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第38話:認めたくない弱さ
練習が終わったあと、美咲は一人で鏡の前に残っていた。誰もいない静かな空間で、何度も同じ動きを繰り返す。
けれど、意識すればするほど体はぎこちなくなる。今まで自然にできていると思っていた部分が、実は曖昧だったことに気づかされる。
その現実は、美咲が思っていた以上に苦しかった。
自分はもっとできていると思っていた。少なくとも、ここまで不安定ではないと信じていた。だが実際には、少し意識が崩れるだけで動きは簡単に乱れてしまう。
「できているつもりだったんだ……」
小さく漏れた言葉は、自分自身に突き刺さった。
悔しい。認めたくない。けれど否定できない。
今まで積み重ねてきた時間が無意味だったとは思わない。それでも、“努力している自分”に安心していた部分があったのかもしれない。
本当に向き合うというのは、できない自分を認めることなのだと、美咲は少しずつ理解し始めていた。
鏡の中の自分は、決して格好良くなかった。
それでも、美咲は目を逸らさなかった。
逃げずに見続けること。それが今の自分に必要なことだと、静かに感じていた。




