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第27話:小さな決意
帰り道、街灯の下をゆっくりと歩きながら、美咲は考え続けていた。
今日の自分の行動。
あと一歩のところで止まってしまった自分。
思い返すほどに、胸の奥が重くなる。
あのとき、一歩踏み出していれば何かが変わったのだろうか。
それとも、何も変わらなかったのだろうか。
答えは分からない。
けれど、ひとつだけ確かなことがあった。
何もしなければ、何も変わらない。
その事実だけが、やけに鮮明だった。
怖い。
今でも、同じ場面になればまた足が止まるかもしれない。
それでも、このままでいたくはなかった。
ほんの少しでいい。
大きなことじゃなくていい。
完璧に話しかけられなくてもいいし、気の利いた言葉なんていらない。
ただ、一歩だけ前に出る。
それだけでいい。
その小さな決意は、とても弱くて、今にも消えてしまいそうだった。
けれど、それは確かに自分の中から生まれたものだった。
誰かに言われたわけでもなく、無理に作ったものでもない。
だからこそ、美咲はその気持ちを大切にしようと思った。
次こそは。
そう心の中で静かに繰り返しながら、夜の道を歩き続けた。




