二度目の恋
初めての恋は妹・梓に奪われた。
その体験は私を【恋に臆病な女の子】に変えた。
梓のような愛らしさが私は無い。
元々、私はモテない。
出逢っても私に恋してくれる可能性は低い……否、無いのだろう。
私は恋という不毛なことに心を煩わせないように、勉強に励んだ。
勉強は頑張れば成績が上がるということで返って来る。裏切られない。
だから、頑張った。
私は大学へ行き、遠くで就職する。
そして、いつか家を出ることを目指すようになっていた。
この家に居たら辛いから……。
だが、それさえも両親が叶えてはくれなかった。
「出たら良かったのだ。」と今の私は思う。
でも、あの頃の私は、まだ【親の愛を乞う子ども】だった。
妹よりも頑張って成績が良かったのに、父が「女の子は良い大学を卒業しなくていい。」と言った。
その一言で私の進学先が決まった。
地元の大学だった。
高校の担任教師は「何故、国立に行かないの? 私からご両親にお話ししたのよ。」と残念がった。
「先生、私、家の近くで家から通える所が良いんです。」と答えた。
担任教師は溜息交じりに「そう、それも選択の一つよね。何処へ行っても貴女なら大丈夫。」と言って送り出してくれた。
大学では常にトップの成績だった。
どんなに勉学に勤しんでも、就職先も「家から通える所にしなさい。」と母に言われると、それを守った。
今考えると、どうして家を出ることを両親が許してくれないのかが理解出来ない。
父からも母からも「女の子には勉強は要らない。」「都会に出なくて家に居て親孝行するのが当たり前。」と言われた。
そう、父も母も私に望むのは【親孝行する娘】である。
妹は常にお姫様扱いであるのに、姉の私には母から常に言われていた言葉がある。
「お母さんから言われる前に気付きなさい。そんなことも出来ないの!」
母は梓には「身体が弱いのだから、何もしなくていいのよ。お手伝いはお姉ちゃんがするから。」と常に言っていたのに………。
そして、もう一つ、父は私が就職してから私に告げた言葉がある。
それは、首都圏の大学への進学を許さなかった理由だった。
「杏のお前が良い大学へ行ったら、梓は差が付けられて可哀想だ。」
母が家から通える所への就職をするように言い付けたのは、「梓が万が一入院するようなことになった時、杏に家事をさせる為。」だった。
その言葉を聞いた時、私は一人に成れる場所――自分の部屋――に直ぐに入りたかった。
でも、それをすると叱られることは分かっていた。
夜になって寝る時、やっと部屋に入れた。
部屋に入った瞬間、私は声を殺して泣いた。
涙が止め処無く流れた。
それでも、その当時の私は、まだ【親の愛を乞う子ども】だったのだ。哀しいほどに………。
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そして、就職して1年が経った頃。
会社に本社から異動して来た私より2歳上の男性社員と出逢った。
本社は首都にある。
その本社から異動して来たのだ。
高身長で涼し気な目元の美しい男性。
木元康介。
私が二度目の恋をした相手である。




