就活
妊娠中なのにハローワークで就活をしていた私。
最初にハローワークに出向いたが、聞くとオンラインで求職登録が出来ると教えて貰った。
悪阻のこともあったからオンラインで就活をすることにした。
ハローワークに行った最初の日に、ハローワークでアカウント登録を行った。
登録をした後は、開設された求職者マイページからオンラインでの求人情報の検索が出来る。
それだけではなく、オンラインでハローワークから職業紹介を受けられた。
おかげで「花屋」を紹介して貰えたのだ。
早速、求職者マイページから、その「花屋」にメッセージを送った。
勿論、妊娠していることも未婚であることも包み隠さずに……。
「花屋」から返信が届いた。
「面接する」との連絡だった。
指定の日時に私は《《無理で元々の気持ち》》で「花屋」の面接に行った。
「花屋」の名称は、【fleuristeこもれび】。
店に着くと、代表である若い女性が店の奥に案内してくれた。
そして「どうぞ、お座り下さい。」と着席を勧められた。
私は「失礼致します」と頭を下げて座った。
私は背筋を伸ばしてゆっくり深呼吸をした。
「この店は支店です。それも初めての支店です。
経営者は兄夫婦です。
兄夫婦とネットで繋がっておりますこと御承知おきください。」
「はい、分かりました。」
「さて、貴女のことは未婚で妊娠中と伺っております。
その経緯を教えて下さいませんか?」
「大切なことでしょうか?」
「ええ、私どもにとりまして……お話し頂けませんか?
花屋って、大変なんですよ。体力が必要です。
妊娠していてプライベートで貴女をサポートする人が居るかどうか……。
そういう環境かどうかを知りたいのです。
妊娠して出産しても、貴女一人なら何時から働けますか?
夫が居たら、夫も育児休暇を取得できますよね。
でも、一人での子育てなら、そういう支えがありません。
ご理解頂いて、お話し下さい。」
「………分かりました。
私は婚約しておりました。
その婚約者に挙式が近づいた頃、婚約解消を告げられました。
彼は私の妹と結婚しました。
婚約解消された時に、私は妊娠していることに気付きました。
中絶することは子どもの命を奪うことなので出来ませんでした。
今は叔母の養女になり、叔母が私の妊娠出産、子育てを支えてくれます。
これが私の妊娠の経緯です。」
「そうですか……お話し下さり感謝申し上げます。」
「……こちらで働かせて頂けるようになったら、何時か………。
何処かのタイミングでお伝えせねばならないことです。」
「そう言って頂けると助かります。
社長、社長から何かありますか?」
「伺いたいことは一つです。
どうして今までの職種と全く違う花屋を選んだのですか?」
「私は子どもの頃から、お花が大好きでした。
ただ、好きを仕事に繋げるような考えを持っておりませんでした。
親が望むような東証一部上場の企業への就職がBESTだと思っておりました。
でも、新しい暮しを始める時に好きなこと、好きな物は何かを考えました。
一つだけ好きな物が見つかりました。
それが、お花でした。
それで、お花に関する仕事を求職しておりました。
御社から面接を受けさせて頂けるとのご連絡を頂戴しました。
心から感謝申し上げます。
今日はこのようにお時間を割いて下さったこと感謝申し上げます。
ありがとうございました。」
私は立ち上がり頭を深く下げて「ありがとうございました。」と言うと、ノートパソコンから声が聞こえた。
「では、何時から働けますか?」
「えっ?」
「採用させて頂きます。それで、何時から働けますか?」
「あの……宜しいのでしょうか?」
「勿論です。こちらこそお願いします。
貴女の誠実さは、好きな花のことを、しっかり学んでくれると思います。」
ノートパソコンから女性の声がした。
「初めまして。私は社長の妻で一応専務という肩書です。
妊娠中と出産後のことは、これから話し合いましょう。
是非とも一日も早く働いて下さい。
学ばねばならないことが多いですからね。」
私は泣いていた。
涙声で「明日からでも宜しければ働かせて頂きます。よろしくお願い致します。」と伝えた。
こうして私の【fleuristeこもれび】への就職が決まった。
養母。真由子は喜んでくれて就職祝いのパーティを開いてくれた。
そこには前の会社の同期、大学の友達、そして高校の友達が招かれた。
賑やかで楽しい一時だった。
そして、その場で私が叔母である加納真由子の養女になった事を発表した。
聞かされていない友達もいたから、その友達たちは驚きつつも「良かったね。」と言ってくれた。
私は前を向いて生きるんだ!と叫びたい気持ちでお腹を優しく撫でた。
「お父さんが居なくても、お母さんが居るからね。お母さん、頑張るからね。お父さんの分まで愛してるよ。」とお腹の子に話し掛けた。




