↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
9/16

8 お母様とのお茶会

マルグリットに連れられ、お母様がいるサロンへ向かう。

マルグリットは私が産まれる前からドレノワール家で働いている、我が家の侍女長だ。

いつでもピンと伸びた背筋に、ボストン型のメガネとピシッと整えられたまとめ髪。見た目どおり厳格なマルグリットには未だに逆らえない。

彼女の娘、シエラがまだ私の専属侍女になる前の見習いだった時のこと。シエラが失敗したことについて反省する前に言い訳してしまい、マルグリットの雷が落ちたところを見たことがある。

私が怒られたわけじゃないのに、震え上がって動けなくなるぐらい怖かった…。

それ以来、マルグリットにだけは口答えしちゃダメって本能が言ってるのよね。


ただ家の中を歩いているだけなのに、

マルグリットがいるだけで背筋が伸びるわ。


「お母様、アンジェリカです。失礼いたします。」


サロンの扉をノックし、お母様に声をかけた。

「どうぞ。」とお母様の声がし、部屋に入ったところでスッとカーテシーをした。


「お待たせいたしました。

お呼びでしょうか、お母様。」


「ふふっ。すっかり素敵なレディになったわね。

でも今日は母親として話をするのだから楽にしてちょうだい。」


「ありがとうございます。

今日は招待客についてご相談に乗っていただけるのでしょうか?」


「えぇ。正直想定していなかった方が側近に選ばれましたからね。

クッキーでも食べながら相談しましょう。」



やっぱりお母様からしても想定外の人事だったんだわ。

正直、オリバー様とコンラート様は本当にノーマークだったもの。

お二人のことはよく知らないけど、下級生の中にも優秀と名高くてアルベルト殿下とも親しくされている方もお茶会に招待されていたのだ。


彼らもアーサーのようにエドワード殿下の側近候補として残すために今回は外されたのかもしれないけど、

そんな消去法のような理由だけで選ばれたわけではないのだろう。

もしかしたらお母様はその辺りの事情をお父様から聞いて何かご存知なのかもしれない。



「側近に選ばれたオリバー・ベル様とコンラート・ボルドー様についてですが、お父様から何かお聞きになっていますか?」


「そうね。お父様からは何も聞いていないわ。

でも昨日行ったお茶会に、旦那様が側近の選考にかかわっていたという方がいらっしゃったの。

その方が言うにはお二人の選考理由としては、やはり派閥の勢力調整というところが大きいそうよ。

もちろん、側近として恥ずかしくないほど優秀なご子息ではあるみたいだけど。

あとは側近には多少護衛力が必要じゃない?

オスカー様は剣術も少し嗜まれているそうだけど、トーマス様は頭はいいけど体を動かすことについてはからっきしだと聞きますしね。だから武官派閥の中でも腕のいいコンラート様が選ばれたと言っていたわ。

残念ながらオリバー様についてはベル家とはほとんどお付き合いがなくて大した情報はお持ちじゃなかったようだけど。」



おぅ。さすがお母様。

社交界の華と呼ばれ、毎日のようにどこかしらのお茶会に招待されているだけあって情報収集力が半端ないわ。

私もお母様のようにならないといけないのよね…。

もっとちゃんと間近で見て勉強する必要がありそうだわ。



「そうだったんですね。

オリバー様については、先日のお茶会で仲良くなったマーガレット・シトリン様からいろいろお話を伺いましたわ。

農業について深い関心がある方だそうで、とても謙虚で心優しい方だと言っておられました。

あと、近日中にお二人は婚約されるんだそうです。」


「あら、シトリン家のご令嬢と仲良くなっていたのね。

それなら今後お茶会に及びする時はお二人まとめて呼べばいいんじゃないかしら。マーガレット嬢に『婚約者としてご紹介してください』とでも言えば繋がりができるでしょう。」


「そうさせていただきます。

今回はご年齢的にご招待できませんが、マーガレット様にお願いしてご紹介いただこうと思います。

あとはコンラート様ですが、あいにく共通の知り合いがいなさそうで…。

武官派閥ということはお父様同士でつながりがあったりしますか?」


「そうね。ボルドー家のことならお父様に聞けばわかるでしょうね。私から聞いておきましょう。」


「ありがとうございます!」


ひとつ心配したことが片付いたので、ホッとして目の前のクッキーを口に入れた。

あっ、このクッキー美味しい。

今度のお茶会で出せるように、あとでどこのお店のやつか聞いとこう。


そうだ。お母様はコンラート様の婚約事情とかも知ってたりするかしら?

この場で聞けちゃえば、この流れで一緒に呼びたいって言えるかもしれないわね。


「そういえば、コンラート様はどなたかご婚約されているのでしょうか?

先に婚約者の方と仲良くなっておけば、今後コンラート様にもご一緒していただきやすいかと思いまして…。」


「あぁ、それなら気にしなくて大丈夫よ。

コンラート様はご結婚なさる気がないんですって。結婚するよりも騎士の道を極めたいとおっしゃってるそうよ。三男でいらっしゃるから跡取りを残す必要もないってことで、ボルドー伯爵も了承されてるみたいで気兼ねなく剣術に打ち込んでいらっしゃるわ。」



な、なんですってー?!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。