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14 やっぱりトラブル発生

「…経緯はともかく、おめでたいことですわね。

確かグリヴェール家のご令嬢は長子じゃなかったかしら?

コンラート様は三男ですし、婿入りして家督を継ぐことになりましたの?」


「いや、ご令嬢、ヘレナ嬢の下に双子の弟がいるからどちらかが継ぐんじゃないかな。

母上も『うちが家督を奪ったりしないから』ってご当主を説得してきたらしいし。じゃあ格上の伯爵家にとってこの婚約になんのメリットがあるんだって逆に怪しまれたらしいけどね。最終的に『コンラートの気が変わる前に!』って泣き落としたらしい。」



お母様、必死ね…。

ご当主は結婚しないのをご了承されたと聞いていたけど、お母様は納得されてなかったのね。

それにしてもヘレナ・グリヴェール様か。

同じ子爵家のご令嬢のセシリア様も年が離れすぎてあまりご存じないようだし、引き続き情報収集が必要だわ…。





「いい加減になさいませ!不愉快ですわ!!」




…!!!


別のテーブルから、お茶会でお客様に言わせてはならない言葉が聞こえてきた。

しかもその言葉を発したのはレティシア様だ。

私の親友であるレティシア様が大声で私を困らせる言葉を言うなんてよっぽどのことがあったんだわ。

それにレティシア様のテーブルには「あいつ」がいる…。

嫌な予感しかしない!



「失礼」と言って席を立ち、レティシア様のもとへ向かう。




「レティシア様、申し訳ございません。

何か至らないことがございましたか?」


「アンジェリカ様!

アンジェリカ様に至らない点は何もございませんわ!このお茶会にも、それ以外にも!

それなのにこの男は……!!」


扇子でビシッと指した先にはやっぱりアンドレ様がいた。

普段おとなしい(と思われてる)レティシア様が烈火のごとく怒りはじめたのに面食らって固まってしまっている。

同じテーブルの方に説明を求めようとそちらを見ると、

中等部に所属する武官派閥の子爵令息がおずおずと手を上げた。



「あの…。最初はみんなで和やかに会話を楽しんでたんです。

先日のお茶会のお話をお聞きしたくて、ご出席されたアンドレ様にもお話を振った途端に不機嫌になられまして。

もちろん他意はなく、あの名誉あるお茶会に参加された方のお話を聞きたかっただけなんです。

でも気分を害されてしまったようで、『招待もされないようなやつに話す話はない』とか『なんでこんな低レベルなやつがいるテーブルに通されないといけないんだ』などと言われてしまいまして。

『こんなセンスのない席図にした女が王太子殿下の婚約者だなんて、王家は判断を誤ったな』と言ったところでレティシア嬢がお怒りになったんです。」



…ほんっとにガキだわ。

私のことはまぁいいけど、初めてお会いする方相手に八つ当たりするなんて。

こいつはそういうことをしかねないとは思ってたから、下位貴族の席には年上で、なおかつお話上手な方を多めに配置していた。それなのに、まさかそれにまで食って掛かるなんて……。



「…アンドレ様。

私のことはどう言っていただいても構いませんわ。でも、他のお客様に当たるのはお辞めください。

それに『王家が判断を誤った』という発言は不敬と取られても仕方ありませんわよ。」



「うるさい!

お前のせいで俺が側近になれなかったんだ!

ベル家の倅やボルドー家の倅よりも俺の方が優秀なのに、お前が婚約者になったせいで対立派閥筆頭の俺が外された!

悪いと思ってるなら今すぐ婚約者の座を降りろ!

お前のような高飛車で可愛げのない女が婚約者だと殿下もかわいそうだ!」



「なんですって?!今の発言取り消しなさい!!」


「レティシア様!落ち着いて!

私は気にしていませんから。」



レティシア様、どうどう。

…はぁ。本当に呆れて言い返す気もならないわ。


どうやってこの場を収めようかと考えていると、アルベルト殿下がこちらにやってきた。


「アンドレ。

君が納得しようとしていなかろうと、今日は私の婚約者のお茶会だ。

このような場で騒ぎを起こすのはいただけないな。

本来、私から側近の選考基準について他言するべきではないが、君のために特別に1つ教えよう。

いくら他の点で他の候補者に勝っていたとしても、他者を思いやる気持ちのないものは選ばない。

統治者となるものの周りに、自身の利益を最優先させるものがいると国が崩壊するからだ。

その点で君は他の候補者よりも劣っていると判断せざるを得なかった。

アンジェリカが婚約者に選ばれたことは全く関係ない。

それに、今の言動を見る限り、王家の判断が間違っていたとは思えないが?」


「……。

皆さま、お騒がせして申し訳ございませんでした。

気分転換に音楽鑑賞をお楽しみください。」


アルベルト殿下の言葉にアンドレ様が絶句しているうちに、弦楽四重奏の演奏を始めてもらった。

本来なら、会の最後に皆様へのお礼として披露する予定だったけど、この空気を変えるためには仕方ない。

騒ぎが起こったときにシエラに準備の合図を送っておいてよかった。


これで他の卓の雰囲気はある程度戻るでしょうけど、このテーブルはこの後どうしたらいいのかしら…。


あぁ!もう!本当にやってくれたわ!

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