5-1 出撃前のリスクヘッジ(魔物国家の調査)
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いよいよ本日から新章「第5章:魔物国家編」がスタートします!
前世で自分を刺殺した犯人の顔(今の自分)と、殺された前世の自分の顔(魔王)。
この理不尽すぎる対比による風評被害(悪役認定)の恐怖に震えるバルドは、直談判も無謀な突撃もリスクが高すぎるため、まずは周辺勢力の調査と足場固めへと動くことに。
顔面凶器の元営業PMが挑む、次なる現場はまさかの「魔物たちの国家」!?
胃痛を抱えたバルドの新たな奮闘をお楽しみください!
フェルグランツ王国、王宮地下の特別倉庫。
醤油の香ばしい匂いが漂う中、バルドは胃薬のない腹部を強く押さえながら、深く重い溜め息をついた。
(前世の……俺の顔……っ)
頭に焼き付いて離れない、マヤが見せた魔王のホログラム。
黄金の髪に神聖なまでの美貌。あれは紛れもなく、ナイフで刺殺される前の「自分自身の顔」だった。
そして、今の自分は――
前世の自分を容赦なく刺殺した、あの凶悪な『殺人犯』の顔。
凶悪な三白眼と凄惨な傷跡を持つ、まさに顔面凶器だ。
もしこの顔で、あの超絶イケメンな「前世の自分(魔王)」の前に躍り出ればどうなるか。
『見ろ! あの凶悪な刺客が、神聖で美しい魔王様を襲撃しているぞ!』
と民衆から叫ばれ、自分が悪役として世界中から指名手配される未来しか見えない。
(殺されたのは俺の方なのに……なんで殺した奴の顔で、被害者の俺(魔王)に悪役扱いされなきゃならないんだ……っ!!)
理不尽すぎる運命の悪戯に、血の涙を流しそうになる。
「……バルドさん、大丈夫? 胃に激痛が走ってるみたいな顔してるけど……」
マヤが分厚い眼鏡の奥から、心配そうに覗き込んでくる。
「いや……問題ない」
バルドは低く掠れた声で答え、三白眼を鋭く光らせた。
「マヤ、提案だ。魔王の討伐だが……いきなり本丸へ突撃するのは『リスク管理』の観点から下策だ。まずは敵のサプライチェーン、および周辺勢力の動向を調査・把握する」
「サプライチェーン……? 周辺勢力って、魔王軍の末端組織のこと?」
「そうだ」
バルドは腕を組み、厳かな口調で言葉を続けた。
「敵の本拠地に乗り込む前に、まずは周辺の状況をクリアにし、こちらの補給線を確立する。急がば回れだ。プロジェクトの炎上を防ぐ基本中の基本だろう」
(要するに、あのイケメン魔王と遭遇する確率を極限まで下げつつ、時間稼ぎと準備をするための足場固めだ……!)
心の中で切実な叫びを上げるバルドだったが、マヤは「さすがプロマネ……完璧な段階的リリース(フェーズ分け)ね!」と一人で深く感動していた。
「それなら、うってつけの場所があるわ」
マヤは杖を軽く振り、空中にこの大陸の地図魔法を展開した。
フェルグランツ王国の北東に広がる、黒く塗られた広大な山岳地帯を指し示す。
「ここよ。オークやゴブリンといった魔物たちが集落を作っている『魔物国家』エリア。最近、魔王からの理不尽なシステム改変のせいで統率が取れなくなってて、狂暴化した魔物たちが人里へ溢れ出しそうなの」
「魔物国家……っすか!?」
ジークが身を乗り出す。
「オークとかゴブリンって、話が通じない暴徒の集まりじゃないっすか! 大丈夫なんすか?」
「ええ。本来なら凶暴な連中だけど、魔王軍の『補給拠点』や『兵隊の発注元』になっている可能性が高いわ。ここを正常化できれば、魔王の勢力を大幅に削ぐことができるはずよ」
マヤの説明に、バルドは重く頷いた。
「よし……決まりだ。フェルグランツ王国の治安維持と、我々の補給ルート確保を兼ねて、まずは『魔物国家』の現地調査へ赴く」
「了解っす、バルド先輩! 暴れる魔物どもは俺の剣で一蹴してやるっす!」
「私も同行するわ! 現場のバグ(システム異常)の検出はプログラマーの私の役目だしね!」
頼もしい(?)仲間二人の言葉を聞きながら、バルドはそっと胃のあたりを撫で下ろした。
(よし……これで当面はイケメン魔王と鉢合わせずに済む。魔物相手なら、どんなに凶暴だろうと『風評被害』を気にすることもない。言葉が通じないなら、威圧感で圧倒してサクッと調査を終わらせよう)
自分がこれから足を踏み入れる「魔物国家」が、杜撰な現場管理と悲惨な労働環境に満ちた『超・ブラック現場』であることを、この時のバルドはまだ知る由もなかった。
こうして、バルドたちの次なる戦いの舞台は、凶暴な魔物たちが蠢く「魔物国家」へと移るのだった。
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ありがとうございます!
「第5章:魔物国家編」がスタートいたしました!
自分を刺殺した犯人の顔に転生してしまったバルド。前世の自分の顔(美男子魔王)との遭遇と最悪の風評被害を回避するため、段階的リリースと称して魔物国家の調査へ舵を切りました。
しかし、向かった先は言葉の通じない(?)凶暴な魔物たちの巣窟。
果たしてバルドの顔面凶器と管理術は、オークやゴブリンたちに通用するのか……!?




