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2ギャルが勝ち 〜因習村ジェノサイドRTA編〜  作者: 結城 からく


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第3話 前編

 それから数週間後、サーヤとミホは小型ボートの上にいた。

 ボートは海をまっすぐに突き進んでいく。

 運転するのはサーヤだ。

 ボートは半グレから奪った資金で購入したもので、当然ながら無免許運転だが咎める者はいなかった。


 相方のミホは寝転がって都市伝説の雑誌を読み直している。

 インターネットで検索した結果、二人は件のカルト島の大まかな位置を特定していた。

 現在はそこに向かっている最中である。


 太陽が真上まで昇った頃、サーヤは前方を指差して笑う。


「ねえ、見て見て! 島だよー!」


 彼女が指し示す先には広大な島があった。

 鬱蒼とした森が広がり、その先には山もそびえ立っている。

 起き上がったミホは、島を眺めて感心する。


「結構デカいね」


「本当にカルト島だったらいいなー!」


「もし何もなかったらどうする?」


「その時はバカンスを楽しもうよ!」


「いいね、最高じゃん」


 加速したボートが島の浜辺に乗り上げた。

 二人は荷物を持って上陸する。

 サーヤは両手を挙げて無邪気に喜んだ。


「到着だー!」


「パッと見は無人島って感じだね」


「探索しなきゃいけないね!」


 張り切るサーヤは、腕まくりをして歩き出そうとする。

 その時、遠くから「おーい」という野太い声が聞こえてきた。

 サーヤは不思議そうに言う。


「誰かいるみたい?」


「あそこだ」


 ミホが数十メートル先の砂浜に注目する。

 そこにはシャツに短パン姿の中年男が立っていた。

 男は駆け足で二人のもとに向かってくる。

 なぜか両手を後ろに隠した、奇妙な走り方だった。


「おーい」


 サーヤは息を大きく吸い込むと、男に負けない声量で呼びかける。


「こんにちはー! あたし達、カルト島の噂を聞いて来たんですけど、何か知りませんかーっ?」


「おーい」


 男は質問に答えない。

 代わりに、両手を頭上に掲げてみせる。

 その手は無骨な斧を握っていた。

 凶器を晒した男は、猛烈な勢いで二人に接近してくる。


 サーヤは面倒臭そうに顔を歪めた。


「うわっ、殺る気満々じゃん」


「都市伝説は本当かもね」


 ミホは足元の貝殻を拾い、アンダースローで投げ放つ。

 貝殻は一直線に飛び、男の額に命中して砕け散った。

 破片が目に入り、男は呻いて立ち止まる。


 そこにサーヤが拳銃を発砲した。

 眉間に弾丸を食らった男はひっくり返って倒れる。

 サンダルを履いた足は痙攣していた。


 二人は死体に近付いていく。


「びっくりしたー。完全にヤバい人じゃん」


「何もしてないのに殺そうとしてきたね」


 会話の途中、男が唐突に立ち上がった。

 眉間から脳漿を垂らしながら、男は奇妙な声を上げる。


「あっぽぽぽぽぽぽぽぽぽ」


「え!?」


「うわっ!」


 驚いたミホは、落ちていた斧で男の首を刎ねた。

 転がった生首が砂浜に落下し、じわじわと赤黒い液体をこぼし広げていく。

 遅れて倒れた死体は、もう二度と起き上がってこない。

 暫し警戒していたサーヤは安堵する。


「な、なに今の……死んでたはずなのに……」


「悪霊が憑いたってことかな」


 二人は顔を見合わせて、深刻な表情で沈黙する。

 やがて彼女達は同時に笑顔を浮かべた。


「いいじゃんいいじゃん! こういうのを待ってたんだよ! あたし達がぶっ殺すのにぴったりな相手だもん!」


「ヤクザも半グレも弱かったし、これくらいがちょうどいいね」


「それなー!」


 異常現象に直面しても、二人の喜びは萎えるどころかさらに膨らんでいた。

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