最後の1人
ケンを救出し、行方不明となっていた保守班5人全員の所在を確認した第8小隊。
4人は生存。
そして最後の1人、ハルはまだ雪の中に残されています。
デルヴァの群れが迫る中、ヴァルカたちは5人全員を連れて帰るために動きます。
建物の正面側へ回り込むにつれて、雪面を走るデルヴァの隆起も少しずつ向きを変えた。北側へ散っていた群れの注意が、負傷者を連れて移動する第8小隊へ戻り始めている。後方では3本の白い筋が一定の距離を保って追尾し、西側を動いていた個体も建物沿いへ寄りつつあった。
『後方3体。西側の2体も進路を変えています』
「まだ増えるのか。しつこいねぇ」
最後尾のヴァルカは歩調を落とさず、後方との距離だけを認識情報で確認した。先頭のジードとルネが建物沿いの進路を確保し、その後ろをケンを背負ったガレスが進んでいる。左脚を負傷したケンを歩かせるより速いとはいえ、いつもの第8小隊と同じ速度は出せない。
「隊長、後ろが詰めてきてます」
「まだ止まらなくていい。正面まであと少しだろ」
「隊長だけ残るのは禁止ですよ」
ルネの声に、ヴァルカは少しだけ語調を強めた。
「残らないよ。追いつかれた奴だけ外して、そのまま帰る」
「それならいいです」
「信用ないなぁ」
「信用してるから言ってるんですよ」
「ジードと同じこと言うようになったね」
「いい言葉だったので借りました」
後方の隆起が1本だけ加速した。
『最短個体が約18メートルまで接近しています』
「このまま進んで。あたしが1回外す」
ヴァルカは仲間との距離を保ったまま歩幅を調整し、追尾してくる個体が10メートルを切ったところで進行方向から半身だけ外れた。
隆起が足元近くまで伸び、雪が内側から膨らむ。
飛び出したデルヴァの丸い口を正面から受けず、ヴァルカは身体を横へ抜きながらハンドアクスを斜めに入れた。青白い刃が灰白色の頭部を掠め、潜行の勢いを崩された巨体が雪上へ滑り出す。
そこで初めて、デルヴァの全身が地表へ大きく露出した。
首と呼べる境目のない円筒状の頭部は、その正面そのものが口になっており、開いた内側には細かな牙が何重にも並んでいる。人間の胴より太い身体は灰白色の硬い外皮に覆われ、頭部の左右から突き出た短い鉤爪が雪を掻いていた。長い胴は後方へ行くほど細くなり、最後には鞭のような尾へ続いている。
雪の上では、その身体は明らかに扱いづらそうだった。
ヴァルカは仕留めに向かわず、デルヴァが再び潜り込む間に仲間へ追いついた。
「追わないんですね」
ルネが少し意外そうに言う。
「今は討伐任務じゃないでしょ」
「隊長の口からそれ聞くと、ちょっと感動します」
「ルネ、あんた本当に言うようになったね」
「褒めてますよ?」
「絶対違うな」
ガレスの背でケンが笑いかけたものの、腹に響いたらしくすぐ顔をしかめた。
「ごめんなさい、ケンさん。笑わせました?」
「いや……ちょっとだけ」
「ルネ。負傷者相手にほどほどにな」
「私だけのせいですか?」
「今の半分くらいは隊長だと思いますけど」
「ケンまでそっちにつくの?」
その程度のやり取りができるうちに、先頭のジードが建物の角を抜けた。
「いた。3人ともそのままですよ」
崩れた外壁の陰、防火扉に近い場所へ救助した3人が残っていた。班長は壁に身体を預けたまま起きており、その隣では左腕を固定した男性保守員も意識を保っている。腹部を負傷した女性だけは横になっていた。
「ケン!」
班長が身を起こしかける。
「班長!」
「動かないでください。その脚じゃ支えられません」
先に入ったルネが右脚へ体重を掛けようとした班長を支えた。
ガレスが膝を落とし、ケンを背中から下ろす。
「生きてたか……」
「そっちこそ」
「俺はしぶといんだよ」
「知ってます」
ケンが壁際へ腰を下ろすと、班長はその肩へ手を置いた。
「すみません。俺だけ先に逃げて」
「俺が行けって言ったんだろ」
「でも――」
「それでお前が生きてた。だったら間違ってない」
班長はそれ以上言わせず、ケンの肩を軽く叩いた。
「怒るなら帰ってからだ。今はそれでいい」
「……はい」
ヴァルカはその間に横たわる女性のところへ移った。
「エルド、この人の状態は?」
『出血は現在抑えられています。ただし低体温と腹部損傷があります。搬送を急いだ方がいいでしょう』
「このまま昇降口まで持たせるしかないか」
『現状では、それが最善です』
その声に反応するように、女性の指が僅かに動いた。
「ん……」
ヴァルカが近くへ屈むと、女性は薄く目を開けた。
「聞こえる?」
「……GRID……?」
「ああ。第8小隊。迎えに来た」
まだ焦点の合わない目がヴァルカの向こうを探した。
「ロイは……?」
左腕を固定された男がすぐに応じた。
「ここにいる。動くな、ミラ」
ミラと呼ばれた女性は、隣から聞こえた声に少しだけ息を緩めた。
「腕……固定、外れてない?」
「お前が巻いたままだよ。こっちの心配してる場合か」
「ちゃんと……巻けてたなら、いい」
ルネが2人を見比べた。
「この固定、ミラさんが?」
「俺が腕やられた時、こいつも腹をやってたのに先に巻いてくれたんだ。そのあと倒れた」
「ロイ。喋りすぎ……」
「お互い様だろ」
ミラはもう一度目を閉じたが、生体情報に大きな変化はない。
「こっちは任せて。全員地下まで運ぶから」
ヴァルカの言葉に返事はなかったものの、ミラの指がほんの少し動いた。
これで4人の生存者は揃った。
その数を口に出す必要はなかった。
班長の質問が先に来た。
「……ハルは?」
周囲の空気が変わっても、雪の下ではデルヴァが動き続けている。
ジードが答えた。
「最初に見つけた。建物の外壁近くだ」
班長の呼吸が一度深くなった。
「やっぱり、駄目だったか」
「俺たちが逃げ込む時、あいつが最後尾だった。目の前で雪の中へ引きずられたんだ」
「身体の一部は確認できてる」
ヴァルカが告げると、班長はしばらく雪面を見ていた。
「……連れて帰れないか」
『周辺にデルヴァ6体。うち2体がこの位置へ接近しています。北西約120メートルです』
ヴァルカはその情報を聞いてから班長へ答えた。
「連れて帰るよ」
「本当か?」
「5人迎えに来たんだ。1人だけここに置いて帰るつもりはない」
『ただし、回収方法は考える必要があります』
「分かってる。あたし1人で――」
『それには反対します』
「まだ最後まで言ってないんだけど」
『内容は予測できました』
「そういう先回りだけ上手くなってない?」
『必要な判断です。周辺には複数のデルヴァが残り、こちらには負傷者が4名います。隊長単独で戦力を分ける理由はありません』
「でも、全員で動かす方が危ないだろ」
「隊長」
ガレスが会話へ入った。
「私とジードで行きましょう」
「ガレスはさっき脚を噛まれただろ」
「装甲は抜かれていません。こちらへ来る途中も問題なく動けています」
「だからって無茶していい理由にはならない」
「同じ言葉を、そのまま隊長へ返します」
「……最近みんな強くなったね、口が」
「隊長のおかげかもしれません」
「絶対違う」
ジードも話を聞きながら周辺状況を整理していた。
「俺もガレスと行きます。2人なら遺体を運びながらでも片方が周囲を見られる。隊長とルネは4人を守ってください」
「あたしが行く方が速い」
「速く行って、1人で戦って、1人で担いで戻るつもりでしょう」
「できるよ」
「できるかどうかの話じゃないんですよ」
ヴァルカが何か返す前に、ジードは続けた。
「隊長はこっちにいてください。何かあった時に、この人数を動かす判断をする人が必要です」
「お前だってできるだろ」
「できます。でも隊長がいるなら、わざわざ俺がやる理由もない」
少し考えたあと、ヴァルカは折れた。
「……分かった。2人で行って」
「最初からそう言ってください」
「今のは余計」
「じゃあ行ってきます」
「無茶はしないでよ。本当に」
「そこは隊長も守ってください」
「善処する」
『接近個体が進路を変更。ジード、ガレスの右前方へ向かっています』
「ちょうどいい。先に1体外してから行くか」
「相手をしすぎるなよ」
「回収優先で行きますんで」
2人がハルのいる位置へ向かうと、雪中の1体も足音へ反応して追ってきた。
「ガレス、さっきの振動を小さく使えるか?」
「1体だけ引くつもりですか」
「ああ。全力でやったら周りまで来る」
ガレスは雪面の下に残る凍結路面へ大剣の先を落とし、必要以上に振り抜かず重い衝撃だけを伝えた。
追尾していた隆起がすぐに向きを変える。
同時に、離れていた別の1体もわずかに進路を寄せた。
「やっぱり大きく鳴らすと客まで増えるな」
「客を選べない呼び鈴ですな」
「次はもう使わない方がよさそうだ」
建物まで残り数10メートル。
追っていた隆起が雪面から消えた。
『深度が変わりました。接近は継続しています』
ガレスの斜め前で雪が爆ぜ、丸い口を開いたデルヴァが胴体ごと飛び出した。
ガレスは真正面で受けず、大剣の腹を斜めに差し込んで突進を外へ流した。灰白色の巨体が横へ滑り、雪上で自由を失ったところへジードが側面から入る。
右のソードが口元の付け根へ食い込み、反対側から左刃を重ねる。
潜ろうと身体を捻ったデルヴァを、今度はガレスのグレートソードが胴の上から押さえ込んだ。
「このまま止めます。仕留めてください」
「十分だ」
外皮の裂けた部分へ二刀が深く入り、長い身体の抵抗が弱まったところへ、大剣が頭部へ落ちた。
灰白色の外殻が割れ、黒い体液が雪へ広がる。
『生体反応消失』
「行こう。これ以上ここで時間を使う理由はない」
「賛成です」
崩れた外壁へ着くと、先ほど雪から出ていた腕は同じ場所に残っていた。
「肩はこの辺りだな。先に周りを掘る」
「引っ張らない方がいい。身体の状態が分からない」
2人は手で雪を退け、少しずつ埋まった作業服を露出させた。肩、背中、認識バンドが順に現れ、さらに雪を払うと脇腹にデルヴァの牙が残した深い損傷があった。
『識別情報一致。B-17保守班、ハル・エイデン。生体反応はありません』
返答する必要はなかった。
ガレスが傷へ触れない位置から身体の下へ腕を入れ、ジードも反対側を支える。
「上げます」
「ああ。ゆっくりな」
2人で身体を雪から抜き、ガレスが抱えられる位置へ整える。
「隊長。ハルを回収した」
『了解。こっちはまだ持つから、そのまま戻って』
通信の向こうではアークブレードの発振音が続いていた。
『新たに3体がこちらへ寄っています』
「急ごう」
「任せてください」
ガレスがハルを抱き、ジードがその横を守りながら戻り始めた。
正面側ではルネが救助者との間に位置を取り、ヴァルカはさらにその外側でデルヴァとの距離を維持している。
『正面2体、左側から1体。いずれも接近中です』
「ルネ、2人の間を抜かせないで。あたしは左を外す」
「はい。こっちは任せてください」
ヴァルカは迎えに飛び出さず、保守員から離れすぎない位置で待った。
1体目が雪を破って現れる。
噛みつきを外側へ避けながらハンドアクスを頭部へ当て、潜行方向そのものを救助者から逸らす。仕留められるだけの隙はあったが追わず、次の隆起へ備えた。
ルネ側にも別個体が飛び出し、十文字槍が口元へ掛かる。
「隊長、こっちは外へ流します!」
「お願い。そのまま戻ってこなくていいくらい遠くへやって」
「それはちょっと難しいです!」
「じゃあ十分離せばいい!」
3体目が左へ回り込んだところで、戻ってきたジードの声が届いた。
「隊長、回収した!」
ガレスの腕には、ハルが抱かれている。
「よし。そのままこっちへ!」
それだけ確認すると、ヴァルカは再びデルヴァ側へ身体を戻した。
「ルネ、もう倒す必要ないよ。全員揃ったら離脱する」
「はい! 道だけ空けます!」
「ジードは戻ったら搬送の組み直しお願い!」
「ああ。隊長は?」
「あたしも全員動いたらすぐ行く。置いていかないから安心しな」
「それならいい」
ジードとガレスが保守班のところへ戻る。
班長はガレスの腕にいるハルを見つけると、声を失った。
ガレスは遺体へ余計な衝撃を与えないよう、ゆっくり雪上へ下ろした。
「……ハル」
班長が動こうとしたため、ジードが肩を支える。
「その脚じゃ無理だ。ここにいる」
「連れてきてくれたんだな」
「ああ。一緒に帰れる」
「……ありがとう」
「礼は地下へ着いてからでいい」
班長はハルから目を離さず、それでも小さく息を吐いた。
「お前ら、みんな同じこと言うんだな」
「今日は苦情も礼も地下でまとめて受け付けるらしいです」
その声に、横になっていたミラの瞼が再び動いた。
「……ハル?」
ロイが答えようとして言葉を失う。
ミラは雪の上に横たえられた作業服を認めると、それ以上何も聞かなかった。
「……そっか」
掠れた声だけを残し、目を閉じる。
「ミラ」
「大丈夫……寝るだけ。ちゃんと運んで」
「言われなくてもそうする」
「なら……いい」
意識はまだ保たれている。
悲しみを語る余裕がないだけだった。
ジードは搬送を組み直した。
「ガレスはミラさんを背負ってくれ。腹を圧迫しないように」
「承知しました」
「ルネは班長を支えて。俺がロイさんにつく」
「はい」
「ケンは――」
「歩けます」
「却下。昇降口まで3.9キロある」
「少しくらいなら」
「その少しを今使う必要がない。隊長に背負ってもらう」
「本人に聞かなくていいんですか?」
少し離れた場所からヴァルカの声が飛んだ。
「乗せるから準備しといて!」
「聞こえてた」
「隊長、耳いいですよね」
「ニューラルリンクだからね!」
問題はハルだった。
班長が口を開く前にジードが止める。
「班長は運ぶ側じゃない。ハルは俺たちで交代する」
「でも人数が――」
「ガレスがミラさんを背負って、ルネが班長、俺がロイさん。隊長がケン。ハルは状況を見て交代で持つ。動ける奴が少しずつ負担すればいい」
「私も……」
ミラの声が微かに入った。
「地下に着くまでは患者です」
「……厳しいな」
「さっきまで他人の腕を固定してた人に言われたくありません」
ロイが弱く笑った。
「諦めろ、ミラ。この人たち、俺たちよりしつこい」
「それは……見れば分かる」
「聞こえてますよ」
ルネが言うと、ミラの口元がほんの少しだけ動いた。
救助者の搬送準備が整うまで、ヴァルカとルネはデルヴァを近づけないことだけに徹した。仕留められる距離まで出てきても深追いせず、保守班へ向かう進路だけを潰す。
やがて3体が再び雪中へ潜り、周辺へ散った。
『3体とも距離を取りました。ただし追跡をやめたとは判断できません』
「それで十分。全員動ける?」
「準備できました!」
ヴァルカは保守班のところまで戻り、ケンの前へ背中を向けた。
「ほら、乗って」
「本当にいいんですか?」
「この状況でまだ遠慮する?」
「……じゃあお願いします」
「最初からそうしな」
ケンが背中へ腕を回し、負傷した左脚がぶつからない位置まで身体を調整してからヴァルカが立ち上がる。
ガレスはミラを背負い、ルネは班長を支え、ジードはロイへ肩を貸した。
ハルはひとまずガレスの両腕ではなく、専用の救助シートへ載せて2人で運べるよう固定した。移動中に状況が変われば、持ち手を交代できる。
「エルド、昇降口まで一番安全な経路を」
『往路をそのまま戻るより、東側の旧搬入路へ出た方が勾配が少なくなります。距離は約200メートル増えますが、負傷者の搬送には有利です』
「そっちで行こう。戦闘より転ばない方を優先する」
『了解しました』
第8小隊が移動を始めると、雪面の隆起も再び動いた。
振動を頼りにする相手へ、負傷者を抱えて静かに歩くことはできない。
「ガレス。あいつら、もう1回まとめて逆へ振れる?」
「先ほどと同じ方法ですか」
「うん。ただし全員を集めなくていい。こっちと反対を向かせる時間が欲しい」
「なら一度で十分でしょう」
ガレスはミラをいったん亀裂のない壁際へ下ろした。
「少しだけ待っていてください」
「……はい」
再びグレートソードを雪の下の凍結路面へ落とすと、重い衝撃が広がり、近くを走っていた隆起が一斉に進路を変えた。
『4体が反応。さらに遠方から1体』
「十分。ガレス、戻って」
もう2撃目は使わない。
ガレスがすぐミラを背負い直し、第8小隊は誘導された群れと逆方向へ歩き出した。
しばらく進めばデルヴァも騙されたことに気づく。
その時は必要な個体だけ止めればいい。
今の目的は、ここにいる5人を地下へ運ぶことだった。
『第2地表昇降口まで約3.9キロです』
「長いねぇ」
「隊長」
背中のケンが呼んだ。
「何?」
「……ありがとうございます」
「礼は地下に着いてから」
「やっぱりみんな同じこと言うんですね」
「今日の決まりになったらしいよ」
少し後ろからジードの声が入る。
「苦情も地下に着いてからです」
「そっちは忘れていい」
「駄目ですよ。正式に受け付けてもらいます」
「生きて帰った直後に苦情大会って嫌なんだけど」
ヴァルカの背後には、ガレスに背負われたミラがいる。ルネは班長を支え、ジードの横ではロイが自分の足で進んでいる。ハルの救助シートも、その歩みに合わせて白い地表を進んでいた。
出発した時と同じ5人だった。
その全員が同じ形で帰れるわけではない。
けれど、誰かをこの白い地表へ置いていく必要もない。
背後でデルヴァの隆起が1本、誘導された場所からゆっくり向きを変えた。続いてもう1本も第8小隊の進路へ戻ってくる。
『2体が追跡を再開しました。現在約70メートル』
「まだ余裕ある。今は歩こう」
誰も迎えに走らなかった。
追いつかれた時だけ止める。それまでは救助者を運ぶ。
その判断だけで、第8小隊は同じ速度を保った。
ケンの腕がヴァルカの肩へ少し強く回る。
「隊長、重くないですか?」
「このくらいなら余裕」
「本当に?」
「ガレスに聞いてみな。多分もっと嫌な答え返ってくるよ」
「武器より軽い、ですか?」
「もう言われました」
「やっぱり」
ヴァルカが笑い、足を止めず白い道路を進む。
後方ではデルヴァが距離を詰めていたが、もうその存在に第8小隊の目的を変える力はなかった。
5人を見つけた。
4人は生きている。
1人は帰らない。
それでも5人とも、地下へ連れて帰る。
第8小隊はそのために地表へ来たのだから。
29話を読んでいただき、ありがとうございます。
生き残った4人と、帰ることのできなかったハル。
ようやく保守班5人全員が同じ場所へ揃いました。
助けられなかった命があっても、置いて帰る理由にはしない。
今回の任務を通して、第8小隊らしさが少しずつ見えてきた気がします。
あとは5人全員をネオ・ヘイヴンへ連れて帰るだけです。
次話も第8小隊の帰還任務が続きます。




