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第36話:ズレの正体
初舞台が終わって数日が経っても、美咲の中にはあの感覚が残り続けていた。大きな失敗ではなかった。振りを止めたわけでもないし、露骨に間違えたわけでもない。それなのに、終わったあとに胸に残ったのは達成感ではなく、「届かなかった」という曖昧な感覚だった。
その理由を知りたくて、美咲は練習動画を何度も見返した。最初は、自分でもどこが悪いのか分からなかった。けれど繰り返し見るうちに、少しずつ違和感の正体が浮かび上がってくる。
玲奈の動きは、次の動作へ自然につながっている。音に合わせるというより、音の流れそのものに乗っているようだった。対して自分は、一つ一つの動きを“こなしている”感覚が強い。振りは合っているのに、動きが途切れて見える。
その差は、ほんのわずかだった。けれど、その小さな差が積み重なることで、全体の印象を大きく変えてしまう。
美咲は画面を止め、自分の姿を見つめた。今まで「できている」と思っていた部分が、少しずつ崩れていく感覚がある。
悔しかった。けれど同時に、ようやく“何か”が見え始めた気もしていた。




