4-6 衝撃の要件定義(魔王討伐の相談)
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第4章の最終話となるエピソード6の更新です!
居酒屋ノリで完成した醤油を味わい、前世の愚痴で一致団結したバルド、ジーク、マヤの3人。
しかし宴もたけなわのところで、マヤから語られた「ある重大なバグ駆除」の要件定義。
そこに提示されたターゲットの顔を見た瞬間、バルドを前代未聞の衝撃と絶望が襲います!
顔面凶器のバルドが直面する、まさかの展開と胃痛の再発をお楽しみください!
フェルグランツ王国、王宮地下の特別倉庫。
醤油の芳醇な香りとお酒の熱気が残る中、マヤは分厚い眼鏡の位置を直し、凛とした表情でバルドを見つめた。
「それじゃあバルドさん、改めるわね。私があなたに持ち込んだ『重大なバグ駆除』――要件定義の説明に入るわ」
「……あぁ。話を聞こう」
バルドは腕を組み、三白眼をわずかに細めた。
プログラマー出身のマヤが「バグ」と称するほどの案件だ。異世界特有の厄介な事態であることは間違いない。
マヤは小さく息を吸い、重々しく告げた。
「討伐してほしいターゲットは一人。……世界を裏から揺るがしている『魔王』よ」
「……魔王だと?」
バルドは思わず眉間にしわを寄せた。
ただでさえ顔面凶器と呼ばれる彼の顔が、怒りと困惑で恐ろしい威圧感を放つ。
「マジっすか!? 異世界ものの定番、魔王討伐クエストっすか!?」
ジークが肉を咥えたまま目を輝かせる。
「そうよ。でもね、単なる強力なボスキャラじゃないの」
マヤは心底嫌そうな顔をして、自身の杖で空中に小さなホログラム魔法を展開した。
「これが現在の魔王よ。顔だけは無駄に良くて、世界中の信者を洗脳して自分の思い通りにシステム(世界)を書き換えようとしている最大のバグ……!」
そこに映し出されたのは、一人の青年の姿だった。
黄金の髪、涼しげで完璧な目鼻立ち、光を纏うような圧倒的なカリスマ性を放つ――誰もが一目で心を奪われるような絶世の美男子。
だが、そのホログラムを見た瞬間、バルドの思考が完全にフリーズした。
「……え?」
喉から間の抜けた声が漏れ出る。
目を見開き、食い入るようにホログラムを凝視するバルド。
(な……なんだ……この顔……っ!?)
見覚えがありすぎる。というか、毎日鏡で見慣れていた顔だ。
そう――そこに映し出されていたのは、前世(現代日本)の自分自身の顔だったのだ!
前世のバルドは、仕事中毒で自分の容姿にまったく無頓着だったが、実は誰もが振り返るほどの超絶イケメンだった。
しかし、異世界に転生した今の姿は、ヤクザも青ざめる凶悪な三白眼と凄惨な傷跡を持つ「顔面凶器」。
(な、なんで……俺の前世の顔が『魔王』として暴れ回ってんだよ!!!???)
絶句するバルドの横で、ジークがパチパチと瞬きをした。
「あれ……? 先輩、なんかすっごい固まって……」
「バルドさん……?」
マヤが心配そうに覗き込んでくる。
(待て……待て待て待て!!!)
バルドの脳内で、恐ろしいシミュレーションが凄まじい速度で駆け巡る。
前世の「超・爽やかイケメン」な自分の顔をした魔王。
対して、今の「超・凶悪顔」な自分。
もし、この姿のまま戦場へ出向き、民衆の前で魔王と対峙したらどうなる――!?
『見ろ! あの凶悪で恐ろしい顔をした男が、あんなにも美しく神聖な魔王様を襲っているぞ!』
『バルド・コーウェンこそが真の悪魔だ! 奴を討伐しろーっ!!』
(絶対にそうなる!!! 確実に前世の自分の顔に負けて、俺が悪役として指名手配される!!!)
「ぐわぁぁぁぁっ……!!」
バルドは頭を抱え、胃を押さえて激しく蹲まった。
前世の自分の顔に敗北し、悪役として世界から追い詰められる未来。
こんな理不尽な風評被害があっていいはずがない。
「ひぃっ!? バルドさん、やっぱり急すぎるリソース配分だったかしら!?」
マヤが青ざめて手振りを激しくする。
「……大丈夫だ……」
バルドは血の涙を流しながら、必死に胃薬のないお腹を押さえて立ち上がった。
「マヤ……要件は預かる。だが……拙速な出撃は炎上の元だ。十分な計画と準備(対策)を行ってから動く……!」
「さすがバルドさん! 完璧なスケジュール感ね!」
マヤは感動したように頷いた。
♢
こうして、醤油作りの成功と仲間(転生者)の加入という大歓喜の裏で、バルドは「前世の自分の顔(魔王)」という最悪の対比ターゲットを突きつけられ、底知れぬ胃痛と共に次なる戦いへと巻き込まれていくのだった。
(第4章:完)
第4章を最後までお読みいただき、
本当にありがとうございました!
これにて「第4章:魔法国家ドゥブロニア編(マヤの登場)」は完結となります!
無事に醤油が完成したのも束の間、マヤから提示された魔王の顔がなんと「前世の自分の顔(超美男子)」だったという怒涛の衝撃展開で幕を閉じました!
前世の自分と今の顔面凶器な自分を見比べられ、悪役扱いされる恐怖に震えるバルド(笑)。
次回からは「第5章:魔物国家編」がスタートいたします!
バルドは一体どうやって前世の自分(美男子魔王)と立ち向かうのか……!?




