13/36
第12話:扉に触れる
部室の前に立つと、想像していた以上に静かだった。
中から聞こえてくるのは、わずかな足音と、床を踏むリズムだけ。
ドアに手を伸ばす。
触れた瞬間、その先にある世界の重さを感じた気がした。
開けてしまえば、もう戻れないかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
それでも、美咲はゆっくりと扉を押した。
わずかに開いた隙間から、光と音が流れ込んでくる。
中では、何人かの生徒が黙々と体を動かしていた。
その光景は、遠くにあったはずのものと、どこか似ていた。
その一歩は小さい。
けれど、美咲にとっては確かな変化だった。




