第三十三話 八神
楽しんでってね〜!
「6丁目では1年ごとに隣組長がまわってくるじゃろ?
それで、1年前に隣組長が変わったんじゃが....
その隣組長が、最近越してきた八神というやつなんじゃ。」
「そういえば、回覧板にも書いてありましたね....
あれ、でもそれ以降回覧板を見ていないような...」
そう、神の家には1年前から回覧板が届いていなかった。
それも、神がスラム化を知らなかった一つの要因である。
「まず彼は、回覧板を廃止して情報を制限しだした。」
「え、でも隣組長なのにそんなこと...」
「普通はできない。だが、やつはそれを平気でやりよる。
そしたら案の定というか、他の住神たちがクレームを入れに行った。そしたらどうだ、翌日彼は『家にたくさん遊びに来てくれた!!』と喜んでおった。」
「マジですか」
「大マジじゃ。
ほんでその後、"結果市"という施設を見つけたそうでな。そこで、この地域がスラム化すると告げられたらしい。」
「...」
いや、おかしい。
結果市で現れる"結果"の情報は、神自身が提供しているものだ。
だが、そんな情報を提供した覚えはない。
――"結果市"が、情報を提供している?
いやいやそんなはずは...
「そしたら次々にありえないような計画を公開しだして、反対する者は八神の家に強制的に泊められるようになった。泊まった者の話では、相当な地獄であったそうじゃ。
それで住神たちは八神に従うしかなくなり、6丁目のスラム化が進んだってわけじゃ。」
「...そういうことだったのか...」
「要するに、サイコパスってことじゃ。」
「そこはハッキリ言っちゃうんですね」
「住神たちの間ではもはや常識じゃからな
ちなみに八神は、隣組長というシステムさえも廃止させて、最終的に別の町へ越していったのじゃ。
ただ、リーダー的存在である隣組長がいなくなった今、この地域の復興も全く進まず、スラム状態が続いているのじゃ。」
「なるほど...」
「誰か、リーダーにふさわしい力をもった人間...じゃなかった、神がいればいいのじゃが...」
「そういうことなら、任せてもらえませんか?」
「ほう。お前さんにか?」
「はい。僕は今まで、様々な施設を作っては運営を続けてきました。さっきの結果市もそうです。
なぜか、僕ならこの地を復興できる気がするんです。」
「...そこまで言うなら...いや、ワシにも決定権があるわけではない。というより、決定権を持つものがいない。先程食料や資金を配っていた様子を見ても、お前さんは十分信用できる。他の住神たちも賛成するなら、いいんじゃないか?」
「わかりました。」
そこから神は、いつになく真剣に住神たちの意見を集めた。
すこし不安だという声もあったが、それでも賛成が大多数であった。
そして――――




