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第40話:変わる練習
それから美咲の練習は少しずつ変わり始めた。
以前は、とにかく回数をこなしていた。同じ振りを何度も繰り返し、体に覚え込ませようとしていた。もちろん、それも間違いではない。けれど今は、“どう動いているか”を考える時間が増えていた。
音の入り方。重心の移動。次の動きへつながる流れ。
一つ一つを確認しながら踊ることで、今まで見えていなかったものが少しずつ見え始める。
もちろん、すぐに上手くなったわけではない。むしろ意識することが増えた分、前より動きに迷う瞬間もあった。
それでも、不思議と前ほど焦りはなかった。
できない理由が分からず苦しむのではなく、「今はここが足りない」と理解しながら進める。その違いは、美咲にとって大きかった。
練習終わり、鏡の前で最後の動きを確認する。
ほんの少しだけ、動きが滑らかになった気がした。
もちろん、玲奈にはまだ届かない。比べれば差ははっきりある。それでも以前とは違う。
届かないまま見上げるだけではなく、自分の足で近づこうとしている。
その実感が、美咲の中に静かに根付き始めていた。
そしてその変化は、まだ本人も気づかないところで、少しずつ周囲にも伝わり始めていた。




