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夢のステージへの思い  作者: あいぼ
第2章 初舞台編
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第49話:仲間との距離

美咲が新しい目標を見つけてから、練習の日々は少し変わっていた。


以前は、周りと比べて落ち込むことが多かった。


玲奈の動きを見ては、自分には足りないものばかりがあるように感じていた。


でも今は違った。


もちろん、玲奈との差を感じることはある。


同じ振り付けでも、玲奈の動きには迷いがなく、自然に音と一緒に流れている。


その姿を見ると、まだまだ遠いと思う。


それでも、美咲は前のように「自分には無理だ」とは思わなくなっていた。


足りないものがあるなら、探していけばいい。


そう思えるようになっていた。


ある日の練習。


先生から次のステージに向けた話があった。


「次の発表では、ただ振りを合わせるだけじゃなくて、みんなで一つの作品を作ることを意識して」


その言葉に、美咲は少し緊張した。


今までは自分自身の課題ばかり考えていた。


どうしたら上手く踊れるか。


どうしたら玲奈に近づけるか。


でも、次は一人ではない。


周りとの関係も大切になる。


練習が始まると、美咲は新しい難しさを感じた。


自分の動きに集中すると、周りとのタイミングがずれる。


周りに合わせようとすると、自分の表現が消えてしまう。


「難しい……」


思わず漏れた言葉に、玲奈が振り返った。


「何が?」


「自分らしく踊ることと、みんなで合わせること」


玲奈は少し考えてから答えた。


「どっちかじゃないと思う」


「え?」


「自分があるから、合わせられるんじゃないかな」


美咲はその言葉を聞いて、もう一度鏡を見る。


自分を消して合わせること。


それは本当の意味で一緒に踊ることではない。


一人一人の存在があって、その上で重なる。


少しずつ、考え方が変わっていく。


その日の帰り道、美咲はスマホに入れた練習動画を見返していた。


以前なら、できていないところばかり探していた。


でも今日は違った。


「あ、ここは前より良くなってる」


小さな変化に気づけた。


大きな成長ではない。


急に上手くなったわけでもない。


でも、昨日の自分より少し前に進んでいる。


それが嬉しかった。


家に帰ると、母が夕食の準備をしていた。


「最近、帰ってくる顔が前と違うね」


突然言われ、美咲は驚いた。


「そう?」


「前は疲れてる感じだったけど……今は何か考えてる顔してる」


母の言葉に、美咲は少し笑った。


確かに、楽になったわけではない。


悩みは増えている。


でも、その悩みは前に進むためのものだった。


「次のステージ、もっと良くしたいんだ」


美咲が言うと、母は少し間を置いてから頷いた。


「頑張りすぎないでね」


その言葉は以前と同じだった。


でも、今は少し温かく感じた。


美咲は自分の部屋に戻り、練習着を手に取る。


次のステージまで、まだ時間はある。


まだ足りない部分もある。


それでも、美咲は思っていた。


今度の舞台では、ただ成功することだけを目指すのではなく――。


自分が仲間と一緒に作るものを、ちゃんと届けたい。


そう思いながら、美咲は次の日の練習に向けて準備を始めた。


しかし、その先には新たな壁が待っていた――。

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