最初の事件
目を覚ますと床の様に硬いベットの上だった。
掛け布団を払いのけて自分の体を見てみるといかにも少年の様な傷だらけの体が現れた。
どうやら俺は本当に転生したらしい、出来れば転生しない方が良かったんだけどな......
顔をみたいから鏡を探してみたが一個も見つからない。
確か中世の文明レベルで止まってると閻魔はいっていたから鏡は金持ちの家にしかないのだろう。
この家は多分貧乏な方なのだろうか、壁からは風が入ってくるし、壁は腐りかけの木だ。
こんな所で生きていくとするなら、取り敢えず衛生面の管理をしかっかりしなと多分俺は直ぐに死ぬ気がする。
「アンタ、いつまで寝てるの!!今日は【神の授け】でしょ!!
早く下に降りてきて水を浴びて、ご飯を食べなさい!!
そうしないとわざわざ高い金貰って買った服が汚い人間に着られるでしょう!?」
少しヒステリックに叫ぶ声が下から聞こえる多分俺の母親だろう。
そういえば閻魔が十歳まで時間を飛ばすって言ってたけど十歳より前の時のこの体は誰が使っていたのだろうか?
まぁ、そんな事はどうでもいいか。
下に行くと豪華ではないが質素でもない目玉焼きとベーコンが皿の上に雑に置いてあった。
「ほら早く食べなさい、私はアンタの服を持ってくるから。」
「うん、分かったよ。母さん。」
「あら、アンタ十歳になったからって少し大人びようとして私の事『母さん』何て言ったの?」
前の俺はこの母親をママとでも呼んでいたのだろうか?
「うん、そうだよ母さん。ちょっとは大人っぽくなった?」
「アンタは私から見れば一生子供のままだよ!!」
そう言って母親は部屋の奥に消えていった。
油が多めのベーコンと半熟の目玉焼きを食べ終わると、母親が綺麗なタキシードを持って部屋の奥から現れた。
この家は最初貧乏と推測したが案外この世界では裕福な家なのかもしれない。
「ほら、早く着なさい。確か集合は第三の鐘の時よね?」
そんな事は知らんがな!!
「多分そうだと思うよ。」タキシードを着ながら言った。
「ほらちゃんと蝶ネクタイも付けて。」そう言って蝶ネクタイを俺に渡した。
こんな堅苦しい恰好をするの何て何年ぶりだろう?
いつもネクタイを付けたりブレザーを着たりはしたが
タキシードみたいフォーマル的なものは国に表彰された時以来か......
タキシード着ると母親がしわが無いかを確認しだした。
「よし、しわは一つも無いね、それじゃあいってらっしゃい!!」
外に出ると多くの子供たちがいた、一番先頭には神父のような服を着た男性が立っていた。
「あ、やっとシュゲル出て来た!!」一人の女の子が俺を指差している。
「おい、早くこっち来いよ!!」横にいると男の子が大きな声を出して俺を呼んだ。
どうやら俺の名前はシュゲルらしい。
急いでその二人に向かって走った。
「お前が寝坊する何て珍しいな?」
さっき俺を呼んだ男の子が話しかけて来た。
「楽しみ過ぎで全然眠れなかったんだよ。」
「あのシュゲルが珍しい!!」
どうやら俺の人物像は真面目な人間のようだ。
三人で少し話していると(主にさっきの二人に相槌を打ってるだけだが)大きな鐘の音が鳴った。
「それでは今より教会へ転送する者達の点呼を始める!」
神父のような服を着た男が点呼を取り始めた。
「次はベント・アルバート!!」
「はい!!」何人かの名前が呼ばれると横にいた男の子が返事をした。
どうやらこの男の子はベントというらしい。
にしてもこの男の子も大分いい服やアクセサリーを付けている。
「エマ・アルバート!!」
「はい!!」さっきの女の子が手を挙げた。
どうやらさっきの二人は兄弟のようだ、よく見ると付けている物に同じライオンのような家紋がある。
ベントの方はネクタイに、エマの方はブレスレットの宝石にライオンが彫られている。
二人は貴族なのだろうか?
確かにさっきまで呼ばれていた子供達には苗字などは無かったがこの二人にはある。
「シュゲル・アルバート!!」
うん??今呼ばれたのは俺か?だとしたら何で俺は苗字があるんだ?
俺が転生した所はただの貴族とかではないただの平民じゃないのか?
三秒待っても誰も手を挙げない、これは俺の事なのか?はたまた違う人か!?
「おい、シュゲル呼ばれてるぞ!!」ベントが教えてくれた。
「はい!!」
「よしこれで全員いるようだな!!
それでは貴族以外の人は横の魔法陣に移ってくれ。」
俺が横の魔法陣に移ろうとすると、ベントに肩を掴まれて止められた。
「お前どこに行こうとしてんだよ、お前は貴族だろ?
もしかして愛人との子だから貴族じゃないって言われたのか?そんなの信じるなよ。
お前は愛人の子だとしても絶対に俺と同じ貴族だよ。」
「ああ、ごめん。少し間違えただけだ。それとさっきはありがとう。」
「どういたしまして。」ベントは笑いながら言った。
どうやら俺は貴族とその愛人の間で出来た子供らしい、だから家がやけにぼろかったのか。
周りを見ると貴族は俺達三人だけだった。
「それでは、貴族の皆様は到着されましたら、応接室でお待ちください。
直ぐに迎えの者が参ります。」
静かに俺達は頷いた。
すると足の下の魔法陣が光始めた。
「皆様目を閉じてください。」
言われた通りに目を閉じると一瞬体が空中に浮いたような感覚が襲った。
目を開けると漆喰の壁が綺麗に磨かれた学校の応接室の凄いバージョンの様な場所にいた。
「ふ~、何度転移する事があってもあの感覚は慣れないよな。」
「確かにね、取り敢えず迎えの人が来るまで待ちましょう。」
そう言って二人はソファーに飛び込んだ、貴族と言ってもどちらもまだまだ子供だ。
「アルバート家の方々のお迎えに上がりました。」
そう言って一人の執事が部屋の中に入ってきた。
「あれ、グレイスおじちゃん?」どうやらこの人とベント達は面識があるらしい。
「お久しぶりですね、ベン坊ちゃん、エマお嬢様、シュゲル坊ちゃん」
執事はにこやかに笑いながら俺達の名前を呼んだ。
どうやら俺もこの老執事と面識があるようだ。
「それでは【与えの間】に行きましょうか。」
そう言って廊下に老執事は歩き出した、急いで付いて行った。
周りは綺麗な漆喰の壁で等間隔に窓がある、窓からの景色は雲が多くて何も見えない。
数分歩くと豪華の扉がある場所まで着いた。
「それでは中入ってください、そろそろ平民たちの儀式も終わります。」
そう言って老執事は扉を触らずに扉を開けた。
「オットー!!お主には【盗みの極意】を授ける!!
これを生かし神に祈りを捧げたまえ!!」
周りを見ると綺麗な服で身を包んだ子供達がいっぱいいる。
どうやらオットーという少年で平民達の儀式は最後のようだ。
「次は貴族の儀式に移る、まずアルバート家へ!!」
「ちゃんと右側通るんだよ、ベン。」
「わかってるよ。」
俺達三人は出来るだけ急いで前に行った、途中オットーとすれ違った。
その後の儀式はベント、エマ、俺の順番で行なわれた。
「シュゲル・アルバート!!其方には【鑑定】を授ける!!
これを生かし神に祈りを捧げたまえ!!」
すると後ろの方から微かに笑い声が聞こえて来た、どうやら俺は馬鹿にされているようだ。
でもこういう鑑定系の能力は最強なのが異世界系のテンプレじゃないか?
大体人に使ってその人の素質が分かるてきな感で......
壇上から降りた後鑑定のスキルを横にいた人に向けて見たが全く反応しなかった。
もしかしてこの能力は人間には使えないのか?
試しに今いる教会に試してみると鑑定する事が出来た。
【空の教会 ルキン教の教会、上空に魔力によって浮かされている。
所在地:王都上空】
大分大雑把な説明が出て来たな、もう少し強くなったらもう少し詳しく出てくるようになるのだろうか?
ベントとエマにどんな能力を受け取ったか聞きに行こうとすると
エマが遠目で分かるくらいに大泣きしていた、声を出してはいながエマの下は大量の水たまりだ。
これはもしかして善行を積むチャンスか!!
急いで駆け寄った。
「エマ、どうして泣いてるの?」
「あのね、お母さんから貰った大事なブレスレット無くなっちゃたの......」
大粒の涙を流しながら言う。
ああ、あのライオンが彫ってある宝石が付いていたブレスレットか......
「何処かに落としたのかな?ベントはどう思う?」
「いや、落とした線はないだろ、ここに入るときに門番に家紋を確認されてたし。」
門番そんな事してたっけ?
「それじゃあ誰かに盗まれた?」
「まぁ、そういう事になるな。」
盗むあれ何かさっきそれと似たような単語を聞いたような......
読んでくれてありがとうございました




