第5話「現(うつつ)と帰還」
空いた席が、三日。
夢の側に置き去りにした少女を、創は毎夜、探し続ける。
古い石段は、もう無人。光は足りず、時も足りない。
——ならば、変えるしかない。自分自身を。
前列の椅子は、もう三日も空いたままだった。
教師は彼女の名前を読み上げるのをやめた。すぐに線を引いて次へ進む。まるでその名前が、クラスがもう片づけ終えた課題であるかのように。創は机から顔を上げるたび、その席を見た。教室の誰よりも、その席について知っていた。そこに座るはずの少女が、本当はどこにいるのかを知っていた。市立病院の点滴の下だけではない。夢の側でも、彼女はひとりだった――彼女を連れ出せぬまま、創だけが引き剥がされた、あの場所に。
彼女をあそこに置き去りにした。その考えは、欠けた歯に舌が触れるように、何度でも戻ってきた。
「星野」誰かが肩を小突いた。教師に聞こえないよう、声を落として。「また寝てるのか」
眠ってなどいなかった。三晩、ほとんど目を閉じていない――それは眠りとは別物だった。眠りは今や仕事になっていて、仕事は昼間には持ち越せない。何かを口の中で呟き、視線をノートに戻す。そこに方程式はなかった。あるのは未完成の骨格――四つの関節と、空っぽの核受け皿。手の置き場に困るたび、無意識に描いていたものだ。
二つ先の机で、誰かが友達に囁いていた。創は聞いていなかった――一つの言葉が出るまでは。この数日、他のどんな言葉よりも重くなっていた言葉が。
「……あの子も、目を覚まさなかったんだって。二組の男子。朝、どうしても起きなくて」
友達が何か囁き返したが、創にはもう聞こえなかった。それを頭の奥――夜になると光の残る場所――にしまい込んだ。空いた椅子と、石段の少女の隣に。二人。今は三人。どうつながるのか、まだわからない。だが、つながっていることだけは、もうわかっていた。
*
家に帰り着いた頃には、日が暮れていた。台所で叔母がやかんを火にかけている――毎晩と同じ、あの静かな笛の音。世界は変わらず回っている。愚かなほど、穏やかに。創は何も食べなかった。服のままベッドに倒れ込み、目を閉じた。
「よし、仕事だ」と枕に向かって呟いた。毎晩同じ言葉。だがこの夜だけは、誓いのように響いた。
そして、自分の外へ出た。
*
古い石段の下にたどり着くと、そこはいつも通り無人だった。
石の段は暗い空へ向かって伸び、あの夜と同じように途中で途切れていた。だがその足元に、蒼白く丸まった姿はもうなかった。物事はそう単純にはいかない――逃した機会は、いつまでも尾を引く。もしまだそこに彼女がいたら、むしろ驚いただろう。もう一つのもの――空気に開いたあの穴、あの飢えも、姿を消していた。恐らく彼女は、それから逃れてどこか遠くへ行ったのだろう。
見回してみたが、あたりの空間は黙したままだった。残るのは冷たい石と、他のどこよりも濃い静寂だけ。痕跡は何もなかった。動き出した魂は跡を残さない――あらかじめ何かを打ち込んでおかない限りは、戻るための何かを。創には、それがなかった。まだ。
クランプが石段の足元を嗅ぎまわっていた。立ち止まり、横へ動き、また戻る。その脇腹から、薄く頼りない蒸気が立ち上っていた。しばらくして座り込み、創を見上げた。この先どこへ行けばいいのか、わからないのだ。この犬が何かを「わからない」のは、初めてだった。
「どこかへ連れて行かれたか」創は静かに言った。「それとも、自分でもっと先へ逃げたか」
精神界は石段の先で終わってなどいない。闇の中、あらゆる方向へと広がっていた――市場、門、それぞれの道を行く傾いた魂たちの区画。創がまだ足を踏み入れたことのない、名前すら知らない領域。そのどこかに、彼女はさまよっているはずだった――帰ることのできない少女の魂が。もっとも、さまよっているというのは、まだ穏やかな方の可能性に過ぎない。すでに刈り取る者に捕らえられていても、おかしくはなかった。
創は彼女を探しに行った。
*
朝まで探し続けた――こちら側の朝ではなく、自分の側の朝まで。
低き門へ下り、何かを買うついでのふりをして、さりげなく尋ねて回った。レニは硬貨を数えていた――こちら側の誰もがそうするように、癖でしかないというのに。とうの昔に、金など必要としなくなっているというのに。
「あのはぐれ娘か?」目も上げなかった。「言っただろう、坊や。弱くて、独りの魂は、長くはさまよわない」ようやく片目だけこちらを向けた。「いた場所にいないなら、もう何かに見つかったってことさ。夜うろつくのはよしな。弱くて、独りで、暗闇の中――そういうのに、飢えたものはつまずくんだよ」
だが、やめるつもりはなかった。彼女とは長い付き合いだ。こちら側にひとり置き去りにするなど、考えられなかった。市場を突っ切り、門を抜け、見知らぬ区画へと進んだ――そこで初めて、広大な場所で弱い者であるとはどういうことかを知った。
一時間もすると、足が重くなった。立ち止まり、冷たい戸口の段に腰を下ろし、また歩けるだけの光が戻るのを待つしかない。そしてその一回一回の休みが、本来持ち合わせていないはずの時間だった。強い魂ならば、これらすべてを瞬く間に飛び越えただろう。創は、歩いた。歩けば歩くほど、向こう側の夜は減っていき、こちら側の夜明けは近づいた。
彼女は見つからなかった。手がかりになる場所すら見つからなかった――あるのはただ、彼女が通ったかもしれない、次から次へと現れる暗い通り。百夜かけても回りきれないほどの数だった。
明け方、夢は創を手放した。あの時よりも、静かに。引き戻されるのでもなく。ただ、夜が尽きたのだ。
*
創は目を開けた。カーテンの隙間から鋭く差し込む朝の光、床に落ちた毛布。
胸に手を当てた。夜のあいだに光が集まる場所に。答えはわかっていたが、それでも頭の中で数えた。足りない。いつも足りない――あちらの世界を時間内に渡りきるにも、もう一体のロボットを完成させるにも、間に合わせるにも。
知識ならあった。自分の設計の最後のねじの一本まで、使いこなす術も。足りないのは、いつも通り、時間と手段だった。
ベッドの端に座り、三日ぶりに、彼女を置き去りにしたことではない考えが浮かんだ。今のままなら、また彼女を置き去りにするだろう、という考えだった。そしてまた。探すべき相手がいなくなる夜が来るまで。
だから、今の自分をやめなければならない。
立ち上がった。夜明け――学校の朝――まで、あと一時間。だが今頭にある仕事は、眠りを待ってくれるものではなかった。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
探しても、彼女は見つからなかった。それでも創が掴んだのは、絶望ではなく、一つの決意でした。「今の自分を、やめる」。
知識はある。足りないのは、いつも時間と光。ならば——奪われる前に、強くならねばならない。
次の夜、少年は「作る」ことを選びます。
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—— Tuttimi




