↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラザーズアローン ~世界に選ばれざる《独り》の兄妹~  作者: flyas
第十一章 「ブラザーズ」の掟
205/438

194 山を越えた先に

 学術の都アトリアと騎士の都エラセドを隔てるように聳(そび)えるノースライフ山脈。


 その中腹で兄から妹へとリレーがなされ、兄妹はようやく麓のキャンプ地へと到着した。


「長旅のようでしたね。毛皮は確かに確認しました。次回は、エラセドの自然の厳しさを踏まえての準備をお願いいたします」


 借りもののベストを無事返却する兄妹の姿に、パーラという監査役の女性も安堵した様子だった。

 こうして晴れてエラセドの堅苦しさから解放され、兄妹は気持ちを新たにアトリアへと街道を進む。


 さらに一時間が過ぎた頃、いつか立ち寄った街道沿いの休憩所が目に入って、兄妹は一旦休憩をとることに決めた。


 フライアの息も上がっている。ライアスは憑依を解き、自由に給水できる井戸水を汲み上げると傍のベンチに腰掛けた。


 隣り合って座り、兄妹は互いを労いつつ一息入れる。


「はあぁ~……」


 フライアが深々とため息を吐いた。

 ライアスはふと歩いてきた道へと視線を向ける。


「あ~……よくまあ、歩いてこれたな……」


 エラセド方面を見れば高々とそそり立つノースライフ山脈がある。兄妹で協力し、あの裏側まで往復してきたと思うと感慨深い。


 ライアスがしみじみ息をついていると、街道沿いに目を向けたフライアが「あれ?」と声を上げた。


「……定期便?」


 そう言って立ち上がる。


「……ん? どうした?」


 そのまま小走りに駆けだす妹に、ライアスも続く。

 フライアが目にしたのは道の脇にある立て看板だった。馬車の停留所らしく、擦れた文字でいくつかの発着時間が記されている。

 以前は気付かなかったが、この休憩所にもアトリア行きの定期便が立ち寄っているようだ。


 だが、そこにある張り紙を目にした兄妹はがっくりと肩を落とす。


『アトリア 非常事態により、運行中止。再開未定』


 運航中止、という文言に儚い期待を裏切られた兄妹は、続けざまに「ん?」と首を傾げる。

 その疑問をライアスが口にした。


「……あれ? ここで運行中止っていったら王都行きもないんじゃないか?」


 そういえば、と視線を交わし合う。


 ……というのもここ数日、エラセドのことで頭が一杯のあまり、アトリアで起きた大惨事のことをすっかり忘れていた。


 既に時刻は午後四時を回ろうとしている。アウストラリスに帰るにあたり、当初はこの時間のアトリア最終便に滑り込むのを目論んでいた。


 それはもう叶わないわけだが、どのみち状況的に定期便そのものが運行していない可能性が高い。


「かもね」


 兄の言葉にフライアが頷く。

 ライアスは小さく吐息した。


「どっちみち、アトリアから王都まで歩かなきゃいけなかったのかよ……ってそれなら、今日アトリアに泊まれるのか?」


 兄のその疑問にフライアもどきりとする。非常事態なら定期便だけでなく、店や宿だって営業しているとは限らない。


 兄妹は念のため、と休憩所の売店を訪れた。非常食用の干し肉を購入し、不測の事態に備えておく。


「と、とりあえず……」

「都に着かねえと、だな。最悪ドリューに頼むかだな」


 アトリアに行ってみないことには状況も分からない。


 兄妹は疲労が蓄積した脚をもみほぐすと、再び街道へと足を踏み入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。