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顔面凶器の一般兵、死に際の美青年騎士団長に弟と指名され王国最強へ強制成り上がり!  作者: マサッチ
第4章 魔法国家ドゥブロニア編

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4-2 天才魔導師マヤの隠密偵察(モニタリング)

いつも応援ありがとうございます!


さて、第4章エピソード2の更新です!

前回、ジークの気合いが入りすぎた警備によって「世界を滅ぼす禁忌のマテリアル」に昇格してしまったただの大豆。

今回は、その異様な極秘物流(大豆の輸送)をいち早く察知した、魔法国家ドゥブロニアの天才魔導師「マヤ」視点のお話です。

理系プログラマー出身の彼女の目には、ジークの警備や大豆の輸送が一体どう映っているのか……?


勘違いの解像度が上がっていく様子をお楽しみください!


魔法国家ドゥブロニア


最先端魔導研究所の最奥。


暗がりの中、無数の数式と魔法陣が青白く発光する魔力スクリーンが、部屋いっぱいに浮かび上がっていた。


「……あり得ないわ。こんなトラフィック(物流)、聞いたことがない」


スクリーンを前に、分厚い眼鏡を押し上げながら呟く少女――マヤ。


前世は現代日本で不眠不休の仕様変更に耐え続けたバックエンドエンジニアであり、現在は魔法を「コード」として解釈・最適化することで若くして最上位に上り詰めた天才魔導師である。

マヤの指先が空中を叩くと、スクリーンに一本の街道の拡大映像が映し出された。

隣国からバルドの治める王都へと続く一本道。

そこを、過剰なまでの重装騎士団が取り囲み、整然と進軍していた。


「報告書によれば、運んでいるのは単なる穀物――『大豆(ダイ・ズ)』とのことだけど……嘘ね。完全にダミーの命名(命名規則の偽装)だわ」


マヤは冷ややかな目を細めた。

スクリーンに映るジークは、大豆の載った馬車の横で目をギラつかせ、街道の木々に鋭い視線を走らせている。


『おい! そこの3号車、車輪の軸が5ミリズレてるぞ! 振動で中の素材(大豆)に負荷がかかるだろ! 直ちにパッチ(修正)を当てろ!』


「は、はいっ! 直ちに!」


マヤの背筋に、ツーッと冷たい汗が伝った。


(なんなの、あの極限まで統制されたセキュリティプロトコルは……! 輸送物の微振動すら許さないなんて、樽の中に格納されているのはただの穀物じゃない。高密度な魔力エネルギーを充填した『新型ナノデバイス(データストレージ)』に違いないわ……!)


マヤの理系脳が、ありもしない「ハイテク軍事兵器」の存在を勝手に演算し出していた。


(あの傲岸不遜で、誰の仕様書(指示)にも従わなかった隣国の『狂犬』ジークが、完全に優秀なインフラエンジニアとして機能させられている……。一体、どうやって彼をそこまでコード(規律)化したというの……?)


マヤはスクリーンを操作し、今度は王都の内部へと視点を切り替えた。


馬車から降ろされた無数の樽が、吸い込まれるように王城の「地下深層倉庫」へと搬入されていく。

そこは、重厚な石造りの遮蔽魔法が施された、完全なクローズド環境(密室)。

そしてその最奥で、漆黒の騎士服に身を包んだ男――近衛騎士団長バルドが、腕を組んで佇んでいた。

最悪の三白眼。頬に刻まれた凄惨な傷跡。

松明の炎に照らされたその顔面は、悪夢に出てくる最悪のバグそのものだった。


『……よし、ジーク。これからは時間との勝負だ。不純物の混入は一切許されん。徹底的に、完璧な環境を構築するぞ』

『ウィッス、先輩! 徹底的な除菌(エラーチェック)ですね! 任せてください!』


マヤは思わず息を呑み、画面前で身を乗り出した。


(な、何なの、あの男の圧倒的な存在感(威圧感)は……! 一分の無駄もない言葉遣い。明確な要件定義(指示)。そして、絶対にエラー(失敗)を許さないと全身で物語っている冷徹な眼差し……!)


マヤの頭の中で、前世の過酷なトラウマがフラッシュバックした。

幾度もの炎上案件(デスマーチ)を乗り越え、無能な上司を切り捨て、完璧なシステムを構築してきた――伝説のプロジェクトマネージャー(PM)。

あのバルドという男から放たれているのは、まさにその「修羅場を支配する者の覇気」だった。


(あの巨大な分散型物流ネットワークを一瞬で設計し、敵国の最強戦力を現場監督として配属し、地下室で禁忌のシステム(醤油)をコンパイルしようとしている……。バルド・コーウェン、なんて恐ろしいシステムアーキテクトなの……!)


恐怖で指先がかすかに震える。

だが同時に、極限まで洗練された「完璧なタスク管理」を前にして、プログラマーとしてのマヤの知的好奇心と畏敬の念が激しく突き動かされていた。


「……使い魔(遠隔スパイ端末)の同調率を上げるわ」


マヤは魔法陣を描き、一匹の小さなネズミ型の使い魔を召喚した。

地下倉庫の分厚い壁の隙間を潜り抜け、内部の様子を直接モニタリングするために。


「見せて戴くわ、バルド・コーウェン。あなたが一体どんな『究極のコード(計画)』を走らせようとしているのか……!」


魔法国家の天才魔導師が、己のプライドと勘違いを全開にして、バルドたちの「ただの醤油作り」の深淵へと足を踏み入れた瞬間であった。


第4章エピソード2をお読みいただき、ありがとうございました!


マヤの理系脳による勘違い分析が冴え渡っております!

ジークの真面目な輸送警備は「過剰なセキュリティプロトコル」に、大豆は「新型ナノデバイス」に、そしてバルドは「修羅場を統率する伝説のプロマネ」に完全変換されてしまいました(笑)。

マヤが使い魔を地下室へ送り込んだことで、次回はいよいよバルドたちの「試行錯誤の醸造現場」がモニタリングされることになります!


次回、エピソード3『地下室のデスマーチ(試行錯誤の醤油醸造)』!

割烹着を着て「雑菌(バグ)を許すな!」

「温度(仕様)を守れ!」と血眼になるバルドとジーク。それを見たマヤがさらに戦慄する、爆笑の展開をお届けします。


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