怪物から人へ
「なっ!?」
怪物の拳を片手で受け止めた際、背後のシズクさんから、これまた珍しい驚愕の声が聞こえたが、とりあえず、その腕を掴んで、その巨大を投げる。
『ググオォォー………』
うん。
怪物化しているだけあって、その声は、人が発して良いものではないな………。
それよりも---------
「下がって………」
振り向く事はせず、背後にいるであろうシズクへ向けて、そう言い放った。
そして、深く姿勢を低くするなり、強く踏み込み、一気に懐に入って、立ちあがろうとする怪物の顔に重い一撃をお見舞いする。
その衝撃で、今度は、城門の扉の方へと吹っ飛んで行った。
「ま、待って! あれは魔物じゃなくて------」
「知ってる………」
なんか、背後から慌てたようなシズクが静止に入って来たが、何を言おうとしてるのかは、分かっているので、そっけなくそう答えた。
『ググオオオオオー!!!』
「うるさい………」
突っ込んで来た怪物に、拳カウンターで迎え撃つ。
私の拳と怪物の拳がぶつかり合ったが、押し負けたのは怪物の方が先だった。
『グ、グオオ?!』
私は体勢が崩れたのを見逃さず、怪物を蹴り上げた。
そして、さっさと終わらせようと右の掌に魔力を集め、怪物へと向けて、言い放つ。
《ダイヤモンド・バースト》
掌から放たれた光が、怪物を包み込んだ。
怪物から、まるで、悲鳴のような絶叫が辺り一面に響く。
「そんな………」
何か、背後で、シズクさんが、悲痛な感じの雰囲気を醸し出している気がするが、心配する必要はない。
「か、会長! あれを!!」
光が止むと、生徒会メンバーの一人が叫んだ。
皆が、指が向けられた先へ視線を移す。
すると、空から一人の少女が、雪が降って来るかのように、ゆっくりと、光に包まれて降りて来た。
そして、シズクの腕の中へと導かれて、静かな寝息を立てていた。
「ま、まさか………怪物から人へ戻したというのか!?」
「し、信じられない!」
何か、周りが、少女を凝視して、驚いているようだが、私には、どうでも良い。
シズクの腕の中で、静かな寝息を立てている少女を一瞥し、私は、その場を去った。
「ま、待て---------」
シズクさんが、何か、言った気がしたが、少女が無事ならどうでも良い。
とりあえず、これで、事件解決かな?
さっさと、寮に帰って寝よう。
流石に、今日は、ちょっと疲れた。
だが、この時の私は、人を救う事にかまけて忘れていた。
怪物から人へと戻す術は、この世界にはない。
なのに、それが出来てしまったら、この後、一体、何が、起きるかという事を---------




