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虹の彼方  作者: yukko
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18/41

梓の死

康介は梓の不倫相手のベッドがある病院内の救命救急センターの前で、そこに居た警官に話し掛けた。


「木元梓の夫です。先ほど妻は亡くなりました。

 事故の経緯を知りたくて来ました。

 同乗の方が会話出来る状態なら、その方からも伺いたいです。

 お願いします。」

「亡くなられたことは病院から伺いました。

 ご愁傷さまでした。

 事故の経緯は、刑事から聞かれたと思います。」

「はい、伺いました。

 ただ、運転されていた方からの事情徴収をされていたら………。

 新たなことが分かったのではないかと……。」

「少しお待ち下さい。」

「はい、ありがとうございます。」


警官が救急救命センターの中に入って行った。

真由子が康介に優しく話し掛けた。


「木元さん、大丈夫?」

「はい、僕は大丈夫です。

 義叔母さん、先ほどはお義父さんとお義母さんが失礼しました。

 興奮すると……。」

「大丈夫よ。知ってるから、あの人の妹ですもの。」

「……そうですよね。

 ………あの……義叔母さん……。」

「何?」

「あの……杏のこと……御存知ですか?」

「杏? 婚約を解消したこと? それも梓と結婚するために。」

「そ……それではありません。」

「じゃあ、何?」

「杏は元気でしょうか?

 会社も辞めて、今どうしているのか……御存知なら教えて下さい。」

「知ってても教えないわ。」

「……………………………。」

「杏が貴方に会いたいと思ってるかどうか……分かるでしょう。」

「……はい。」

「答えは、今言ったわ。この質問はもうしないでね。」

「はい。」

「梓と上手くいってなかったのね。」

「そうですね。」

「ああいう子よ、梓は。

 欲しい物は涙を見せて親に強請りさえすれば叶うの。

 小さな頃から、そういう経験ばかりしてきたからね。

 あの子と付き合うのは大変よ。」

「そうですね。」

「不倫……しそうね。あの子なら……。

 飽きたらポイッ! 不倫相手も多分そうなる運命だったわ。」

「夫もですね。」

「えっ?」


真由子が驚いている時、警官と一緒に刑事がやって来た。


「奥様のこと、ご愁傷さまでした。」

「ありがとうございました。色々……。」

「あちらで経緯を再度お話しします。」

「お願いします。」


警察が病院内のカンファレンスルームを借りていた。


「奥様、木元梓さんは羽佐間翔也さんの車に同乗していました。

 木元梓さんは助手席に座って事故に遭いました。

 事故直前まで他に2名が後部座席に座っていました。

 その2名が下りるまで、木元梓さんはシートベルトをしていました。

 事故後の救急隊の話によると、木元梓さんはシートベルト未着用。

 どうやら、事故直前に外したようです。

 運転していた羽佐間翔也さんに事情徴収出来ました。

 それで、木元梓さんが急にシートベルトを外したそうです。

 そして、羽佐間翔也さんの……膝に…………。

 ご主人、大丈夫ですか?」

「大丈夫です。続けて下さい。」

「その時、羽佐間翔也さんが止めさせようとしたということです。

 それで運転を誤ったようです。

 前方不注意により対向車の発見が遅れた模様です。

 対向車を避けようとして起きた事故です。

 ガードレールに衝突後、車が落下しました。

 落下したのが田んぼでしたが、車は横転しました。

 シートベルト未着用の木元梓さんは重体で救急搬送されました。

 以上がこの事故の経緯です。」

「……ありがとうございました。」

「いえいえ。」

「あの、運転されていた方から伺いたいのですが……。」

「今は無理ですね。羽佐間翔也さんも傷を受けられていますから。」

「そうですね。」

「今後、羽佐間翔也さんから話を聞きたいのであれば……。

 弁護士に依頼することをお勧めします。」

「そうですね。そのようにします。

 ありがとうございました。」

「いえ……ご主人、お気を落とされませんように……。」

「ありがとうございます。」


康介はしっかりしていた。

杏を捨ててまでした熱愛からの結婚なのに……真由子は不思議に思った。

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