前へ目次 次へ 14/34 第13話:違う速度 部室の中に入った瞬間、自分の立っている場所が分からなくなった。 周りの動きは正確で、迷いがない。 それに比べて、自分の動きはどこか遅れているように感じる。 見よう見まねで体を動かしてみる。 だが、思うようについていけない。 同じダンスなのに、まるで違うもののようだった。 これまで一人で積み重ねてきた時間が、急に遠く感じられる。 悔しさが込み上げる。 けれど、その場を離れようとは思わなかった。 ここに立っているという事実だけが、今の自分を支えていた。