9 悪役令嬢はどこ?!
想定外も想定外だわ。
まさかコンラート様に婚約者がいないどころか結婚する気もないだなんて…。
しかもお父上も認めていらっしゃるってことは、
今後家の都合で婚約者が決まるって可能性も低そう。
コンラート様は攻略対象じゃないってこと??
いやいや、でも元騎士団長の息子っていう設定には覚えがある気がしたから、やっぱりコンラート様だと思うのよね。
それにちゃんとした付き合いはなかったにしても、同じ派閥だからお顔は知っている。
まだお顔立ちや体格が幼くて気が付かなかったけど、
言われてみれば騎士ルートの攻略対象に似ている気がするわ。
だとしたら、悪役令嬢はいったいどこへ…。
「でも、確かに婚約者がいらっしゃらないならあなたのお茶会にはお誘いしにくいわね…。
アーサーがお茶会を開けるようになるまでは、まだ2年以上もあるし…。」
お母様が少し心配そうに続けた。
そう、お茶会には婚約者のいない異性を誘わないという暗黙のルールがある。
下手に誘って婚約者以外の異性と噂が立つのを防ぐためだ。
そのため、婚約者と一緒に異性の開催するお茶会に参加することはあっても、一人で行くことはほぼない。
行くとしても噂が立つリスクの少ない、ごく親しい友人だけで集まるお茶会ぐらいだ。
「そうですね…。
コンラート様の初めてのお茶会には、アルベルト殿下の婚約者としてご招待いただくことになるでしょうけど、できればそれまでに何らかのつながりを持つ努力はした方が良いかと…。
そもそも、ご結婚なさらず騎士として側近のお仕事を続けるおつもりなら、社交に力を入れる必要もないでしょうし…。」
「そうね…。でもその辺りはご本人にお考えを聞いてみないとわからないでしょうし、考えても仕方ないわ。
それよりも、まずは目の前のお茶会に集中しましょう。」
「はい。そうですね。
まず、今回の選考結果を踏まえて少し招待客を調整したいと思っています。
具体的には…」
そこからはお茶会の招待客リストを見ながら調整の相談をしていった。
おおよそ私の考えていた案でOKをもらえたので、すんなり最終リストも完成した。
お茶をいただきながら少し雑談をしたあと、
専属侍女のシエラと一緒に部屋に戻った。
「お嬢様、大丈夫ですか?
なんだかすごく難しそうなお顔をされてますけど…。
お茶会にまだ何かご懸念が?」
シエラが心配そうに聞いてきた。
「ごめんなさい、大丈夫よ。
ただ、コンラート様と仲良くなるにはどうしたらいいかしらと思って。
側近に決まった中で彼だけ接点になりそうな方がいなくて。
アルベルト殿下のお力はできるだけお借りしたくないし…。」
「あれぇ?
婚約が決まったばかりなのにもう浮気ですかぁ?
アルベルト殿下泣いちゃいますよ?」
「違うわよ!!
お母様には考えても仕方ないとは言われたけど気になっただけよ!」
「本当ですかねぇ??」
シエラはにやにやと私をからかいながら着替えを手伝ってくれた。
本当にあのマルグリットの娘なのかしら?
顔立ちは似ているけど性格があまりにも違うので親子に思えないわ。
仕事は丁寧で優秀なんだけど、たまにこうやって私をからかって楽しんでいる。
そのぐらいの方が気楽だからいいんだけど。
でもあんまりしつこいとマルグリットにチクッちゃうぞ、このやろう。
「そういえばさっきから気になってたんですけど、そのコンラート様?ってもしかして赤髪で短髪の真面目そうな方のことですか?」
「えぇ、そうよ。
もしかして侍女のつながりで何か聞いてたりする?」
「はい。
この前、学園で大人しそうなご令嬢にプロポーズしてるのを見たって侍女仲間が言ってましたよ。
すんごい熱烈に迫ってたって。」
…はい??




