第6話「こけおどし」
手は煤で真っ黒、洗う水さえない工房。
「作る」と決めた少年に、細い部品がひとつ足りない。
だから夜の市場へ——腰には、道中の備えをひとつ差して。
本当に撃てなくてもいい。撃てるように、見えれば。
手首まで真っ黒に汚れていたが、洗うものが何もなかった——工房には仕事以外、何もかもが足りなかった。
創は履帯の最後の関節を締め、一歩下がった。小さく頑丈で、脚の代わりに二本のキャタピラを持つ機体——脚が届かない場所を進むはずのものだ。少なくとも、そのつもりだった。核はまだない。装甲も半分足りない。だが指で押すと、履帯はちゃんと回った。それは昨日までなかったものだった。
手の甲で額の煤をこすり、さらに汚れを重ねた。クランプは壁際に伏せて創の作業を見つめ、火花が鼻先に近づくたびに蒸気を吹いた。
コイルが足りなかった。動力を伝えるための細いコイル——そんな細かい部品を、まだ直接呼び出す術を知らなかった。金属が光だけで育つほどの理を、この一点についてはまだ知らない。だから買うしかなかった。買うには、行くしかなかった。
棚からもうひとつ取り、腰の帯に差した。冷たく、重く、手に馴染む大きさのそれ。道中の備えとしては悪くなかった。
*
低き門は眠らない。
創は市場を端から突っ切った。いつものやり方だ——屋台の灯りが誰の目にも晒す真ん中ではなく、天幕の影になる端を通る。レニはいつもの場所に座り、硬貨を数えていた——毎晩と同じように。
「コイルを」創は言った。「細いのを。動力用だ」
レニは目も上げなかった。台の下に手を伸ばし、二人の間に巻き線を置いた——頼んだものではなく、もっと良い品だった。
「あんたのその要らない関節と交換だよ」レニはつぶやいた。「それと、そんなに猫背で歩くもんじゃないよ、坊や。何か作ってるって顔に書いてある。ここじゃ、顔に何か書いてあるのは損だからね」
交換した。要らない関節を、足りないコイルと。それでも得をした取引だった。構築者にとっては、どんな小さな螺子ひとつも無駄に転がってはいない。
「ありがとう」
巻き線を懐にしまった。立ち去る背後で、声が聞こえた。
「また来な」
それを言うレニは、きっと顔も上げていないだろうと思うと、創はひとり笑った。
*
帰り道は路地を選んだ。そのほうが近かった。
姿を見るより先に、足音で気づいた——創が速めると、向こうも歩調を緩めた。やがて男は角から現れ、道を塞ぐように立った。灰色に沈んだ姿は、創より頭ひとつ大きい。この暗がりでは、顔よりも冷たさのほうがはっきりと伝わってきた。
「持ってるもん、見せな、坊主」——脅すでもなく、ただそう言った。何度も口にしてきて、効くと知っている者の言い方だった。
創は自分の光が胸の内で縮こまるのを感じた。狭く、内側へ。自分のほうが弱い。最初の一歩からわかっていた。手が勝手に帯へ伸びた。
棚から取ったものを引き抜き、相手の中心に向けた。銃口が冷たく光った。
男は固まった。半歩、後ずさった——痛みに怯えたのではない。ここで痛みを恐れる者などいない。恐れたのは、戻れなくなるものだ。夢の世界で負う傷は、朝には消えるあざではない。それは、二度と目覚めない何かになりうる。
「おい」男は両手を開いて掲げ、後ずさった。「落ち着けって。なんでいきなりそう物騒になる」歪んだ笑みを浮かべた。まるで自分のほうが分別があるとでもいうように。「冗談だったんだよ。もう行く、行くから」
背を向け、歩きながらもぶつぶつと続けた。
「まったく、今の時代はどうなってるんだか。ガキがそこらじゅう銃振り回してよ。俺の頃はこんなことなかったのに。最近この辺は物騒になったもんだ」
ぶつくさ言いながら遠ざかり、現れた時と同じくらい静かに、脇道へ消えていった。
創はしばらく、腕を構えたまま立っていた。路地がすっかり静まり返るまで。それでようやく腕を下ろし、口から息を吐いた。
こけおどしだ。いつか造るはずの武器の、今はただの張りぼて。核もなく、機構もなく、火を噴くものなど何ひとつない、冷たい金属の殻——他に使い道のない材料を寄せ集め、一時間で組み上げただけの代物だ。本当に撃てる武器はまだ造れない。撃てるように見える武器なら、造れた。今はそれで十分だった。
それを帯に戻し、足を速めた。心臓はまだ肋の下で激しく打っていた。「危なかった」ひとりごちた。もし相手が怯まなかったら。もう一歩近づいて、手を伸ばしていたら。その先は考えなかった。考える意味がなかった。
*
工房に戻り、コイルを所定の位置に収めると、動力は最初の一回転で噛み合った。
一歩下がり、いつもの布切れで手を拭い、手元にあるものを見渡した。核のない履帯。壁際のクランプ。そして部屋の隅——もう一体、大きな機体。その空の核座は、何よりも長く待ち続けていた。
何かが胸の内で張り詰めた。疲れのせいではなかった。冷たい核座に手を置いた。
「お前を仕上げたら」静かに言った。それは久しぶりに、口先だけの約束ではなく、計画のように響いた。「もっと大きなものに取りかかる。この工房には収まらないくらいの」
一瞬、はっきりと見えた。ノートの余白に描いた落書きのように——門よりも高い輪郭、空を覆う両腕。馬鹿げている。そのための光さえ、半分もない。まともな核ひとつぶんの光すらなかった。
だが指で押せば、履帯はちゃんと回った。それは、昨日までは動かなかったものだった。
クランプが頭を上げ、蒸気を吹いた——まるで、その光景を見ていたかのように。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
力ではなく、見せかけで——創は今夜を切り抜けました。撃てる武器ではなく、撃てるように見える武器で。
小さき者の勝ち方は、いつも「本当の力」とはかぎらない。それでも彼は、空の核座に手を置き、もっと大きなものを夢に見ます。次の一体を。
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—— Tuttimi




