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10 何が本当なの?!

「え?え?

それは本当にコンラート様なの??

別の方と勘違いしてるのではなくて??」


「私はその場にいた訳ではないので絶対ではありませんが、侍女仲間が『あの堅物で有名なボルドー様が!』って言ってたのでおそらくご本人かと。

初等部にはもうご兄弟はいらっしゃらないんですよね?」


「えぇ…。

確か3人兄弟の末っ子で、お兄様方は中等部と高等部にお一人ずつだったと思うわ。

お母様から聞いたお話と全然違うから驚いてしまって。」


「そうですよねぇ。

私も先ほどの奥様のお話を聞いていて『ん?』と思っていたんです。

つい最近の話ですから、まだご婦人方までは噂が届いていないだけかと思い黙っていましたが。」


「学園の中でのことですものね。それもありえるわ。

でもご結婚する気はないと言っていた方が急に熱烈にプロポーズだなんて…。

いったい何があったのかしら?」


「言ってもまだ11歳の男の子ですから。

『騎士になるために恋愛はしない!』とか言ってても、

タイプの子を見つけて『運命の人を見つけた!』って心変わりしただけなんじゃないですか?」



うーん…。

子どもだしありえなくもないのかもしれないけど…。

キャラ的にしっくりこないのよねぇ。

仮にシエラの言うとおりだったとしたら、たった5年で運命の人が変わっちゃうことになるし。

そんな移り気な堅物キャラ、攻略する気失せるわ。



「あ。ちなみに相手のご令嬢はめちゃくちゃ戸惑ってたらしいですよ。

どこのご令嬢かはわからないけど、深窓の令嬢!って感じの方だったみたいなので、

今頃急なプロポーズに困り果てて寝込んじゃってるかもしれないですね。」



「…だとしたらかわいそうね。」



そのご令嬢も、コンラート様も。

きっとこんな風によそでも誇張された噂が広まっていって、

最終的に本人の耳に入るときには顔から火が出るほど恥ずかしいプロポーズをしたことになってそう。

でもまだ相手のご令嬢が誰かわからない状態で広まってるだけマシかしら。

どっちにしても真偽がわからない限り、下手に首を突っ込むべきではないわね。


また情報が入ったら報告してほしいとシエラに伝え、一旦一人にさせてもらった。



それにしても情報過多で頭がこんがらがりそう…。

結局コンラート様は攻略対象で間違いないのよね?

あーもう、なんでこんなに記憶があいまいな世界に転生しちゃったのよ…。

どうせ「ときプロ」の世界に転生するなら「戦国時代編」に転生したかったわ。

それなら大好きな黒田官兵衛様のためにゲーム知識フル活用してお役に立てたのに…。

あぁ、久しぶりに官兵衛様に会いたい…。俺様な信長様に振り回されたい…。



…いけない。

あまりの状況に現実逃避してしまったわ。

とにかく現時点では新たにやれることはなさそうだから、お茶会の準備に集中するべきよね。

社交シーズンが終わったら新学期が始まるから学園の勉強の復習もしておかないと。

うん。やることは山積み。

お母様の言う通り、考えても仕方ないことは考えずに目の前のことを片付けていきましょう。




ーーーところ変わって王城の王太子の執務室。


アルベルトとレオンは新たに決まった側近のために交流会を計画していた。

基本的に12歳未満の子どもがお茶会などに参加する場合は、親の同伴が必須になる。

ただし、王族の側近に選ばれたものだけは例外で、主人と側近だけの交流会なら親の同伴は必要ない。

そうでなければ年下の側近を選べなくなってしまうからだ。


「では、この内容で4人にお伝えしておきますね。」


「あぁ、頼む。

ようやく片付いたな。お茶会の準備から今日までご苦労だった。

ひとまず二人だけの慰労会でもしようか。」


「いいですね。ではお茶の準備をお願いしてきます。」



レオンが戻ってからほどなくして、メイドがお茶と焼き菓子を持ってきた。

メイドが部屋を出た後、レオンは少し声をひそめてアルベルトに言った。


「そういえば聞きましたか?

コンラートがご令嬢にプロポーズしてたって話。

あれだけ『結婚はしない』と豪語していたのにどうしたんでしょうね?」


「あぁ。私も聞いた。

『跪いてご令嬢の手を取りながら愛を語っていた』と聞いたが、本当にコンラートのことなのだろうか?

私の知るコンラートからは全く想像できないが…。」


「僕は『君のためなら死ねる!』って大声で叫んでたって聞きましたけど。

これが他のご令息ならどこかで尾ひれがついて誇張されただけだと流してしまいますが、

コンラートの場合ありえなさ過ぎてどこからが本当のことなのかわからなくなりますね。」


「本当にな。そもそもプロポーズをしていたということすら怪しい。」


「今度の交流会で真実を聞かないといけませんねぇ。」




そして交流会当日。


初めて自身の噂について知ったコンラートは、

あり得ないほど誇張された噂の広がりに絶句し、しばらく机に伏して動けなくなるのだった。

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