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第42話:ぶつかりかける気持ち
数日後、夕食の時間。
母はテレビを見ながら、ふと口を開いた。
「ダンス、まだ続けるの?」
その一言で、美咲の手が止まった。
聞き方は普通だった。
怒っているわけでもない。
けれど、美咲には少しだけ引っかかった。
「……うん」
短い返事。
母は少し困ったような表情を浮かべた。
「楽しいならいいけど、無理してない?」
その言葉に、美咲の中で何かが揺れた。
心配してくれている。
それは分かる。
でも、自分が必死に向き合っているものを「無理」と言われたような気がしてしまった。
「無理なんかしてない」
思ったより強い声が出た。
母も少し驚いた顔をする。
言った本人である美咲も驚いていた。
今までなら、黙って受け流していた。
でも今回は違った。
「私は……やりたいからやってる」
その言葉が、自分の口から出たことに美咲自身が驚いた。
母は何も言わなかった。
ただ静かに美咲を見る。
その視線に耐えられず、美咲は席を立った。
部屋に戻る途中、胸の奥が苦しかった。
言い過ぎたかもしれない。
でも、初めて自分の気持ちを言葉にできた気もした。
複雑な感情を抱えたまま、美咲は静かにドアを閉めた。




