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第29話:同じ言葉
「続けてるだけ」
玲奈のその言葉は、頭の中で何度も繰り返されていた。
どこかで聞いたことがあるような気がする。
いや、正確には“知っていた”言葉だった。
公園で一人、音楽もないまま踊り続けた日々。
誰にも見られず、評価もされず、それでも体を動かしていた時間。
部室で何度も同じ振りを繰り返し、うまくいかずにため息をついた日々。
自分だって、“続けてきた”はずだった。
それなのに、どうしてこんなにも差があるのか。
考えても、明確な答えは出ない。
続けている“つもり”だったのかもしれない。
どこかで妥協していたのかもしれない。
あるいは、向き合い方そのものが違っていたのかもしれない。
分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがあった。
あの言葉を否定することはできない。
続けること。
それは簡単に聞こえる。
けれど、同じ熱量で、同じ覚悟で続けることは、決して簡単じゃない。
美咲は、自分の“続けてきた時間”を初めて見つめ直していた。
そして、その意味を、ゆっくりと考え始めていた。




