第3話 中編
大興奮のサーヤは、期待を隠すことなく言う。
「悪霊のカルト島が本当だったってことは! これはもう皆殺しパーティーだねっ!」
「うんうん。いっぱい楽しもう」
「だいさんせーい!」
二人はボートで持ち込んだ武器を運び出す。
その途中、ミホは急に振り返って鋭い眼差しを遠くへ向けた。
「ッ!?」
何かを察知したミホが咄嗟にサーヤを押し倒した。
ほぼ同時に二人がいた場所を銃弾が突き抜ける。
僅かに遅れて銃声が鳴り響き、サーヤは目を丸くして慌てる。
「なになにどうしたの!?」
「狙撃。あそこの崖から」
ミホは狙撃地点を指差しながら、サーヤの手を引いて走り出す。
何度か銃弾が飛来するも、二人は無傷で森に飛び込むことに成功した。
岩の陰に隠れたミホはサーヤに尋ねる。
「撃ち返せそう?」
「ちょっと厳しいかもねぇ。向こうも腕が良いみたいだし」
「じゃあ、ここは逃げよっか」
「そうだねー。荷物がもったいないけどしょうがないね」
あっさりと判断した二人は、浜辺に置いた武器を諦めて森の中へと踏み込んでいく。
以降、二人が狙撃されることはなかった。
「手持ちの武器は?」
「ナイフと金槌だけ。サーヤは?」
「拳銃と予備の弾が二十発くらいかな」
「少ないね」
「まあどうにかなるでしょ!」
森に入って三十分後、前方から人間の声がした。
二人は気配を殺して身を屈め、足音を立てないよう注意しながら近づいていく。
そして草むらから顔だけを出して様子を窺う。
木々のない開けた場所で、奇妙な儀式が行われていた。
中央には、若い女が縄で縛られて横たわっている。
女は仮面を着けており顔が見えず、くぐもった声を発していた。
それを取り囲むのは、揃いの白い服を着た男達だ。
彼らは平伏して謎の呪文を繰り返し唱えている。
あまりに集中しているためか、サーヤとミホに気付いている者はいない。
「明らかにカルトって感じだ……」
「邪魔してみる?」
「そだねー。ぶっ壊そう!」
早々に決心した二人が草むらから飛び出す。
拳銃を構えたサーヤが嬉々として引き金を引いた。
「へいへーい、あたし達も入れてーっ!」
弾丸を受けた男達がばたばたと倒れる。
しかし、数秒と経たずに起き上がって二人を睨みつけた。
彼らの口からは、イソギンチャクのような触手がはみ出している。
サーヤは引き攣った顔で拳銃のリロードを行う。
「やっぱ死なないじゃん! しかもグロいよっ!」
撃たれた男の一人が血を吐きながら激昂した。
男は木の槍を掲げてサーヤに迫る。
「くっ、何者だァ!?」
「通りすがりのヒーローです」
ミホが答えつつ、金槌のフルスイングを男の側頭部に見舞う。
男は白目を剥いて昏倒した。
金槌からナイフに持ち替えたミホは、男の首と胸を滅多刺しにした後、蠢く触手を切断して捨てる。
それでも男は跳ね起きて叫んだ。
「ルプテロ様、万歳ッ!」
「うわっ」
ミホは驚きながらも冷静にナイフを振るい、男の首を切り裂いた。
そこから金槌で頭部を何度も殴打して完全に叩き潰す。
脳を潰すと、男は復活しなかった。
一方、走り回るサーヤは他の男達に銃撃を浴びせていく。
相手の目を撃ち抜くことで視力を奪い、数の不利を上手く誤魔化している。
目を失った男達は、触手を垂らして呻くことしかできない。
そんな彼らをミホとサーヤが一人ずつ抹殺していく。
およそ五分ほどで儀式の場にいた男は全滅した。




