの小屋を自分たちで叩き壊し、また一から作り直している凄惨な光景が広がっている。
「ひ、酷い有様ね……。魔王からの理不尽なシステム改変のせいで、現場の仕様変更が連日連夜続いてるみたい」
マヤが顔を引きつらせながら、集落の混乱ぶりを観察して呟いた。
「マジっすか。これじゃまるで、納期に追われてデスマーチしてる開発チームっすね」
ジークが呆れたように肩をすくめる。
(なんだ……この惨状は……!?)
その光景を目にした瞬間、バルドの胃が激痛とともにキリキリと収縮した。
工程管理(工程表)のない無計画な作業。
共有されていない仕様変更。
資材の無駄遣いと、限界を迎えて目の下にクマを作っている労働者たち。
前世で何度も目撃し、自らも巻き込まれた
「最悪の炎上プロジェクト」
の記憶が、鮮明にフラッシュバックしたのだ。
(工程表はどうした!? 業務フローはどうなっている!? 誰がこの現場の進捗管理をやっているんだ……っ!?)
プロフェッショナルとしての憤りと胃痛が混ざり合い、バルドの顔面は前話以上の凄絶な鬼の形相へと変貌した。
三白眼は血走り、頬の傷跡がピクピクと跳ね上がる。
「グガッ……!? 悪魔様が怒っておられる……!」
「ひぃぃっ! 俺たちの不手際でお咎めを受けるぞー!」
作業の手を止め、バルドの恐ろしい顔面を目撃した魔物たちが、恐怖のあまりガクガクと震え出した。
「……おい」
バルドは腹を固く押さえ、腹の底から低く地鳴りのような声を絞り出した。
「——この現場の責任者は、誰だ」
その静かな、しかし圧倒的な威圧感に、魔物たちは悲鳴を上げながら一斉に平伏したのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
第5章のエピソード3でした!
凶暴な魔物国家の正体は、無計画な仕様変更に振り回される「超・ブラック現場」でした。
元営業PMとしての血が騒ぐ(そして胃が痛む)バルド。
次回、バルドがこのブラック現場に「業務改善(工程管理&ガントチャート)」の鉄槌を下します!




